- Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167808013
作品紹介・あらすじ
貞淑な妻を部下に寝取られ、独り自慰に耽る中年男の妄執。若気の至りの稚児趣味と、その無残な結末。快楽教に堕ちた男女の、狂宴の一夜。ロマンポルノの女王・谷ナオミの、哀しいほどに潔い半生。倒錯した性を描きながらも、なおも飄逸味を失わない傑作四編。緊縛の文豪が老境にして切り拓いた新境地を見よ。
感想・レビュー・書評
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谷ナオミさんの映画を梅田で観たのを思い出した。なぜか卒論で使うという女友達と、京大生男子と三人で…。貴重な体験でした。いたってまともな人なんだなという印象。ドキドキしながら読めました。けど再読はないかな
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先日読んだ『赦す人――団鬼六伝』の中で、タイトル作の短編「不貞の季節」について、かなり紙数を割いて言及されていた。それで興味を抱いて読んでみたしだい。
「不貞の季節」「美少年」「鹿の園」「妖花 あるポルノ女優伝」の4編を収めた短編集である。
「不貞の季節」は、団鬼六の最初の妻が不倫に走り、それが原因で離婚に至るまでの顛末を元にしたもの。『赦す人』と併せて読むと、どのあたりが脚色されているのかがよくわかる。
古い言葉で言えば「コキュ(cocu=妻を寝とられた男)もの」、流行り言葉で言えば「NTR(ネトラレ)もの」である。
団は妻の不貞を知って見苦しいほど動揺するのだが、それ以前に自分はさんざん不倫をしたり愛人を囲ったりしているのだから、妻に対する激しい怒りは身勝手と言うしかない。
それはともかく、「NTRもの」としてはなかなかよくできた小説である。映画にもなったそうだ。
他の3編も自伝的な作品であり、元ネタになった話が団のエッセイの中に登場している(『一期は夢よ、ただ狂え』など)。エッセイと読み比べてみると、それぞれがかなり脚色されている。
団鬼六の作品にはSM小説と一般小説の二系列があるわけだが、本書に収められた4編にはそれぞれ強烈な性描写があり、一般小説とSM小説の中間に位置するものといえる。
団が私生活においても長く交友を結んだ、ポルノ映画における「SMの女王」――谷ナオミを描いた「妖花」が、際立って面白い。もう少しふくらませて長編にしてもよかった気がする。谷ナオミの波乱万丈の半生自体がドラマティックだし、彼女は女優としても、一人の女性としても魅力的だ。 -
面白い。人間が、苦しむのも歓ぶのも、エロだってことがわかる。団先生のエッセイも好き。
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「美少年」目当てで。ノンフィクションじたてというか、実体験と虚構の織り交ぜが団鬼六らしい諧謔みがありました。
表題不貞の季節、リベンジポルノでは?と思われかねんが、というか女優と寝たのも打ち明けてるしそれで飯食ってるんだからさすがというかなんともはや…
「美少年」は性同一性障害じゃないかなぁ。という感