8 下 (文春文庫 ネ 1-3)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (517ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167527549

感想・レビュー・書評

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  •  わくわくドキドキのアドベンチャー映画のように、壮大でスリル満点の傑作。
    18世紀末革命直後のフランスで、潰れそうなモングラン修道院では強大な力を秘めた伝説のチェスセット[モングランサーヴィス]を守るため見習修道女ミレーユたちはチェスの駒を分けて持ち世界中に散らばった。チェスセットを手に入れようと襲いかかる権力者たち。ミレーユは[モングランサーヴィス]の謎を調べるためにアルジェリアに向かう。一方20世紀の現代にコンピューター専門家のキャサリンは[モングランサーヴィス]争奪戦に巻き込まれる。チェスプレーヤーのリリーとともにモングランサーヴィスを探し始め、サハラ砂漠での大冒険活劇が始まる。チェスゲームのように一瞬にして攻守が入れ替わる展開の中で、ふたつの物語とふたつのヒロインはラストに向けてひとつに結び合わされていく。
     謎解き、歴史、伝奇、冒険、ファンタジー全ての要素が盛り込まれ、ドキドキの結末へ。かなり楽しめた。

     

  • ネヴィル1988年発表作。女流作家ならではのロマンス色の濃い〝冒険ファンタジー〟で、伝説のチェス・セット「モングラン・サーヴィス」を巡る争奪戦を、史実を織り交ぜながら描く。とにかく長大な物語で、相当な労力を費やしたことが伝わる力作ではあるのだが、あれもこれもと詰め込み過ぎて、結果的には大風呂敷からほとんどこぼれ落ちてしまっている。全編が劇画調のドラマ仕立てのため、ゴシック小説好きなら楽しめるのだろうが、私にはどうにも食指が動かない代物だった。

    物語は、18世紀末のフランス革命後の混乱期と70年代の現代を交互に舞台とする。時代を超えて真相を追い求めることとなる〝ポーン〟役の女性二人を主人公とし、実在した歴史的人物を大量に登場させて絡めていく。権力掌握を目論む者には悪魔的な力を発揮するという「モングラン・サーヴィス」を手するため、革命家や皇帝らが暗躍。さらには、ヨーロッパ中の著名な芸術家や哲学者、科学者らは、須く死の直前まで、その謎の解明に取り組んだ探求者であったという説を強引に押し付ける。しかし、核となるチェス・セットがどのような「奇跡」をもたらすのかを知ることができるのは、結末ぎりぎりになってから。それまでは、次から次へと登壇する歴史的人物にまつわる実像/虚像ごたまぜの挿話と神秘にまつわる蘊蓄を延々と読まされる羽目になる。ある程度のケレン味は必要だが、終始はったりを利かせていては、肝心の山場が極めて薄くなってしまうことは当然である。謎の解明は、ようやく終局で果たされるのだが、誰でも思いつくオカルト的な〝落ち〟では尻すぼみも甚だしい。

    数多の偉人が生涯を賭けて追い求めた真相に、「コンピュータ専門家」である選ばれし女性のみが辿り着けるというご都合主義。世界にまたがる錚々たる面子が、最終的には血縁者として繋がり、小さなファミリーへと収縮して「見事な大団円」を迎えるという竜頭蛇尾。いったい、ここまでの道程は何だったのかと、溜め息しきりだった。

  • 実在の人物が散りばめられ、前半で物語に一気に引き込まれて行きます。分厚い上下巻にもかかわらずテンポ良く話が進み読み始めたら止まりません。現代と中世フランスが交差して物語は進みます。登場人物は皆魅力的ですが、中でも現代に登場する女流チェスプレイヤーのリリーは強烈ですね。

  • まさに伝奇ファンタジー。実在の人物が絡んでくるのが好み。

  • 上巻に引き続き、最後までぐいぐいと引き込まれていきます。
    この物語は上下巻両方買っておくべきです。続きが気になって、すぐ読んでしまうから。

    絶対におすすめの一冊です。翻訳されていませんが、この話の続編があるみたいです。かなり気になります。

  • ベリーダンスって腰くねくねセクシーダンスだっけ?

  • キャサリン・ネヴィルの8(エイト)を読みました。この本は面白いという評判だったので、アマゾンのロングテールから手に入れて読んでみました。大きな力を持つ公式が秘められていると伝えられるチェスセット「モングラン・サービス」を手に入れようとする人々の物語でした。1700年代と1900年代の二つの時代で散逸してしまったチェスセットの駒を集める人たちの物語が交互に語られていきます。主人公の若い女性は、自分でも知らないうちに「モングラン・サービス」を集めるゲームに参加させられてしまいます。チェスの駒を求めてアメリカからアルジェリアに渡る冒険物語が語られていきます。また、200年前にフランスからアルジェリアに渡って同じように謎解きをした女性の物語も交互に語られていくのですが、最後にその二つの物語が一つの物語につながります。冒険・伝奇・そして秘められた大きな力とは何なのかという謎ときが面白く読めます。

  • 大円壇をまとめきる力量不足といわれても仕方がない、ちょっと物足りない終わり方。ハーレクではなく、本格的な謎解きでウンベルトエーコしてくれれば星5つだったのに...

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キャサリン・ネヴィルの作品

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