- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167259273
作品紹介・あらすじ
荊州において劉備の勢力が膨張している。孫権は本気で荊州を劉備に任せたのであろうか。北方にいる曹操の目には、両者は協調しているように映る。そして西方には馬超と韓遂が-熾烈な戦いを進める初老の曹操にとっていまや蔵月さえも障害になりつつある。建安二十一年、魏王となった曹操は、後継を誰にするか迷いの中にいた。
感想・レビュー・書評
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劉備の入蜀、張魯の魏への降伏などを描く。
龐統の死など、何かすべてが淡々と語られている感あり。 -
あくまでも『正史』準拠の淡々とした展開が新鮮で好感を覚える。冒頭の劉巴のエピソードが面白い。
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このころの周瑜は辛くて見てられないみたいなところがある。
間を持たせたり感動的な演出をしたりすることなくサクサクころしていく宮城谷三国志だけど、たまにしみじみとしてしまう記述があるのが救いかな。
劉備はもう失うことができないから、ひとつひとつの失策が大きく響いてくる。
長坂で大逃亡を繰り広げてた頃が楽しさ(?)のピークだったかも。
孫権贔屓で読んでても合肥の遼来来は痛快。
曹操の孫権に対する高評価はなんだか面映ゆい。
じゅんいくエピソードは有名だからいいよね?と言わんばかりのあっさりさ加減だったね…… -
7巻は、三国志の一番美味なあたりですが、宮城谷さんの味付けで、おいしいです。
劉備の成都攻略。使者としての簡蕹の存在感。
合肥防衛戦の張遼と李典の奮戦。
戦場での曹操と韓遂のやり取り。
曹操が「四つの目に二つの口があるわけではない。」と言うところ。
やっぱり、胸が弾みます。 -
劉備とは何者か、第七巻ではその問いかけが重要な意味を持つ。華北にいた頃は呂布や曹操に勝てず、逃げ回ってばかりいた流浪の将にも、荊州では妙な後光が差し始める。赤壁において彼は呉の属将だったのか、それとも同盟者だったのか。この定義はその後の荊州南部と蜀の支配を正当化できるかどうかを判定する上で重要なポイントだが、宮城谷さんは正直に筆を進めていく。その行為は武力侵攻だったかもしれない。しかし、単に武力に勝っていたから地を得たのではない。3日で得られたはずの成都に300日を費やす。そういう姿に、いつの間にか大人の徳が漂っている。劉備の輝きが増す分、大人の態度に徹せない孫権は分が悪い。
南方の王者たちの成長もさることながら、北方の支配者として地歩を固めていく曹操も見逃せない。曹操は西方で、馬超と韓遂の連合軍に負けずに勝つ戦いを演じる。篭の鳥になった天子は無益な抵抗を試みるが、衰微した天子と華北を経営する曹操と、どちらに徳があるのだろうか、という筆者の自問が始まる。彼は魏王に登る。既に60近い曹操が残された生涯でどこまで高みに登るのか、それもまた楽しみだ。 -
丁斐の小悪党っぷりの話が面白かったです。
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劉備、いよいと蜀に到る。曹操は、魏王となる。
合肥の戦いは、よくしらなかったが、孫権の大軍を相手に張遼、楽進、李典が奮闘するシーンは震えた。 -
文章の中身は全く文句なく素晴らしいのですが、巻頭部分にある地図が余りにも貧弱で隔靴掻痒の感ありです。例えば、合肥という地名は記されておらず、「三国志事典」(岩波ジュニア新書)ではじめてわかりました。でも、公安という所は両書とも記載されていません。それに、デジタル化の時代ですから、地名と人名の索引は別巻として発行して欲しいものです。その時に是非とも充実した地図も掲載していただきたい願っております。これほどの力作を活かすためにもお願いしたいと思います。
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劉備の冷徹というか超然的な判断力については作者の分析が的を得てる気がする。