- Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167449032
作品紹介・あらすじ
1970年11月、市ヶ谷台に赴く三島は、決死の『檄』を二人の記者に託した。うち一人が本書の著者・徳岡孝夫である。なぜ三島は『檄』を徳岡に託したのか?二人の交友の中に立ち現われる三島は多彩で、実に「面白い人」だった-あの時から四半世紀を経て初めて語られた哀切の三島由紀夫像。第10回新潮学芸賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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三島由紀夫が自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹をした日に彼から檄文を託されたジャーナリストの回想記。
死までの三年余りの交流から著者が感じた三島観が書かれている。
自衛隊東部方面総監を拘束、割腹自殺と言う衝撃的な出来事やその作品のために尋常ならざる人と思われがちな三島由紀夫が常識を持つ普通の人間であった、と出来事を交えて語っている。
その死を完璧にするために綿密に計画を練り、晩年を送ったように感じた。三島由紀夫と言う人物を見る眼が変わる本でした。
この本を読んだ後で三島作品を読めば今までとは違う受け止め方が出来そうです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
三島由紀夫を見る目が変わった。
意外と常識的な視点を持った人だったんだなぁー、と。
読んだ後様々な事を考えてしまった。 -
三島由紀夫から直接、あの日の「大役」を依頼された記者の一人。
『豊饒の海』の中でも難解だった『暁の寺』に関わる記載にも感謝。 -
三島由紀夫が自刃する前、交流のあったジャーナリストの徳岡孝夫氏による三島由紀夫との回顧録。
三島由紀夫本人が心を許した人とのやりとりからその人間らしさが感じられる。
「精神の存在証明には行為が伴わなくてはならず、行為を行うのは肉体である」という三島由紀夫の信念。
「無効性に徹することによつてはじめて有効性が生ずるといふところに、純粋行動の本質があり、そこに正義運動の反政治性があり、『政治』との真の断絶があるべきだ、と私は考えへる』…。
人の生涯は死に方によって決まり、犬死こそ純粋行動の正しい姿だ、と言っているのである。 -
三島由紀夫の著書(小説、エッセイ、評論、戯曲)については、多数読んでいる。
それから、三島由紀夫の死について書かれたものも、数多く読んできた。
その中で、この本が、最も、的を得ていて、優れていると感じた。
反論することが不可能になっている亡き友に対して、フェアな文章であると思った。
それでも、尚、謎の部分が残されているのは、仕方がない事に思う。
主人公は、生前から、超然とした存在で、常人には理解できない存在であったのだから。