火花 (文春文庫 ま 38-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907822

感想・レビュー・書評

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  • 小説というより表現論だなぁと思って読んでいた

  • 読もう読もうと思って後回しにしていてやっと図書館で借りて読んだ。ピース又吉の芥川賞受賞作品。芸人が書いた芸人が出てくる話ってだけで明るい雰囲気の作品だと思っていたけど結構ダークな話だった。普段私達が見ている芸人の明るくて面白い部分って見えないところで苦労して必死に作られているんだな、スポットライトを浴びる表舞台に立ってるのって本当にひと握りなんだなと改めて思った。自分が面白いと思って作り上げたものが誰かに否定されるのって本当に死にたくなるのに、一般ウケを目指さず自分が面白いという物を只管に貫く神谷の姿勢はすごいけれど過激で怖かった。特に赤子を笑わせようとするシーンとラストは狂気過ぎる。真面目な徳永がどうしてそれほど神谷に憧れたのか不思議で感情移入出来なかった。神谷の過激さばかりが印象に残っているけれど、読み直したら神谷の良い部分をもっと拾える気がするな。

  • 神谷さんはどう考えても変人で不器用で理解不能なんだけど、こういう突き抜けてる人に憧れる徳永の気持ちも分かるなぁ。

    でもタイトルはなぜ火花なんだろうと考えた。
    花火みたいにドカンと打ち上がらなくとも(いわゆる安定した人生じゃなくても)焚き火の火花みたいにパチパチ火を灯し続ける泥臭い人生、バッドエンドの美しさみたいなものを表現したかったのかなぁ?

  • 【自分用メモ】

    ちょうど本を出して、自信作なのに思ったほど売れないのが悔しい中映画を見たので、最後の言葉に救われたな。。。
    私は花火になれない火花かもしれない。でも花火を夢見て努力できる時間はとても尊いものだ。よし、頑張ろう


  • 人の物差しって本当にそれぞれで、だからこそ人間関係は面白くて難しい

  • 面白かった。主人公が芸人なので、出てくる会話のテンポや言葉がとても新鮮でした。夢を追いかけることや、選んだ道に区切りをつけること。そこに付随する思いの強さや激情が直に肌へ伝わってくるようでした。

  • 「共感」というものの恐ろしさ

     「火花」は非常に面白い作品であった。が、感想を書くことが非常に難しい。今まで読んだ小説とは、何か違うものを感じたのだが、それを言語化できないことがとても悔しい。ここまでくると、もはや本当に面白いと思っているのかさえ、疑ってしまう。
     だが、今までに見たことのない「神谷さん」という人物には、何度も驚かされ、笑わされ、考えさせられた。突然訳の分からないことを言い出したかと思えば、真面目な話をしだすという本当によく分からない人だった。だがそんな彼は徳永の言うように、まっすぐな人なのだろう。軸があり、全くブレることがなく、白黒はっきりしている姿は、とてもかっこよかった。徳永が憧れるのも当然だ。だが、そんな神谷さんが終盤で弱音を吐き、徳永に縋り付く姿を見たときは、やはり彼も1人の人間なのだと実感した。自分のことを誰も面白いと思ってくれない恐怖は、多くの人が感じたことがあるだろう。人を笑わせることが好きな人は特に。神谷さんがそれを恐れていると知ったときは、本当に人間らしいと思った。だが、あれほどまでに頼もしかった神谷さんが自分を見失っている姿は見ていてとても心が痛んだ。
     この本は、大きくなってから再度読み直そうと思う。正直、読んでいてイマイチ理解できなかった箇所が多々あるのだ。だから、大きくなってから再び読み直し、分からなかった箇所がどのように見えるのかを確かめてみたいと思う。
     又吉直樹先生、不思議な本を書いてくださり、本当にありがとうございます。この本をさらに楽しめるようになるために、これからも尽力していきます。

  • "ピースの又吉が芥川賞受賞"というのを耳にして、作家の道の方が彼にとって本望なのかな、ぐらいに読む前は思っていましたが、読んでみて「あ、この人本気でお笑いが大好きな芸人さんなんだな。」と確信。
    文章から滲み出るユーモアに私を含め、きっと多くの人が惹き付けられたはず。
    この一冊にとどまらずこの人の書くものをもっと読みたい、と思わされることはなかなか無いので、彼の作品に出会えて良かったです。

  • 想像を裏切られた。良い意味で。
    若手漫才師の青春群像ストーリーかと勝手に思って読まなかった自分を殴りたい。
    むちゃくちゃ面白い。
    だがしかし、まさかヤマが神谷さんの○○手術とは笑 

    心に残った言葉も沢山ある。
    『誹謗中傷をしてる人はゆっくり自殺してるようなもの』『世間を無視すること=人に優しくないこと=一番面白くないこと』

  • ラスト数ページで泣き、笑った。
    読んだ本の中で、一番感動した。
    先輩芸人のお笑いに対する姿勢が印象に残った。自分のやり方でとことん追求していくのは、世間とのギャップが生まれてしまうが、妥協せず突き進んでいく姿は世間を意識している人間にはかっこよく見えた。ただ普通に幸せになるためには、世間を自分に取り入れて、行動していくのが必要だと思った。

  • 売れない若手芸人徳永と、売れない先輩芸人神谷さんの話。
    徳永は又吉さんそのもののイメージで読んだ。
    神谷さんは、実在するモデルがいるのか、理想の芸人像としての架空の人物なのか分からない破天荒な芸人。
    読んでいてちょっとニヤける感じの二人の会話の応酬がよかった。

  • なんとなくずっと倦厭してきてしまった火花をやっと手に取った。
    何度も何度も映像化作品の告知や話題性だけで擦られてきたので芸人モチーフの作品ということは知っており、いかにもエンタメっぽいのに直木賞じゃなく芥川賞?と思っていたが、読了して納得これは実に純文学的だ。だけれども読みやすい。バランスが絶妙で正直脱帽、舌を巻いてしまった。
    芥川龍之介が好きという作者、一体どんな悲劇的な結末があるのかとヒリヒリキリキリしながら読んだが、強烈な絶望ではなく実に虚しく哀しい、かつ、失笑してしまうような、売れない芸人にお似合いの素晴らしいオチ。
    これは、面白い。今まで手をつけなかった妙な意地張りを悔しく感じる良作だった。

  • 「漫才は面白いことを想像できる人のものではなく、偽りのない純正の人間の姿を晒すものやねん。」(P.16)

    エジソンが発明したのは闇(P.66)

    その世界は孤独かもしれないけれど、その寂寥は自分を鼓舞もしてくれるだろう。僕は、結局、世間というものを剥がせなかった。 本当の地獄というのは、孤独の中ではなく、世間の中にこそある。(P.115)

    生きている限り、バッドエンドはない。僕達はまだ途中だ。これから続きをやるのだ。(P.148)

  • Amazonオーディブルにて。
    関西弁の迫力がすごいなと聞いてたら、堤真一の朗読だった。本を読むだけだとここまでセリフが入ってこなかったかもしれない。テンポ良かった。
    漫才師の世界観が見えた気がしてよかった。

  • 面白い。繰り返し読みたい。
    巻末の「芥川龍之介への手紙」も含めて面白い。
    最初は言葉選びが男性的で少し読みにくさを感じたが、次第にテンポのよさ、言葉選びの秀逸さ、話の面白さにのめり込んでいった。
    最後は電車の中にも関わらず泣きそうになった。

  • 好きな物語です。
    最後のステージ泣きました。

  • 読みやすかったけど、話題性で買ってしまったからかな?
    自分はストーリーにあまり惹かれなかった
    もう一度読み返してみたら変わるかな

  • 世間への迎合と信念への献身の間で葛藤する主人公は、又吉さん自身の経験を重ね合わせているのだろうか。

    胸が苦しくなるようなシーンや涙を誘われるシーンにもクスッと笑ってしまう描写が併存しており、涙と笑い、苦しさと笑い等、異なる感情が同時に押し寄せてきて不思議な感覚だった。その自分の心理状態も楽しめた。

    神谷さんが最後は愛おしくてしょうがなかった。

  • 40ページの表現
    →パキラみたい

    5年後とかにもう一度読み直す

    突き詰めるとは

  • 一種の気持ち悪さを描くのがやはり芥川文学だと思う。人はどんな時に笑うか。疾走感もあり読みやすい。

  • 又吉さんのYouTubeチャンネルにハマり、それ以来気になっていた本。自分は芸人でも何でも無いが徳永と神谷さんの交流が綴られていく中で、漫才師として葛藤する姿、心境にはどこか自分を重ね合わせられる気がした。又吉先生の用いる表現は時に私にとっては難しいと感じる事もあったが、著者の表現の豊かさに驚かされる事が多々あった。スパークス最後の漫才のシーンでは思わず目頭が熱くなった。

  • 純文学ということもあり評価が真っ二つに割れそうな作品。

    今更読みましたが個人的には凄くグッとくる作品でした

    お笑いに人生を捧げた人生、自らの価値観へひた走った男達の話

    神谷さんの生き方をしたいとは思いませんでしたがとてもカッコよく思いました、

    神谷さんと主人公徳永の立場がちょっとずつひっくり返って行くような、そんな表現が人間の弱さとカッコ良さを表しているようで、

    お笑い好きの自分としては最高でした

  • とんでもないオチが待っていた。
    芸人になりたくなってしまう一冊。

  • 言葉の選び方が、純文学っぽくしたかったのか、
    しっくりこない感じです(特に最初の方)。

    実際の経験がベースになっていると思うので、
    ちょっと気持ちが入り過ぎ、
    芸人の素晴らしさを表に出し過ぎ、
    と感じました。

    漫才以外の又吉さんの本を読んでみたいと思います。


  • 話題作、やっと読めました。
    自分では到底見ることの出来ない世界でした。
    登場人物のキャラクターへの発送もさることながら、それを文章にできる又吉さんが素敵だと思いました。

  • ピースの又吉直樹の処女作。もはや芸人とは思えない完成度。短いながらもとても重厚な物語。

  • 「笑いとは」「自分らしさとは」と真正面から問いかけてくるような、お笑い芸人による純文学。
    舞台の上に立つ漫才師たちが、恐怖や臆病を越えて全力で漫才をする姿には熱気がある。
    自分が今まで観客として外側から見ていた世界の内側には、想像を絶する厳しさや切なさがあり、自分の言葉で人を笑わせる喜びがあることを知った。

  • 「俺な、芸人には引退なんてないと思うねん。〜事務所やめて、他の仕事で飯食うようになっても、笑いでど突きまくったれ。」っていう神谷の言葉が好き。
    ‘’芸人はただの職業ではなく、生き様である‘’ということを教えてくれた。
    つまりは、芸人だけではなく、あらゆる職業も「どう生きるか」「どうありたいか」が最も重要であって、肩書きに意味は無い。信念・矜持を失わずに生き続けた者だけが手にすることの出来る何かがきっとある。

    自分の好きを貫き通す神谷はどうしようもなくアホでクズで情けないけどたまらなく格好良い。


    だがしかし、、読みやすいけど私にはあまり響かなかった…
    物語の中にでてくるボケとツッコミがハマらず、笑えなかった。
    真樹の家に荷物を取りに行くシーンや神谷の豊胸など、少し冷めた目で見てしまった…あまり綺麗な下ネタではない。

    スパークスの最後の舞台は感動的ではあるものの、「帰ってきたドラえもん」のラストシーンが想起されてしまって、なんとも言えない気持ちになった。


  •  又吉さん、言葉の選び方も文章も綺麗。先鋭で無駄がない。情景が鮮やかに心に浮かぶ。

     不器用なのに自分なりの誠実さを持って生きていて、だからこそ魅力的で、生きにくくて、ぐるぐる考えている。でも、力強く顔を上げて生きている。
     話の雰囲気としては結構どんよりしているから、いつでも楽しく読めるってわけではないけど、何度読み返しても印象的。時間を置いてまた読み返したいな。

  • 表現の一つ一つが細やかで、かつ大胆で、人間らしく描いてあると思った。このような表現方法で作品を書けるのはもちろん才能的な部分も大きいとは思うが、又吉さんがこれまでにたくさんの本に触れ、また人との関わりを大切にしてこられ、いろいろと勉強・経験を積まれた賜物だと思う。

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著者プロフィール

又吉直樹(またよし・なおき)
1980年、大阪府寝屋川市生まれ。2003年より、お笑いコンビ「ピース」として活躍。2015年『火花』で第153回芥川賞受賞。代表作に『東京百景』『劇場』『人間』など。

「2021年 『林静一コレクション 又吉直樹と読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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