約束の冬 上 (文春文庫 み 3-20)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (449ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167348205

感想・レビュー・書評

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  • 今の自分

  • 家族から重要なピースが欠けてしまったことで幾許かの喪失感を抱えながら健気にそして懸命に生きる登場人物達の人生が交錯し、人間模様が織りなされていく。物語は、青年と、青年が10年前に若気の至りで突発的にラブレターを手渡してしまった女性との間で静かに進行する恋愛を軸に描かれる。

     「うまくできるようになってから、人前に出て仕事をしようと思うのは間違いなんじゃないかなァ。失敗したら恥ずかしいとか、間違えたら安く見られるとか考えて、それが礼儀だとか、おくゆかしいなんて自分に言い聞かせる人は、つまりは見栄っぱりで、勇気がないから、せっかく才があってもそれが育たない・・・。」

  • なんだろう、どこがどうでこの作品が良かったというのは言いにくいのだけど、全体的に柔らかく透き通った印象の本で、読んでいて心地良かった。
    留美子と俊国の話がメインになるのかと思えば、圭一郎にも恋の兆しがあり、面白い。
    でも圭一郎のお相手の中国人女性は、ちょっと受け入れにくい。

  • あり得ないような約束

  • ここ何年かで宮本さんの作品を知り、自分と同じ病気を経験した人ということもあって読むようになりました。
    年配の宮本さんの書く文章は、若い世代の自分には知らない言葉が多く、読むだけで勉強になります。

    登場人物たちが楽しむゴルフや葉巻、食べ物やお酒など、丁寧に丁寧に語られてゆくと(少し長いくらいですが・笑)
    読みながら人生を楽しむコツを教えてもらっているようです。

    下巻まで大きな展開もどんでん返しもなく、淡々と進むのになぜか飽きないのは文章力でしょうか。
    登場人物が困難な状況にあっても前向きな人ばかりで、読んでいて襟を正されるような気持ちになります。
    宮本さんは人に対しても自分に対しても、希望を捨てていない人なのかもしれません。

  • 宮本作品に出てくる人物はどうして魅力的なのか?と考えながら読みました。自分なりの考えですが〝丁寧に生きているから〟だと思います。
    今回は様々な約束を軸に話が進んでいきますが、自分は普段〝約束を守れているのか〟との問いを小説から受けている気がしました。
    俊国、小巻の約束はどうなるのか?下巻が楽しみです。
    上巻では、留美子と小巻が食事をしながら話している場面が印象的で、徒然草を語るシーンは心に残っています。

  • 宮本作品は、女性の言葉遣いが綺麗。会話文がとても気持ちよく、登場人物のたたずまいも品がある。ぜひ若者に手にとって欲しい作品たち。物語は淡々としているが、飛行蜘蛛、葉巻、パソコン、古木、ゴルフなど幅広いアイテムがアクセントになって好奇心をくすぐられる。主人公の留美子と年下の俊国、桂二郎と若い中国人女性の恋?の行方も気になる。有川さんのようなわかりやすいキュンキュンもいいけれど、こんな渋い大人の恋のカケヒキ、深みを味わえる作品はいいなぁ。下巻へ。

  • 8月18日~25日

    十年前、留美子は見知らぬ少年から手紙を渡される。「十年後、地図の場所でお待ちしています。ぼくはその時、あなたに結婚を申し込むつもりです」。いったいなぜこんな身勝手なことを?東京、軽井沢、総社、北海道…。さまざまな出会いと別れ、運命の転変の中で、はたして約束は果たされるのか。

  • 何て言うか‥
    作者らしい内容だと思います。
    上だけ読み終わったけど下が楽しみ
    です。

  • 作者らしい文体とストーリー
    下巻が気になる

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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