- Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167309879
感想・レビュー・書評
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そういえば僕は、高嶋政伸主演ドラマ「HOTEL」の影響で確か小学生の頃はホテルマンになりたかったはずなのですが、気がつけばそんな夢も忘れ、大学時代バイトしていたスーパーでは、「あまりにも接客態度がひどすぎる」という理由で、複数のお客さんからアンケートでマジギレされまくる、という憂き目にあったということを思い出したので、まあサービス業とか就かなくてよかった。
本当にちょっと今考えてみてもマジでひどい書かれようだったので、僕のメンタルがあと少し弱ければ「バイト中にお客さんから怒られすぎた」という理由で自殺していたところですが、こうして社会人になってみて思うことは、コンビニのレジのバイトの態度とか悪かったら本当にぶん殴ってやりたくなりますし、昔の自分の態度を省みると、投書ぐらいで済んでいたことにはむしろ感謝するべきなのかもしれません。
本書にはそんな僕とはかけ離れた、スーパー接客のプロたちが登場し、ホテル経営の舞台裏を見せてくれます。
お客様のためなら何でもやる、というのはキレイごとに過ぎない気がするのですが、出来る限りそうあろうとする彼らの態度にはしびれました。
僕もお客様に感謝されるような仕事がしたい。お客様の幸せのために自分を犠牲にしたい。お客様の笑顔が見たい。お客様の足も舐めたい。お客様のことをいつも考えていたいし、お客様が死ぬときは僕も死にたい。そうやって僕は、いつだってずっと、君のそばにいるよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初はとっつきにくかったですが、老舗のホテルで起こるトホホな出来事と振り回されてるスタッフ達がよい味をかもし出しています。
原題 / "THE HOTEL"(1996)
装画 / スドウピウ
デザイン / 征矢 武 -
クラリッジ・ホテルの日常を描いたノンフィクション。こんなに対応がいい、顧客のことを考えているホテル(サービス業)がイギリスに存在しているとは・・・と思って気がついた。このホテル側の登場人物はほとんどすべてが男性だった。納得。(2007.12.30)
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原題は"The Hotel"。ロンドンのど真ん中、メイフェア地区にある名門ホテル「クラリッジ」で働く人々と彼らが扱う宿泊客を追ったノンフィクションです。
イギリスで最高の格式を誇るホテルの内幕が描かれます。とびきりの著名人・名士ばかりのお客のわがままともいえる注文ににこやかに答え、それをブリーフィングで共有し、しかも売り上げをにらみながら部屋を売る…ホテルの日常がきびきびとした筆致で克明に記されており、アメリカ式の「ガーッとやってしまう」よりも、「粛々とことを運ぶ」という感じが目立ちます。椅子だけの役員ミーティングで、女性役員に席をまず譲るというのがヨーロッパだなぁ(笑)。ロイヤルスイートの予約は電話じゃダメで、まず支配人あてに丁重なお手紙を…というルールも見事。スノッブ過ぎてイヤな方もいらっしゃるでしょうが、私はこういう敷居の高い世界をちらちらのぞくのは嫌いではないので、面白く読めました。
映画や他の本でいえば三谷幸喜「The有頂天ホテル」のとびきりシックな日常版…の雰囲気かなぁと思い、VIPの饗応などは西川恵「エリゼ宮の食卓」、スタッフの鷹揚で実は几帳面なイギリス的態度がヘレーン・ハンフ「チャリング・クロス街84番地」(ただし、クラリッジのスタッフはイギリス人ベースながらもコスモポリタン)…のエッセンスを感じる作品です。訳は英語のノンフィクションライティングによくあるぎこちない感じがそのまま出ているので、もう少しこなれたものでもいいかとも思いますが、許容範囲。
ホテルに泊まるときは備え付けのパジャマや、ちょこっとしたアメニティなどが使えるだけでハッピーになってしまう身なので(笑)、こんなところに泊まるチャンスは生涯ない(と思う)。もう、チェックインの瞬間に頭のてっぺんからつま先まで見られて「私どもでご満足いただけるのやら」とかチクッと言われてしまいそう…(笑)。
ホテルも巨大チェーン業界ですし、今のクラリッジでは、この本に描かれた当時のようなルールやサービスとも変わっているのかもしれません。でも、この微妙に時代のかった敷居の高い、豊かな雰囲気を感じるにはいい本です。実はかなり前に第1章だけ読んでおり、その間に、上に挙げたような、似た雰囲気の味わえるのものをいくつか読んでしまったもので、この☆です。ごめんなさい。 -
イギリスの名門ホテル『クラリッジ・ホテル』に5ヶ月滞在して取材したノンフィクション。 ある時は韓国の大統領が宿泊、またある時は女王陛下の公式晩餐会が行われる。 すごく華やかだけど、その裏側は。。。 インドゾウでなければ困る。アフリカゾウならいらない、とゾウの手配を頼む客。 一泊何十万もする部屋に泊まりながら、勘定書を見て、妻は朝食のパンは食べてないとクレームを つける客など、どんな客にもみごとに対応。実際には体験できないきらびやかな世界を体験できます。 私もこんなホテルに泊まってみたい。。。 ホテルを支えるすべての人、総支配人からメイドまでホテルマンの仕事ぶりを垣間見れます。
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ロンドンのホテル、クラリッジの舞台裏を覗いたノンフィクション。伝統を重んじる高級ホテルを合理的に効率よく運営できるよう改革し、なんとか利益を上げようと奮戦する支配人を始めとして、ホテルを支えるさまざまなホテルマンたちの日常業務、お客たちの奇妙な生態を描いている。
ああ、ホテルのサービスというものは、気が遠くなるようなディテールの積み重ねだ。コンピュータ・ソフトウェアなんかよりもっともっと不確実で損なわれやすい『商品』だ。そう思って何となく慰めを得てみたり。いやいや。
ええと、レストランと厨房に、その辺のメーカの営業と開発のような対立構造があるのが面白かった。あと、「ポテトチップス」とあるのは、イギリスの場合フライドポテトのことじゃないんだろうか。それとも本当にシン・スライスしたポテトのことだろうか。妙に食い物については気にかかる。ああ、また本質的じゃない部分に拘泥して。