マンガホニャララ (文春文庫 ふ 36-1)

  • 文藝春秋
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本棚登録 : 206
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167838539

作品紹介・あらすじ

誰も指摘しなかったことばかり。脅威の68本!宮崎駿と花輪和一の類似性とは? 少女漫画の後書きで著者はなぜ過剰にへりくだるか? 為にはならないが、最高に面白い漫画コラム。

感想・レビュー・書評

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  • ブルボン小林氏の漫画コラム。

    相変わらずの「痒いと思ってなかったのに掻いてもらってはじめて痒かったと気づく」ようなプチ快感なコラムだなあ。

    特に浦沢直樹さんの漫画に対するモヤモヤする違和感「面白いんだけど、上手いと思うんだけど、なんだか納得できん」の正体が分かってスッキリした。

    マイナーな作品も多いが、独自の視点で読ませてくれて、興味を引かれたものも。
    一番気になったのは最近『うつヌケ』でヒットを飛ばした田中圭一さんの『神罰』。ブラック・ジャックが「エロゲーってのはな、こうやるんだ」とのたまいつつサファイヤやメルモを攻略するためにパソコンのマウスをカチッカチッと動かすシーンがあるらしい。神をも恐れぬ同人誌マインド!それを超絶的な漫画の腕(手塚さんが描いたとしか思えないほどのコピー感!)で見せる。くだらん、と思う人もいるかもしれないが私はそういうものに感動してしまう。いや、手塚さんの漫画も大好きで大尊敬していますが。

    文庫版のふろくはピエール瀧さんとの対談と『ドラえもん』のスネ夫の自慢148発。

  • きみ、れいせいにおちつきなさい。
    ドイツというのは外国だよ。
    外国というのは新宿より遠いんだよ。
         『ドラえもん』より

     エピグラフにこれを持ってきてる時点で「この本好きだ」と思った。私もドラえもんは相当好きなのだが、読み過ぎで細部の変なところにおかしさを感じるような状態になっている。冒頭のエピグラフは「ゆうれい城へひっこし」という話で、ドラえもんが「ドイツなど簡単に行けないだろう」とのび太を諭すセリフなのだけれど、ちょっとドラえもんの諭しかたがズレているというか大人なんだか子供なんだかわからない感じがなんか笑いを誘う。『ドラえもん』のセリフにはわりとこういうのがある。藤子先生が好きだった落語の影響なのだろうか。

     ちなみに私が初めて覚えたドイツ語はこの「ゆうれい城へひっこし」に出てくる「ヤパーナ(日本人)」ではなかったかと思う。あとこの話にはロッテさんという人が出てくるのだけれど、『若きウェルテルの悩み』にロッテが出てきたり、トーマス・マンの『ワイマルのロッテ』という題を見たりするたびに、「あのドラえもんに出てきたロッテさんはいろんなところに出てくるのだな」と思ったりしたのだった。

    話がおかしな方向にそれているので『マンガホニャララ』に戻す。

    ブルボン小林こと長嶋有さんのマンガ論で、単行本だった頃から狙っていたのだが、うかうかしているうちに文庫化(うれしいけど)してしまった。ハットリくんの表紙絵がやはりいいなあと思って早速買って読む。

    目のつけどころが本当に面白い本だった。『にこたま』の地に足がついた感じ、『シンプル ノット ローファー』のキャラの覚えられなさ。読んだことのあるマンガに対する話は「なるほどなあ」と感心する。読んだことないものもかなり読みたくなった。本書で3回も言及される『打姫オバカミーコ』がかなり気になる。麻雀ちょっとわかるしいいかもしれぬと思った。絵がスゴイけど…

    ブルボン小林さんの読み方は少しひねくれていると映る人もいるのかもしれないけど、自分にはこういうのが楽しい。

    最後に文庫版の付録としてついている「スネ夫全自慢148連発!」は声を出して笑った。

    • kwosaさん
      花鳥風月さん

      リフォローありがとうございます。

      長嶋有さんの書く物語には、マンガやゲームなどのカルチャーがさりげなく活きていて面白いと思...
      花鳥風月さん

      リフォローありがとうございます。

      長嶋有さんの書く物語には、マンガやゲームなどのカルチャーがさりげなく活きていて面白いと思うのですが、この本もまた面白そうですね。読んでみたいです。

      幅広いセレクトの本棚と膨大な数のレビューにわくわくしています。
      時々、覗かせてもらいます。
      これからもよろしくお願いします。
      2013/04/14
    • 花鳥風月さん
      kwosaさん こんにちは

      フォロー&コメントありがとうございました。

      『マンガホニャララ』は長嶋有さんの独自の目線が活きていて面白いで...
      kwosaさん こんにちは

      フォロー&コメントありがとうございました。

      『マンガホニャララ』は長嶋有さんの独自の目線が活きていて面白いです。よろしければ。

      私もkwosaさんの本棚拝見しました。朝井リョウさんの成長っぷりが気になっています。

      私もちょこちょこ本棚見に来ます。こちらこそどうぞよろしくお願いします。
      2013/04/14
  • すでに単行本で読んでましたが、いつものごとく手放してしまったため、
    文庫が出たというので即買いに走りました。

    ブルボンさんは文章がおもしろい。
    この人の言い回し(書き回し?)だけでクスリと笑えてしまいます。

    特にこの文庫版には、巻末にスネちゃまの「自慢148連発」が
    掲載されています。
    ここにもブルボンさんの一言が。
    「将来さえ自慢(P.272)」とか、さらりと書いてあるので
    グフフと笑ってしまいます。

  • 2023.07.22 朝活読書サロンで紹介を受ける。巻末にスネ夫の自慢リスト。物、人間関係、海外、余裕。時代の世相を表している。

  • #2684-446

  • キャプテンのことが書いてあって嬉しくて思わず買っちゃった本だな~
    買った本屋は潰れて塾になってしまった

  • おもしろかったよ。読みたくなったし。読み続けてるうちに置いてきぼり感もある。ひとりで先に行っちゃった(喋りながら)。対談がもっとおもしろかった。瀧が言ってた、小説はパーソナルなのに対してマンガは共有してなんぼって感覚、いいな。

  • 726

  • 4〜5

  • 読書録「マンガホニャララ」4

    著者 ブルボン小林
    出版 文藝春秋

    p76より引用
    “知人曰く「やはり人気が出る漫画は、一巻
    からヒキの強さがちがう」のだそうだ。”

    目次から抜粋引用
    “「面白い」だけでは愛されない
     「キャラ」と「個性」は違います
     彼氏に薦めるマンガ
     「たかがマンガ」といわせてほしい”

     数多くの連載を持つコラムニストによる、
    マンガ評論コラム集。
     多くの人が知っている作品からマイナーな
    作品のほんの一部分まで、独特の切り口でマ
    ンガへの思いが記されています。

     上記の引用は、著者の知人についての一文。
    人気漫画の一巻だけ読むことにしたそうです
    が、人気漫画とわかってよむからこそ、一巻
    のヒキが強く感じられるのかもしれません。
    なんの予備知識もなしに、一巻ばかり多くの
    人に読んでもらったら、きっと結果はかなり
    ばらけるのではないでしょうか。
    そうでなければ、今みたいに数多くの漫画が
    世の中に出てくることはなかったように思い
    ます。
     漫画やアニメが日本の文化だ、と言われる
    ようになっていますが、穏やかな時でないと
    ゆっくりと楽しめませんね。
    世の中が穏やかでありますように。

    ーーーーー

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著者プロフィール

ブルボン小林(ぶるぼん・こばやし)
1972年生まれ。「なるべく取材せず、洞察を頼りに」がモットーのコラムニスト。2000年「めるまがWebつくろー」の「ブルボン小林の末端通信」でデビュー。現在は「朝日新聞」夕刊(関東、九州、北海道)、「週刊文春」、「女性自身」などで連載。小学館漫画賞選考委員。著書に『ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ』(ちくま文庫)、『増補版ぐっとくる題名』(中公文庫)、『ゲームホニャララ』(エンターブレイン)、『マンガホニャララ』(文春文庫)、『マンガホニャララ ロワイヤル』(文藝春秋)など。

「2018年 『ザ・マンガホニャララ 21世紀の漫画論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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