別人「群ようこ」のできるまで (文春文庫 む 4-1)

著者 :
  • 文藝春秋
3.47
  • (13)
  • (29)
  • (52)
  • (2)
  • (3)
本棚登録 : 271
感想 : 28
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167485016

作品紹介・あらすじ

本の雑誌社に六回目の転職をした。椎名誠、目黒考二らと楽しく仕事をと思ったけれど、待っていた日々は楽じゃなかった。兼業エッセイストから完全独立するまでを綴った書下ろし。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 執筆家としての「群ようこさん」ができるまでの自伝本的エッセイで
    広告代理店から始まり、職を転々としながらどうやって
    今の群さんが生まれたのかももちろん、昭和60年に書かれた本なので
    ワタシがまだ子供で知らなかった大人の目線での60年を見れたのも
    すごく興味深く、おもしろかった。

    「本の雑誌」の熱心な読者から、働く側になった幸せと苦悩、
    物書きとしての道を見出してくれた母的存在の西村かえでさんとの出逢い、
    「群ようこ」というペンネームになったいきさつ。
    群さんファンとしてはたまらないエピソードも満載でした♡

    中盤までは苦しくて苦々しい会社でのエピソードが続くので
    ちょっと読み進めるのがつらかったけど、広告代理店時代の電話応対で
    「いつもお世話になっております」と「こんにちは」が
    慌ててしまって、「いつもこんにちは」と言ってしまった
    エピソードなど、群さんらしい軽快なテンポでタイムスリップした
    昔の日本の背景も体験できて楽しい1冊でした。

    「本の雑誌」もその当時の椎名誠さんの本も合わせて読んでみよう!
    と新たな楽しみももらいました[*Ü*]

  • 一気に読んだ。
    群ようこの性格が良く分かって飾らない、頑張り過ぎない彼女にとても好感を持てたし、群ようこからみた椎名さんの仲間たちの様子がとても興味深く、楽しんで読んだ。

    中でも、群ようこがやりたい放題の沢野さんに冷たくし、シュンとして帰った彼がいままでいた場所に残した「僕のこと嫌い?」のイラスト付きメモのエピソードは、憎めない彼の人柄が出ていて、とてもかわいらしくて笑ってしまった!

  • くじけたっていいんだ、大丈夫だって思える本。
    群ようこは出るべくして出た人なんだなぁって思う。
    私には仕事を変えて泳いでいく勇気、ないもの。

  • この本に出会ったのは学生時代。
    当時アルバイトをしていた書店で、レジカウンターに立ちながら、(原因はすっかり忘れてしまったけれど)ひどく落ち込んでいた私に店内整理から戻った私に「これ読んだら元気になるで」と、店長が手渡してくれたのがきっかけだった。
    群ようこさんの本は、以前おばにすすめられて読んだ「アメリカ居すわり一人旅」がおもしろかったこともあり、買って読むことにした。

    その夜の読み終わったあとの興奮は、今でも忘れられない。
    仕事に、生き方に、ぐるぐると迷い続けた数年間ののちにエッセイストとしてスタートするまでを描いているのだけれど、悔しく惨めな思いの詰まったOL時代、「本の雑誌社」で働けることになって喜んだのもつかの間、不安に押しつぶされそうになり、ギリギリの精神で生きていた緊張感などが含まれていて、読みながら心がきりきり痛くなってくる。
    けれど、恨み節でも、しゃかりきにがんばろう!という雰囲気でも決してなく辿りつくのは「仕方がない、やるしかないのだ」という言葉。
    頭を上から押さえられたとしても、力でその手を振り切るのでも、泣いて逃げるのでもなく、じーっと上目遣いで相手の動向を伺いながらため息をつきつつ仕事をこなし、最後に最後に相手の腹に回し蹴りを入れて去るような、そんな爽快感。
    けれど、そこに辿りつくまでの鬱々とした気持ちは痛いほどわかるし、社会の中での理不尽な扱いもきっと誰しも「あるある」と感じるからこそ、本の中に入り込んで一緒になって「やるしかないのだ」と思える。
    読み終えたあと、頭のてっぺんから煙が出ているのではないかというほど体の芯から力が湧いて熱くなり、すすめてくれた店長に感謝した。

    「仕方がない、やるしかないのだ」
    この本に出会って以来、私は壁にぶつかるたび、本を読み直してはこの言葉を繰り返し呟いてまた拳を握り直すことにしている。

  • 本の雑誌血風録と本の雑誌目黒考二追悼号を読んだら読みたくなった一冊。就活にあたってはのほほんとしてたけど、いざ広告代理店に入ってから本の雑誌社に至るまでの三社はまさにドタバタ、ブラック勤務、パワハラ、セクハラ。やりがいのあることもあったにしても。そんな中目に飛び込んできたのが本の雑誌。面白く読みふけり、椎名誠が編集長をつとめる雑誌の会社の求人に応募したところから話しは転がり…と。以降は椎名誠、目黒考二とのやりとりを中心に追っていき。目黒考二とは、お互いに、冷たい目で見られてたという記憶。目黒さんも笑うんだ、という感慨。最後はペンネームの名付け親になってもらい、実務をほぼ一人で回す立場から、作家として巣立っていくまでのストーリー。別の視点からの「本の雑誌風雲録」「本の雑誌血風録」。

  • 図書館で借りたので、読んだのは単行本版。本の雑誌の目黒考二氏がお亡くなりになったので、関連本として読んでみた。本の雑誌草創期の目黒さんの様子が伝わり、感慨深いのであった。
    本の前半で広告代理店の話がでてきて過酷な勤務状況が語られるが、当時はたいていそんなもんじゃなかったのかなあと思いました。どの世界でも代理業はつらいんだな。

  • 群さんのOL時代を知ることができて面白かった。本の雑誌社の面々をwikiで調べて、「あぁ〜こんな人たちなんだぁ〜」と一度で二度楽しめた。

  • 2000.01.01

  • '97.3図書館で借りて読了。
    当時の仕事や人間関係の悩みを少し助けてくれた本。

  • お仕事エッセイともいえるし、作家の誕生秘話ともいえる。
    本の雑誌風雲録、血風録とあわせてどうぞ。

全28件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1954年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。数回の転職を経て、78年、本の雑誌社に入社。デビュー作『午前零時の玄米パン』が評判となって、作家専業に。「無印物語」で人気を博す。『かもめ食堂』『れんげ荘』『三人暮らし』など著書多数。

「2023年 『老いとお金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

群ようこの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×