柔らかな頬 下 (文春文庫 き 19-7)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167602079

感想・レビュー・書評

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  • 直木賞受賞作というので買った一冊。

    余命宣告を宣言されてる元刑事と行方不明の子を探す母親の話

    夢のシーンがある
    それが紛らわしい

    上下巻通して登場人物の心理描写は細かく描かれてよくわかるが、同情できないし理解もできない部分がけっこうあった。

    ラストもなんだかスッキリしない。
    結局誰が犯人?失踪事件の真相は?

    この小説は事件を解決したり真相を究明するみたいな話でなく、事件に関わる人の心理描写の話なのかなと思った小説でした。

  • 直木賞受賞作品。

    上巻ではグッと引き込まれたが、下巻に入り失速気味になってしまった。

    犯人が誰だとか、娘は生きているのかとか、最後まで明らかにならない。
    ただ、人間の持つ欲、本能、業などを露わにしつつ、一人の女性の生き様を追い続けていく。
    自分の人生であるからどのように生きてもいい。
    世間から批判されようと、誰にも理解されなくてもいい。
    「こうしたい」「こうありたい」
    しかし、立ち止まった時振り返った時、全てを失っていたら?
    何も残っていなかったら?
    何の為の時間だったのだろうかと、何をしてきたんだろうかと思ってしまうのかもしれない。
    それでもそこからまた始めるしかない。
    止める事も始める事もいつでも出来るのだから。

  • なんか、、、何の話だったんだろう?、、、
    読み終わって、ただただポカーンとしてしまう。

    何一つ美しいものがない。尊いものがない。
    ある種の嫌悪感さえ生まれてしまった。
    そんな風に感じる作品に出会うのも、また読書なんだろう。(と、自分を納得させるしかない)


  • 登場する人物が全員自分のことしか考えていない
    その心理描写がすごい
    生々しくて魅力的でどんどん読んでしまいます
    最後まで救いはありませんでしたが
    だからこそ色々な解釈ができる

    なぜなのか説明はできないけど
    カスミが心の拠り所にしていた
    バスの教会のシーンが好きです

  • 何も起こらなかった…

    彼女は死期の迫る彼に何を求めたのだろう

    夢うつつの中で見たものは妄想で
    真実ではなかった

    ただ
    親を捨てた彼女が親になって
    突然、娘が居なくなるということがどれだけの苦痛か
    親の気持ちを考えることができたということか

  • 登場人物誰ひとり好きにはなれず…個性が強く苦しんでいる人達ばかりで、読んでいてこっちまで苦しくなる。
    最後の最後までカスミの娘を誘拐したのか殺害したのか、犯人も判らず解決しないまま結末

    すべての始まりは不倫をしたことからで、因果なのだと言いたいのかぼろぼろ過ぎて希望も何もなかった

    ただ、最後の有香主観のところは個人的に好きだった。
    行方不明になったあの日、振り返りいた男の人って誰だったんだろう。

  • 初めての桐野夏生作品。
    柔らかな頬って、そういうことだったのか。

    救われた人は誰もいない。
    カスミは一人で北海道で生きていくのだろうか。そうなったら梨紗はどうなるんだろう。
    小さな梨紗の心の中を思うと、私は胸が苦しくなる。

    最終章では、思わずドキリとした。
    私には娘しかいないけれど、やっぱり母と娘って、何かあるんだよな。

    イヤミスかと言われたら、ちょっと違うんだろう。
    ミステリーではないだろう、これは…
    不思議な小説だったけど、面白かった。

  • 昔見たドラマの印象だと、カスミが娘を永遠に探し続ける印象だったけど、違ってたのかな?カスミと内海の妄想で何通りもの可能性が描かれ…。有香の行方は本題ではないのかもしれないけどもやもや。

  • 何だかなぁ~救いようがない主人公カスミに
    後味の悪い読了感でした。

    最終章でカスミの罪の重さに
    また嫌悪感が・・・。

    有香の行方不明の真相は
    一体、どの人の語りが真相なんだろう。
    モヤモヤするー!!

    掴みどころのないカスミに、子供が行方不明と言う同情は全く起きなかったなぁ。
    桐野さん特有の「女の性欲」??(笑)には
    相変わらず・・・引いてしまいます(笑)

    ミロちゃん的な感じよね。

  • うーん、かなりいまいちっていうか嫌いなストーリーパターン。
    とはいえ、直木賞受賞作品!

    ミステリーというより家族をテーマにした純文学?
    しかし、主人公含め登場人物のだれにも共感できませんでした。

    そしていよいよ下巻。
    内海とカスミが事件の関係者を訪ね歩きます。
    内海が死んでしまう前に真相が明らかになるのか?
    と読み進めると、夢落ち?といったパターンへ!
    すなわち、その事件の真相を夢、想像で語るパターン。
    内海の夢でのパターンと、カスミが視た夢のパターン。
    何が事実で何が想像なのか、作者の術中にはまってしまいます。
    これ、一番嫌いなパターンなんですけど(笑)
    んで、結局、誰が犯人?っていうことになって、後味悪く読み終わってしまいました。
    これ、何を伝えたかったんだろ…

    単なる謎解きのミステリーも嫌いですが、人間の心の闇っていうか心理が描かれすぎて、疲れるミステリーも嫌い。
    さらにはあまりにスッキリ終わらないのも嫌い(笑)

    ということで、評価は低いです。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

桐野夏生の作品

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