虎と月 (文春文庫 や 54-2)

著者 :
  • 文藝春秋
3.17
  • (10)
  • (28)
  • (64)
  • (22)
  • (2)
本棚登録 : 414
感想 : 56
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167900113

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 教科書でお馴染みの「山月記」の李徴の息子が成長し、父が虎になった理由を探して旅をするという話。あらすじに興味をもって買いましたが、ミステリーと言われるとちょっと悩む。「虎」という言葉のもつ意味や、ニュアンス、為政者によって歪められる正しさ、とか言葉遊びとしてはなるほどというところがあった。名付けることで世界の中のものたちは、あるものになるわけだけど、それぞれの差異や多様性は無視されて、あるものに固定されてしまう。虎はおそろしいけだもの、そのイメージを保ちながら、父李徴について理解を深めて、異性に憧れを抱いて成長していく物語だったのかな~。

  • 教科書でお馴染み、エリート官僚が虎になっちゃう「山月記」
    息子がその真実を見つけるミステリ風味。
    “本読む若者を増やす“企画が元なので、原作リンクと読みやすさは折り紙付き。

  • 2014 1/30読了。京都駅のふたば書房で購入。
    あの中島敦の「山月記」の李徴の子どもが、父が虎になったのならば自分もまた虎になるのではと悩み、父の虎化の真相をたどりにいく話。
    ・・・とあらすじを読んで「そいつは面白そうだ!」と購入し、実際話は面白いのでさくさく読み終えられたのだが。
    いやあ・・・こりゃダメだろう。
    「人が虎になる」というありえない事態の解説としては面白いかも知れないが、その結果肝心の「李徴がなんで虎になったか」が中島敦と全然変わってしまっているじゃないか。
    それじゃ納得いかんだろ、ってことで☆3つ。

  • 中島敦の山月記の柳広司による後日譚
    なぜ、父は虎になってしまったか?
    なるほど、と言っておこう。

  • ミステリとしてより、ファンタジーとして読めばおもしろい。

  • あの『山月記』の、その後。
    文庫化されるのが待ち遠しかった。

    李徴の息子が、なぜ李徴が虎になったかを追うミステリー。
    あくまで、一つの解釈として。

    臆病な自尊心と、尊大な羞恥心。
    このように自分を評価する李徴が好きで、詩作という世界に没頭する(しかなかった?)彼が虎になる末路を何度味わえただろう。

    だから、柳広司版李徴の柔らかさが、やや物足りない気がする。また、息子はどちらかというと袁傪に近いような……。

    ただ、解釈そのものや『山月記』の読み方は好きで、一つの物語としては楽しめた。

  • 中国文学をかじったことのある者としては、中国文化の背景描写が、心もとないなあと思ったけれど、
    ふと、違和感の源が、中国古典そのものではなく、
    中島敦や芥川龍之介の中国小説世界との差であることに気がついた。
    それならば、受け入れなければいけない。
    現代日本人の描く中国古典。

    まあ、ミステリにこんなことでつっかかるのも大人気ないか。

全56件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

一九六七年生まれ。二〇〇一年『贋作『坊っちゃん』殺人事件』で第十二回朝日新人文学賞受賞。〇八年に刊行した『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞。他の著書に『象は忘れない』『風神雷神』『二度読んだ本を三度読む』『太平洋食堂』『アンブレイカブル』などがある。

「2022年 『はじまりの島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柳広司の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×