サマー・キャンプ (文春文庫 な 44-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 83
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167656645

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの長野作品です。
    生殖医療の発展した近未来の湾岸都市。
    主人公の温(はる)は、祖母の家で暮らしている。
    祖母は生殖医療の権威であり、病院を営んでいる。
    優秀な遺伝子を取り入れて「鏡島家」を存続させるため、
    世間を欺いて独自の生殖を行っている。
    染色体レベルである。
    そんな実験結果の、とある愛?の物語でもある。

    長野作品はBLと認識されているのが
    悲しかったりします。
    初期作品は超ファンタジーなんですよぉ~
    たまには、そっちの作品もお願いします<(_ _)>

  • 好きです「黒長野」。
    BLですがそれだけではなくSFでもあり。
    性別があやふやで、でも男とか女とかは大事なことではなくてその人がその人であることの方が…というようなことを思いました。
    性染色体がYYか…という世界ですが(XXYの症候群は実在するのですね)、不燃ゴミの白い羽が舞う夢の島、素敵。

  • 難しい。
    夏のコンクリートみたいな無機質な場所で遺伝子変異?操作?で、自意識があるのかないのか狂っているのか狂っていくのか。
    主人公の温(はる)がABITAS‐C1で見え方が違う。

    長野まゆみ作品の最初ってファンタジー色が強くて、SFっぽくなって、昭和かな。
    そのSF期。

  • さらっと一読しただけでは、よくわからない所がまだまだある。しかし、よくわからないけれど面白いし惹かれるのが不思議だった。長野まゆみさんに興味を持つきっかけになった作品。
    愛情と行為を分けていた所も魅力だった。
    自分がここにいることに対する肯定を、他者から自分が必要とされることを求めて時に縋りたくなる気持ちもよくわかる。
    温に感情移入していたのかもしれない。
    とりあえず、もっかい読もう!笑

    一年ぶりに再読。というわけで勿論サマーキャンプの意味もわかった上で読んだ。前回よりも人間関係や登場人物たちのセリフの意味が入ってきやすかった。初めて読んだときはその世界観にただただ圧倒されるばかりであったが、2回目の今回では本著が生殖医療が進化した世界で生まれた人々の存在、彼らの葛藤そし自己容認を描いた物語なのだと広い意味で捉えることができた。(前回は登場人物と自分を重ねるというある意味独りよがりな読み方をしていたと思う。)

  • じぶんはSFが得意でないからか、難しい 図書館の貸出期間中に理解しきれなかったけれど、処理施設のシーンが印象的 もう一読したいので、本屋さん行って来ます

  • ああ、長野まゆみさんはやっぱり頭がおかしいなと。

    再読します。
    メモを取ってもう一度頭の中を整理しないと、この本を本当に楽しむことはできないようだから。

  • インターセクシャルが根底のテーマにある近未来小説。どちらかといえば家族モノかも。

    女性と接触するとアレルギー反応を起こす男子高校生が主人公。
    ある日男女両方の人格を持つ”弟”が現れる。
    自分と家族の出生の秘密を知るひと夏の物語。

    登場人物がことごとく偏屈で人間味がない。
    そういうストーリーで設定なのだけれど最後までピンと来ないで終わってしまった。
    生殖医療が進んだことで特殊な血縁の残し方を始めた一族の話なわけだけれどストーリー的なピークが感じられず。
    最後に明かされる仕掛けもイマイチしっくりこなかった、しっかり読むかもう一度読み返したらなるほどと感心できただろう。

    こういう系統の話は誰かしら登場人物に感情移入ができないと難しいかも。病んでるキャラは好きなものの…。

    http://www.horizon-t.net/?p=826

  • 彼女作の「ぼくはこうして大人になる」と少し近かった。清浄な淡白な文章と設定、ドロドロで欲望と希求溢れる内容。長野まゆみの、錯綜した性や女性男性の垣根を分からなくさせる得意の内容だった。読んでいて誰が何の性別でどんな印象でどんな人物なのかわからなくなる。いかに自分の人物評が性別に依るかが分かって嫌になった。ジェンダーの問題を主眼に置きつつも主人公、温の性別や染色体や病気を探るものではなくてそれは唯の手がかりで自分は何者なのか、どういう生活をしてきたか誰なのか、社会と相対的に存在する自分はどこにいるのかを探っていった。
    自分が何者なのかということを探ることで自分の世界、自分にとっての愛おしいものをがむしゃらに品位なく探し涙しみっともなく理解することを書いていた。

    「ぼくはこうして大人になる」と似ているといったのは、守られる存在、自分が弱い立場でありながらそれにうすうす気づきつつも見て見ぬふりをしてある意味で傲慢に自分の世界を暴こうとする様が見える点だ。
    でも彼は気づいてしまう。自分は子供で守られるがそれは薄氷の上にあるものだと。親子の絆はとうになく、叔母の信頼という愛はもう少し他の通常とは異なり、辰は放蕩者だ。時にそれらは無遠慮な温の言動によって爆発し、自分の立ち位置をいつも知らされる。

    記憶と視点がごっちゃになっているのでたまにパラパラよみ返しながら読んだ。ふわふわ読もうとするとわからなくなる。キャラの一部がなんかエヴァみたいだな。

  • 長野さんの文章は、こわいくらい美しいんだけど
    何が言いたいかはあまり分からない。

    内容というよりも、雰囲気を楽しむ感じなのかも。

  • めっちゃ好きな「新世界」と雰囲気は似てるなあと思ったんやけど、こちらはそれ以上にどぎつかった…

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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