- Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167693039
感想・レビュー・書評
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女の人は足を開くの、嫌じゃないのかな、
とか考えながらするセックスの描写が何より記憶に残ったのは、
平然と、日常のような顔をして、
いつでもわたしたちはわざとらしくて、
記号を積み重ねて生きていることを、
まざまざと思い起こさせられたからだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初めて読んだ長嶋有さんの長編。
感想難しいなぁ…というのが読後最初に思ったこと。面白さを楽しむ系統ではないし、ハラハラドキドキもしないし、ときめく系統でもないし、謎解きもないし。
言葉や登場人物の台詞が印象に残る系統、とでも言えばいいのか。
主人公の失職と妻の浮気がきっかけで(どちらが先か?という問いもあり)離婚した主人公夫婦。だけど離婚後も元妻から毎日連絡が来て、2人は頻繁に会っている。
昔からの友人の津田はプレイボーイで、日々女の子を取っ替え引っ替えしているところが逆に厭世的に見える。主人公はプレイボーイではないものの、時々若い女の子と一夜を共にしたりする。
主人公と津田の会話が俗っぽくて、実際男同士だとこういう会話もするのだろうな、とリアルに感じる。俗っぽいけれど、哲学を感じる部分もあったりして。
人間関係ってすべてがすっぱりと割り切れるわけではなくて、主人公と元妻のように形としては別れているけれどなんとなく関係が続いていたり、そこに思いが残りながらも他の女性と肉体関係を持ったりもする。そういうところが何だか全部リアルに感じた。
時系列が行ったり来たりして多少混乱するところも狙いなのかなと考えたりした。
タイトルの意味が、時系列とか人間関係とか、様々な意味で「平行」なのかと。
色んな小説を読んできたけど、読後好きなのか嫌いなのかも判別しづらく、後を引くようなそれでいてすぐ忘れてしまうような…とにかく初めて読む感覚の物語だったので、とりあえずそういう意味でとても印象に残った。 -
少しずつ少しずつ、何かが心に積もっていくような小説だった。
悲しいようで、希望がある。 -
別れた奥さんより親友との友情が良いね。
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別れたばかりの若い夫婦の微妙な距離感が面白く感じられた、という普通の感想では何も描けない不思議な雰囲気の文章。台詞と記述がつながって書かれていてどこが会話かどこが心の中かを、考えるというより感じながら読み進めた。いまひとつ登場人物に共感できずに近寄れずにいたことが読み手として消化不良だったか。