忘れられた名文たち (文春文庫 か 17-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167286026

感想・レビュー・書評

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  • 表題に惹かれて、本書を手に取りました。てつきり、現在は読まれなくなつた明治大正あたりの文学者を取り上げてゐるのかな、と想像してゐました。正宗白鳥とか。
    さてペイジを捲りますと、想像とは全く違ふ内容で、良い意味で予想は裏切られました。
    即ち、一般人にとつての名文とは、いはゆる文豪の文章ではなく、日常目に触れる<雑文>の中にあるといふのです。その言やよし、大いに頷くわたくしがゐるのでした。

    そもそも国語の教科書に、大文豪の美文などを収録するのは相応しくないと考へます。ある高校教科書には、日本が誇る国際的大作家の文章が載つてゐますが、句読点の打ち方がまるで出鱈目でした。修飾語と被修飾語の関係がまるで分からない文章もふんだんにあります。
    また、現在も人気の高い童話作家兼詩人の文章も教科書に採用されてゐましたが、文語調と口語文が規則性もなく入り乱れ、とても完成された現代文とは申せません。

    しかし上記の文章は、文学作品として感動を呼ぶ素晴しいもので、わたくしも好きな藝術品であります。
    ただ一般人が手本にするべき文章ではありますまい。

    そこで本書で紹介されてゐる<雑文>たちであります。
    画家や新聞記者、俳人歌人の文章とか、野球や映画評、果ては悪態文やパソコンの説明書まで俎上に乗せて、名文を発掘してゐます。
    ひとことで「達意の文章」と申しますが、いかに様様なスタイルがあるのか、著者は多くの実例を挙げて教へてくれるのであります。

    ちよつと古い本ですが、文章のお手本を探す手引きとしてユウスフルな一冊と申せませう。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-104.html

  • 画家の雑文に良いものが多いらしい。風景描写にすぐれているそうだが、考えてみれば当たり前か。それと、ですます調の文章はリズムを作りあげているとか。忘れていたが、そういえばドリトル先生の文章がですます調だった。

  • 329夜

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