- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167910464
感想・レビュー・書評
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原田マハさんの短編集
5編ともニューヨーク近代美術館MoMAに関わる人達のお話
『楽園のカンヴァス』『暗幕のゲルニカ』で登場する人物や絵画、史実が被るので、その後に『モダン』を読んだ方が良いかも?
原田マハさんの小説は好きだけど、短編集そのものが元々あまり好きではないので、いまいち入り込めなかった詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とても細かいところまで完璧で、原田マハさんの文章は素晴らしいなと感動しました
短編だけど、出てくる人物や出来事で繋がっていて、美術に疎い私でも興味が湧く、とても素敵な内容でした
特にロックフェラー•ギャラリーの幽霊が好きです -
読ませる本も、思いが伝わる本もどちらも好いですよね。アートって色んな人に支えられてます。
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原田マハ『モダン』文春文庫。
原田マハの短編集は初めて読んだ。これまで原田マハの作品は長編しか読んだことがなかったのだが、短編の中にどんな世界を見せてくれるのだろうか……いずれの短編もアートを巡る人びとの心の交流が描かれている。やはり、短編であろうと原田マハは凄い。物凄く心が洗われた。
ニューヨーク近代美術館、MoMAを舞台にした短編『中断された展覧会の記憶』『ロックフェラー・ギャラリーの幽霊』『私の好きなマシン』『新しい出口』『あえてよかった』の5編を収録。
『中断された展覧会の記憶』。東日本大震災を題材にしたアートを巡る物語。福島県に暮らす者にとっては、嬉しくて、目頭が熱くなる短編だった。
『ロックフェラー・ギャラリーの幽霊』。奇妙な物語だが、夢があり、アートに対する考え方が変わってくる。
『私の好きなマシン』。モダン・アートの世界に導いてくれた人との出会いと別れ……アートと共に!
『新しい出口』。9.11アメリカ同時多発テロ事件で友を失い、心に深い傷を負ったローラの決意……アートの力!
『あえてよかった』。兎に角ラストの余韻が良い。それ以上、語るべきことの無い秀作。 -
モダンアートの王国MOMA(ニューヨーク近代美術館)周辺の五篇の短編集。
『中断された展覧会の記憶』
『ロックフェラー・ギャラリーの幽霊』
『私の好きなマシン』
『新しい出口』
『あえてよかった』
どれも、落ち着いた感じの、よい短編集だと思いました。
一番、胸を揺さぶられたのは、『私の好きなマシン』。
「ここにあるものはね、僕たちが、僕たちの知らないところで生活の役に立っているものなんだ。それでいて美しい。それってすごいことだと思わないかい?僕はそういうものを『アート』と呼んでいるよ」と初代館長のアルフレッド・バーがまだ8歳のジュリアに言葉をかけたところを読んだだけで、なんだか感動してしまいました。
アートって夢のあるものだと思いました。
アート系の本をもう少し読んでみたいと思わされました。
ストーリーも最後に、すごい展開があってびっくりしました。よかったです。 -
ニューヨーク近代美術館(MoMA)を舞台とした5つの短編(「中断された展覧会の記憶」、「ロックフェラー・ギャラリーの幽霊」、「私の好きなマシン」、「新しい出口」、「あえてよかった」)収録。何れもごく短い作品。
タイトルの「モダン」は、MoMAのニックネーム「ザ・モダン」からきているという。
「私の好きなマシン」では、ボール・ベアリングやコイルなどの工業製品や実用品をアートの領域に組み入れたMoMAの功績が描かれている。「中断された展覧会の記憶」は311東日本大震災もの、「新しい出口」は911同時多発テロもの。「あえてよかった」では、「アメリカ美術業界のヒエラルキー、キュレーターたちの恐るべきエリート意識」(Ph.D.を持っていないとまともに相手してもらえない)なども描かれていて、この点も興味深かった。 -
初めて読む原田マハさんの作品でした。
美術館の職員に関する描写がとても具体的で、物語というよりも職業図鑑の一項という感覚で読んでいた気がします。短編集ということも手伝って、終始力が抜けた状態で何とも楽に読めて、良いトリップが出来ました。
トリップ。何も考えたくない気分で、MoMAというあまりに有名だけど行ったことの無いまだ見ぬ美術館、まだ見ぬニューヨークの町に飛び込むのもいいかもしれない、と読むことにして。案の定、なんとなく粋な感じの人々が、粋な感じの美術館の中で町の中で、生きていて、カッコいいです。ただ、あまりに自分の中の曖昧な妄想上のお洒落なニューヨークそのままが描写されていたからでしょうか、何だか読んでも読んでも縁遠い冷やかさみたいなものがあって、それが不思議でした。きっとリアルなニューヨーカーが描かれているはずなのに、現にファンタジーが含まれているせいもあって、寓話性が物凄く強くて。だけど、実在する名画が随所に登場していて。「夢うつつ」という感じで、ゆーらゆーら、あまりむつかしく考えまい、どうせ知らない町の話しなのだ、と開き直るのがちょうど良いです。
トリップ感覚と呼ぶのがしっくりくる違和感のもう一つの要因は、日本人が日本語でアメリカ人が英語で話したり考えたりしている様を描いていることかもしれません。それくらいよくあることですが、翻訳小説ではないのに翻訳小説でよく見かける文体の特徴が見受けられるような気がして。意識の外で脳が混乱しているような感じがします。
閑話休題。とかく、芸術と、それを愛でて、向き合って、仕事にする人の日常生活を切り取るとこのような美しい物語になるのか、と単純な感動がどこまでも続く作品です。自分も、芸術に仕事で接することは出来ずとも、少しでも芸術に多く接して豊かな生活をしたい、と切に思わされます。 -
死ぬまでにMoMAに行こうと決意しました。
原田マハさんの本は、これまで自分が訪れた美術館や、目の前で立ち尽くすほど魅力的だった絵画達を反芻しながら、ずっと味のするガムのように美術館の思い出を楽しみながら読めるのでとても好きです。 -
「楽園のカンバス」の舞台でもあるMoMAで働く人たちの気持ちを表現した五つのお話。
「3.11」「ナチス・ドイツ」「スティーブ・ジョブズ」「9.11」「×印の箸」をスパイスとした優しい物語でした。