帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1081
レビュー : 122
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167753696

感想・レビュー・書評

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  • タイトルが本当に秀逸。


    料理家であり文筆家の
    高山なおみさんが書いたこの本と
    三年前に出会い、

    あまりにも好きで
    あまりにも読み過ぎて
    あまりにも共感し過ぎて、
    ずっとレビューが書けなかった
    切なさの塊のようなエッセイ集です。



    ウォン・カーウァイ監督の「天使の涙」での
    愛する人を亡くした若い女が
    ひとり夜中の食堂で
    焼きそばを食べるワンシーンの
    強烈に胸を打つエピソードと
    高山さんの家族との
    病室でのやりとり、

    家に帰りたくない人たちがあふれる
    夕方の公園で聴く
    フィッシュマンズのナンバー、

    桜の木の下でひとつになる
    たましいの恋人たちの話、

    ひとりで食べる
    手作りのカレーと
    背中からずんっと入ってくる
    「さびしい」という言葉、

    死んだ友人が作った
    雨の中を進む
    マーチのような曲、

    自分はこういう者ですと誰かに言える人になるために
    アメリカに旅立った彼女の話、

    そんな夢のように儚くて
    センチメンタリズム溢れる
    甘やかな文章と
    浮かんでは消えてゆく哀しい色たち。


    そして
    「落ち込んだ日のスープ」や
    「彼女の焼き豚」
    「眠れない夜のカクテル」
    など様々な料理のレシピや写真、
    高山さんのプライベートを日記形式に綴りながら、

    自分と向き合うこと、
    曖昧な自分自身を
    受け入れることしか
    生きる術はないのだということを
    この本は教えてくれる。


    高山さんが
    まだ何者でもなかった頃の苦悩や葛藤が、
    同じように今現在
    何者かになろうとして
    悶々とした心を抱えて生きてる人や
    過去に囚われ立ちすくんでしまっている人の
    胸の中の深い深い
    核の部分に
    共鳴していく。


    そんな、もがき続ける人たちには
    本当に切なくて
    もどかしくて、
    苦しくて
    胸が痛くて、
    でも愛しい一冊となるんだろうな。
    (クラムボンの原田郁子の解説がまた
    本当に素晴らしいのです!)



    自分に正直であること。

    誰が何と言っても、
    自分の好きに
    誇りを持っていいのです。

    自分にしか分からないスペシャルなことを
    一つ一つ味わってゆけば
    それは自分の核となり、
    いつか自分自身を救ってくれる。


    そうですよね、高山さん。

    • vilureefさん
      こんにちは!

      うわ〜、素敵なレビュー(≧∇≦)
      高山さん好きです、あの力の抜け具合が。
      素材を生かしたお料理はもちろん。
      高山さんも色々迷...
      こんにちは!

      うわ〜、素敵なレビュー(≧∇≦)
      高山さん好きです、あの力の抜け具合が。
      素材を生かしたお料理はもちろん。
      高山さんも色々迷って今に至るのですね・・・

      絶対読みます。
      ありがとうございました。
      2013/07/16
    • 円軌道の外さん

      遅くなりましたが
      vilureefさん、
      コメントありがとうございます!


      いやぁ〜この本は
      もう何度読んだか
      わかんな...

      遅くなりましたが
      vilureefさん、
      コメントありがとうございます!


      いやぁ〜この本は
      もう何度読んだか
      わかんないくらい好きで、
      一時期いつも鞄に入れて持ち歩いてたくらい
      ずっと手離せなかったんですよね〜(^_^;)

      いまでこそ
      明るくて凛とした感じの印象が強い高山さんやけど(笑)、

      まだ高山さんが何者でもなかった頃の
      苦悩や葛藤が文章の隅々から
      匂い立つようで、

      こういう感性を大事にしたいし、
      忘れないでいたいなぁ〜って
      いいおっさんになった今も
      これ読むために思うんです。


      はっきり言って
      暗い内容が多いし(笑)
      内省的過ぎるので
      誰にでもオススメできるエッセイではないけど、

      音楽好きや
      切ない時を忘れたくないって人には
      確実に響く内容だと思います(^_^)v


      もしよかったら
      また読んでみてくださいね。


      2013/08/18
  • 読み始め...09.6.2
    読み終わり...09.6.20 

  • 友人に薦められた一冊。日々をこんなにドラマチックに感じるセンスがあるのか。私の平凡な毎日ももしかしたらもっとドラマチックなのかも?どんどん読み進められるわけでもなく、気持ちの良い文章でもなく、でも読まずに居られるわけでもなく。エッセイのような短編小説を読んでいるような。煮詰まったスープを飲みたい。

  • 著者が料理家になる前の日記を中心にしたエッセイ。
    やっぱりこの人の文章好きだな、と思った。前に読んだエッセイ(高山ふとんシネマ)よりも、迷いだとか苦しんでる感情がさらに正直に綴られている気がする。
    見た夢のことが唐突に書かれていたりもするから、現実の出来事なのか最初判別がつかなくて、ふわふわした雰囲気なのも好きな感じ。

    観た映画や絵画展のこと、家族のこと、普段の日常。それに料理のレシピがついているのだけど、写真に気取っていない良い意味での雑さがあるところが良い。

    いわゆるリア充な私の生活を見て!的な要素が全然なくて、楽しい日も落ちてる日も良いことも嫌なこともそのまんま、という、読んでいてもフラットな気持ちになれるエッセイでした。タイトルも好き。

  • お守りみたいに大切な本。元気なときは存在さえ忘れているのに、心がすかすかになったら真っ先に思い出す。棚の一番奥にしまわれている秘蔵の薬みたいに、ちょっとでいい。数ページ読めば、心にしみこんで、じんわりあたたかい。

    大丈夫。生きていける。

  • 料理家 高山なおみさんの言葉が、「眠れない夜のカクテル」のごとく静かに染みてきます。苦くはないけど甘くはない。濃くはないけど甘くはない。そんな気がします。

  • 高山なおみさんという方をよく知らずに読み始めたので、プロローグを読んでこんな素敵な文章を書く料理家さんがいるのかと衝撃を受けると同時に、嬉しくなりました。
    もっと他の本も読んでみよう。

  • ところどころにいい言葉はあったんだけれど、前後がわからなくて場面も想像しきれなくて感情移入できなかった。
    こういう不思議な文を書く人はたくさん居るけど、ここまで作者の頭の中で完結されちゃうとわかりにくい。

  • どこかで紹介されていて、へーどれどれと中古で購入。
    独特の文体ですが、すらすら読める。
    ふわーっと読んでいるとズガンと頭に響く一文があったりして、こりゃいかんとふせんを付けつつ読了。
    巻末にレシピが掲載されているのがまたいいです。
    この本は高山さんの核となる、ふぬふぬした原始的なモノという表現になんかちょっと分かった気になってしまった。
    通勤電車内ではなく、休日の昼下がりにぼーっと読みたい本。

    2013/08/12-14

  • じわじわ、身体中から、泣けてきて泣けてきて。
    どこを読んでも、必ず何かを思い出す。似た文があるとかそういう意味ではなくて、もう既に自分の中にあった色々がじわじわっと、浸み出してくる感じです。
    色褪せない一冊だと思います。

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著者プロフィール

料理家・文筆家。レストランのシェフを経て料理家に。素材の味をいかしたシンプルな料理が人気。文筆家としても活躍しており、絵本制作にも取り組んでいる。近著に絵本『おにぎりをつくる(写真・長野陽一)』(ブロンズ新社)、『それから それから(絵・中野真典)』(リトルモア)『帰ってきた日々ごはん⑦』(アノニマ・スタジオ)などがある。
www.fukuu.com

「2020年 『人と暮らしと、台所』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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