レクイエム (文春文庫 し 32-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167605056

感想・レビュー・書評

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  • ホラー小説になるのだろうけど始終物哀しい空気でした。SFあり、壮絶な戦争ものもあり、引き込まれます。
    なかでも「コヨーテは月に落ちる」と「帰還兵の休日」が好きです。破滅ものが好きなのかも…と思ったら物騒ですが。作者の後書きを読んで思ったのですが村山由佳さんどうしてコヨーテにお詳しいんだろう?
    「レクイエム」は壮絶でした。確かに、第二次大戦中に悲惨な戦場にいた従軍経験者は戦争経験語らないと同僚も言ってましたし、わたしの母方の祖父も家族に全く語らないままだったようです。
    愛する人が永遠に失われようとしている時に自分は体内に取り込めるのか…考えてしまいました。

  •  『死神』につづき篠田節子の短編がなかなかか良い。最後の短編『レクイエム』で戦争体験者の老人が語る言葉に「戦友会なんてやって思い出を語れる連中は地獄を見ていない」とある。この老人が語りだす体験談が凄まじいの一言、世の中、数ある恐怖、ホラー小説はあれど史実にはかなわない。

  • 孤独な死者たちへ奏でる短編集。

    どの物語も短さを感じさせない確立された世界観で、読者を巧みに誘い込む。
    死の物語の中に不思議と癒しを感じる。語られる哀しみ、願い、記憶、そういったものが穏やかに鎮めていく。
    『コヨーテは月に落ちる』が特に好み。マンションに閉じ込められるのも、役人として働き続けるのも、同じようなものと言い切れる人生に、深く感じ入るものがある。

    祈りが人々にもたらす安らぎの漂う一冊。


  • 怖かった。生きるって怖い。
    いつも誰かに守られて生きてきた私は生の本当の怖さを知らないのだろう。
    少しずつ少しずつ何かを失いながら、本当に大切なものだけを残して、人は死に近付いてゆく。

  • タイトル通り、「死」をテーマにした短編集。最初の作品は純文学と言った部類だが、その他の作品は篠田節子らしい怪談じみた話。怖い話ってわけでもないけど。

    夫の死、伯父の死などの死を契機に、様々な出来事がフラッシュバックするというようなところが6本それぞれの共通点か。中間部はバブル経済とその崩壊、最後は大戦の終戦間際という、動乱を軸にしているところが篠田節子らしいっちゃあらしい。

    6本サラリと読んで、どれが好きかと言われると、結構どれも好きな作品である。バブル前にお告げを受け、バブル後にまた同じ救いを求める女性、貧してもトラサルディのスーツは譲れない不動産屋など、心機一転できそうなのに、枠組に縛られて動けず朽ちていく悲哀を描いていくさまは秀逸である。

    6本のうち、ある意味核になっているのに浮いている「コヨーテ」は、SFである。SFホラーにしようとして、完全にはできなかった作品だが、それを純文学に逃げなかったことは高く評価されて良い。ただ、切れが悪いところはイマイチなんだけどね。

  • なんか昭和の小説みたいで
    思わず奥付を確認。なんか古めかしい…
    ちなみにアリゾナでカイヨーレって発音に
    ⁇ってなったらコヨーテのことでした。

  • 2015.12.2(水)¥150(-2割引き)+税。
    2016.6.21(火)。

  • 2015 5/13

  • 終始気分の悪い本でした。

    奥歯でずっとアルミホイルを噛み続けるようなそんな気分にさせられる一冊。

    短編なんだけど、毎度毎度気分悪くなる。

    これでもか。ってくらい。

    でも。怖いとかキモいとか悲しいとかそういう感情が一切湧かず、ただひたすらなんか気分悪い。なんかいやーな空気。

    そんな一冊です。

    このかた、普段はホラーを書かれているようで、よってこの感じこの雰囲気を出せるプロなんだと納得したけど、なんかなんかなんかやーな感じは抜けません。

  • #bookoff

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著者プロフィール

篠田節子 (しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『弥勒』『田舎のポルシェ』『失われた岬』、エッセイ『介護のうしろから「がん」が来た!』など多数。20年紫綬褒章受章。

「2022年 『セカンドチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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