男ともだち (文春文庫 ち 8-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167908072

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物の誰にも感情移入することができなかったため、俯瞰して作品を読み進めていきました。
    ストーリーの展開も大きく移り変わっていく訳ではないのですが、同性の友達とは違って異性の友達だからこそ見せられる自分の弱い部分や、だらしない部分はあるなと共感する部分もありました。
    でも、ハセオと神名の関係性はフェアじゃないのでは…とモヤモヤする部分もありました。神名の方がハセオにもたれ掛かり過ぎでは…と肯定も否定も出来ない気持ちになりました。
    作中の情景描写の表現が豊かで、繊細で綺麗でした。

  • 一気に読んだ。
    一般的な常識人とはかけ離れたクズな登場人物ばかり。
    主人公の神名のイラストレーターとしての
    打ち込み方と成功だけが救いといえば
    救いなのだが、こんなクズじゃないと
    人に求められる、評価される作品は作り出せない
    のかと思ってしまう。
    自伝的とも読めるのかもしれないが、
    やむに止まれず創作せずには生きられない
    という切迫感も説得力もあまりない。
    なので、正直、こういう生き方もありだよなとは
    とてもならないし、創作へのなにか美化みたいな
    創作者固有の思い上がりみたいなものさえ感じた。
    落語の春團治的な(笑)
    いや、普通に常識人でも優れた作品はうみだせるよね
    と思うので、主人公の「やりたいこと」が彼女の
    生き方への免罪符にはならんよな、所詮、クズだな
    としか思えなかった。
    こんなクズさが人を打つ作品に昇華するとは
    全く思えなかった。ハセオの造形も、ワガママな女が
    頭でこさえあげた理想の王子さまの現代版に
    しか思えないし、こういう物語に文学的な価値が
    あるのたろうかと単純におもってしまった。
    登場人物の中では恋人の彰人や岩佐が一番
    リアリティがあって、そういう人物でなく、
    トリッキーな人物を主人公にすえないと小説に
    ならないみたいな型にハマった感じに
    「あー、これもまたカスが主人公モノなのかー」
    というつまらなさを感じた。


  • この2人にしかわからない感情があって、築けている関係性なんだなと感じた。

    神名の気持ちがわかるような、でもやっぱりよくわからないような。

  • かなり期待して読んだ本作、
    読み切った感想としては、うーん、もう一歩…
    まだ私が辿りついていない新しい境地を、この作品の終わり方に期待してしまった。
    少し残念かも。

    はじまりはスリリングで魅力的だった。
    〜真司さんとの関係を世間体に見て良くないことをしているのは知っている。綺麗で純粋な愛情なんかではないことも。知っているからこそ、うまくやれる自信がある。〜
    この辺りからも神名という女性の姿が、私には見えるように想像がついた。
    〜浮気をして罪悪感をもったことあるか?というハセオの問いに神名はないと答える。今までに浮気がばれたことがないのも、きっと罪悪感がないからなんだろうな〜という会話…経験上、感情にぶれがなければ、気付かれることはまずない。そしてこういう人間が世間に認められないってことを自覚している。〜
    このあたりでまあまあの共感を感じる。なるほどね…と。なかなか上手だなあ、千早さん…なんて思いながら読み進めた。

    美穂との会話も秀逸だった。
    〜女の子って自分の置かれている状況を中心に判断するから仕方ないわよ。
    〜1人の男にカスタマイズされていくみたいな不安…適度に他の人と遊んでないと、旦那だけにしか通用しない女になりそうじゃない?そしたら。何かあった時、もう歳だし次に行けなくなりそう。
    〜1番のジョーカーはハセオさんじゃない。一枚カードを消せるのだとしたら、ハセオさんを選ぶ。
    〜男ともだちはもういない。みんな愛人予備軍。そう報いがあったとすればそこかな。わたしのまわりには下心のある異性しかいないし、わたし自身も優しくしてくれる男性をそういう風にしか見られなくなったこと。

    美穂のあんちゃんはきっと、男女の関係になったことで失われたのだろうと、私は予想した。あんちゃんを失ったことで、大学の時よりずっときれいで高価そうな女性になったが、何かが欠けたのだと神名が感じたように、私も眩しくも温度のない美穂を感じた。

    恋人の彰人と別れ、自分の仕事に没頭する神名の姿は、凡人に暮らす私から見たら、やはり羨ましく映る。モノを作り出す仕事への情熱、孤独であることすら糧になるような。そんな生き方を選び、そして最大の理解者でもあり同士ともいえるハセオという存在を持つ彼女を羨ましく思う。
    もう私には持つことのないものだろう。
    自らを表現をする仕事と男ともだちを持つ幸せと孤独、凡人に生きる平穏な生活と幸せ、どちらが〜なんて比べられないけど、今、自分にないモノだからこそ、神名のような生き方に惹かれるのかな。

  • 途中だけど
    今のところ後悔中
    最後まで読めるといい
    共感を得るための本に思えるのだが
    キャラ設定も、感情の露出も
    かなり現実から乖離しているんじゃないかなあ
    出てくる人物は世の中には存在しない人ばかりだし
    これから面白くなるといいなあ
    なんとか最後まで読めた
    女性が読むともっと違う感想になるんだろうか
    最後までピンと来なかった

  • 登場人物が大体クズなので、あまり共感はできなかった。
    節々に細やかな心理描写とか、あえて描かれてないけど、行動でこの人病んでるなーとかかんがえさせられるのは楽しかった。
    なんとなく人の日記みたい。
    1番の衝撃は殴られたところなんだろうか?

  • 本の題名から読んでみたいと思ってて、あらすじ読んでもっと読みたくなって読んだから、期待し過ぎて自分の中で話を想像してしまっていた、、←おい。笑
    出てくる登場人物が屑ばっかりで、ページをめくる手もなかなか進まず、、ごめんなさい!
    でも、話に展開が無いな〜って思うのが「男友達」の答えだったのかも。
    男と女の友情って平行線みたいで、どちらかが傾くといつか交わってしまう。
    でもお互いが友達だって思っているなら、絶対に交わらない。
    男友達との友情って、下手すれば脆い関係になっちゃうね。

  • 2.0

著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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