新装版 螺旋階段のアリス (文春文庫) (文春文庫 か 33-6)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907013

作品紹介・あらすじ

大企業のサラリーマンから、私立探偵に転身を果たした仁木順平。しかし憧れのハードボイルドな事件の依頼は皆無、事務所で暇をもてあましていた彼の前に、真っ白な猫を抱いた桜色のワンピースの美少女・安梨沙が迷いこんでくる。・初めての依頼人は、先月夫が亡くなり、貸し金庫の鍵を探してほしいという主婦。金庫の鍵は家の中にあるというのだが、完璧な主婦の目から逃れられた隠し場所とは? ……「螺旋階段のアリス」・自分が浮気をしていないという調査をしてほしいと依頼する若い美女。夫の出張中、二人は彼女の行動を見張るが。 ……「裏窓のアリス」・行方不明の犬を探してほしいという老婦人。死んだ夫が三十年も前にプレゼントしてくれたというその犬は、老婦人の妄想の中の〈幻の犬〉なのか?……「中庭のアリス」・ビルの地下にある、誰もいない鍵のかかった書庫で、延々と鳴りつづける電話の目的を知りたい――〈地下室の番人〉山端から依頼を受けた仁木は、久しぶりに元の会社を訪れる。 ……「地下室のアリス」・仁木の古い知り合いである真栄田氏は、妻が自分を週に数回用事を頼んで外出させる理由を知りたいというのだが。……「最上階のアリス」・産婦人科の院長から、赤ん坊の世話を頼まれてしまった二人。探偵の仕事ではないと憮然としながらしぶしぶ引き受けるが。……「子供部屋のアリス」・休みに入ったまま現れない安梨沙。心配を募らせる仁木のもとに一人の男が現れる。……「アリスのいない部屋」心あたたまる七つの優しい物語。

感想・レビュー・書評

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  • オール讀物1997年4月号螺旋階段のアリス、11月号裏窓のアリス、1998年11月号中庭のアリス、1999年6月号地下室のアリス、11月号最上階のアリス、2000年6月号子供部屋のアリス、10月号アリスのいない部屋、の7つの連作短編を2000年7月文藝春秋から刊行。2003年11月文春文庫化。2016年9月文春文庫新装版化。アリスシリーズ1作目。サラリーマンを辞めて探偵業を始めた二木と押しかけ助手の安梨紗の新米探偵業の事件簿。アリスの童話になぞらえる場面が必ずあり、ファンタジーめいた依頼理由と謎は、言い換えるとあやふやな出来事と解決にも思えます。ちょっとフワフワしたところのあるミステリかな。「最上階のアリス」のラストに犯罪を見逃すような下りがありますが、似合わないです。ここはもっとスマートに締めて欲しかった。

  • 2020/11/6
    あれ?読んだことある?とうっすらとした感じ。
    調べたら2013年に読んでました。
    でもほんと覚えてないんだよ。
    空き缶をベランダに並べてる場面だけ覚えてた。
    でも確かにパンチが弱いよなぁ。
    知らなかったけど続編があるのでまた読んでみよう。

  • 鬱々とした現実から逃避したくて選んだこの本、私にとっては予想以上に「当たり」となりました。
    7つの事件はすべてに人を思うやさしさに包まれており、荒んだ精神状態には良い薬となったと思えてなりません。
    読み終わるのが惜しいと思っていたらなんと続編も新装版で先月刊行されたばかりだというではありませんか。
    未読で積みあがった本のどれよりも今は気になって仕方がありません。

    あらすじを書くのも不粋というもの、冒頭を3分だけ立ち読みされることを是非ともお勧めしたいところです。

  • おじさまと若い美女で、恋愛感のない、好きな組み合わせ。ミステリーも面白く、登場人物も感じが良い。
    文章のリズムも良くて、楽しかった。

  • 脱サラした私立探偵と、猫と一緒に現れ助手となったアリスの様な女の子が事件⁉︎を解決していくお話。
    不思議の国、鏡の国が好きな人には楽しい1冊です。アリスのキャラクターや科白が出てきたらニヤニヤしてしまいます。

    短い話ですが、謎解きも結構面白かったです。

  • かわいい上に頭脳明晰!って感じのキャラクターはあんまり好きじゃないけど謎解き部分は面白かった。

  • 早期退職制度を使い始めた探偵業。最初に訪れたのは猫を連れた少女安梨沙。秘密めいた彼女の言葉通りに少しずつ現れる依頼者たち。その事件を解き明かしていく。安梨沙のなぞも。何故探偵をはじめたのか。そして二人の行く末は。

  • 大企業を早期退職して私立探偵となった主人公の仁木と、彼の助手の安梨沙が活躍するアリスシリーズ第一弾。
    本作はいわゆる日常の謎と呼ばれる、殺人事件の起こらない推理小説の短編集です。
    同じ相手と離婚と結婚を繰り返している女性から依頼されたのは、つい先日亡くなった元夫(死亡時には離婚していた)が残した金庫の鍵を探すことだった(螺旋階段のアリス)
    その他、向かいのビルに住む女性から来た奇妙な浮気してない調査が思いもよらない展開を生む裏窓のアリス、行方不明になった犬が実際にはとっくに死んでいる?! 奇妙な犬探しが絡んだ純粋すぎる女性の物語「中庭のアリス」など、7作の短編が収録されています。
    1作は約40ページ前後と読みやすく、気軽に楽しめる作品です。しかし、連作短編集という側面があり、各短編に貼られた伏線が最終章「アリスのいない部屋」で、美少女助手の安梨沙の思いもよらぬ正体に収束するさまは長編のような爽快感もあります。

    【こんな人におすすめ】
    日常の謎が好きな人

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/684221

    サラリーマンから探偵へ転身した仁木の元に、美少女・アリサが迷い込んでくる。
    有能な彼女を助手に雇い、2人で依頼人の抱える事件を解決していく。

    凸凹コンビが依頼人の抱える事件を解決していくほっこりミステリーです。
    “不思議の国のアリス”に準えた表現や可愛い表紙が、幻想的な雰囲気を漂わせます。

  • 探偵事務所に迷い込んだ猫と少女。 夢みたいな設定だけど、時間はちょっとだけブラック。残虐ではないけども、考えさせらる。 自分だけが知らない、整えられた生活。生活のために悪いことをしていたり、でも会社を守るために沈黙したり。愛するあまり、殺そうとしたり…「最上階のアリス」は悲しすぎた。残されて途方に暮れるのも嫌だけど、残していかなくちゃならないことも嫌だろうなあ… 「アリスのいない部屋」もよかった。仁木がきちんと奥さんと向き合ったこと。素敵な家族も。 続編もまた読もう。

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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