さよなら、ニルヴァーナ (文春文庫 く 39-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 83
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167910631

感想・レビュー・書評

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  • 少年Aをモチーフにした作品

  • 気持ち悪い、その言葉がどうしても頭をよぎりながら、
    それでもなんとか読み終えた。

    これは小説だ。いくら実在の事件を題材にしているとはいえ、事実ではない。
    少年Aの、殺人犯である彼の心情が、この本に少し出てくるように優しいものであってはならない、人間であってはならない、と
    物語を追っている間はずっとそう思っていた。

    娘を少年Aによって殺された、そして娘のように思っていた莢までも死んでしまった、あの母親の、
    そして娘を育てるために懸命に働いた莢の母親に対してあまりにも救いのないラスト。

    2度と読みたいとは思わないけど、小説として
    なんだか魅力のある本。
    でも枕元に置いて寝たい本ではないかな。

  • 中身が見たい、か。表現者と観客の間の、薄く濃い一線。
    この本の登場人物は、ニルヴァーナにさよならできたのか、単なる希望か。
    窪さんの本はいつも温かい。愛とは許すことだと、改めて感じた本でした。

  • あの事件のことを全く知らなくても、物語として読むことができる。
    主人公の小説家を目指す今日子、晴信に殺された娘の母なっちゃん、ハルノブ恋をした女子大生さや、張本人倫太郎

    4人の視点から描かれているが、小説家今日子と他の3人の繋がりがうまくいっていないように感じた。
    終盤になって今日子に戻ってきたときに空気感の違いが顕著すぎてついていけなかった(小説家になった後のところ)

    なっちゃんの心情は良かった。さやもよかった。
    なっちゃん、幸せなれているといいな。

  • 神戸の連続殺人事件を題材にした小説。
    モデルとはしているけれど、少年Aの生い立ちや背景は概ねフィクションかと。

    被害にあった子の家族のその後が切なくて切なくて。
    突然重い十字架を背負わされた家族。
    どうしてこんな事が起きてしまうのかと、始終やり切れない気持ちで読み終えました。

    タイトルと内容がいまいちマッチしていない印象。

  • 読後の、ぐちゃぐちゃした感情。
    さすが窪美澄さんです。

    この作品に、窪さんの覚悟を見ました。

  • 元の事件が起きた当時は被害者の方より年下で、事件について理解したのはもっと後になってから。他にも色んな凶悪な事件があり、その度に目を背けたいと思いながらもこの手の類いの話を読んでしまうのは、やはり人の中身が知りたいと思うからなんだろうな。重々しい話ではあったけれど、加害者ばかりに焦点をあてられがちな現代において、被害者側、さらに彼らの周りの人物を描いているのは興味深かった。

  • ある事件をきっかけに人生を変えられた人達がそれぞれの方法で物語を動かしていき、絡み合っていく。なぜ、こうなってしまったのか。なぜ、こうならなければならなかったのか。ぜひ読んでみてください。

  • 2018.09.30.読了
    重くてグロくて悲しい。
    はじめての窪作品。
    文体は読みやすく一気に入り込んでしまった。
    少年Aについてはフィクションノンフィクション問わず多くの作品になってきたし、私も何冊か読んだ。
    その中でもこの作品は本当にあった話なんじゃないだろうか?と思わせるチカラを持っていると思う。
    少年A、莢、なっちゃん、そして今日子。
    それぞれの結末は曖昧に表現されている。
    読了後、ああ、いい作品だったなと思って文庫を手にとって帯も含めてマジマジと眺めた。そこで気がついた
    そうか、この作品は、それぞれの地獄を描いていたんだと。。。
    地獄という言葉がピタリとハマった。
    それにしてもなっちゃんが悲しい。
    ほんの少しでもいい、なっちゃんに光を与えてほしいと心から願う。

  • すごかった。窪さんの物語は中毒性があって抜けたと思うのに数年経つとまた彼女の味を求めてしまうんだよなぁ。
    それぞれの地獄を生きる覚悟の物語というのは言い得て妙だ。
    死ぬよりずっとしんどい道を選んだ彼女はこれからどう生きていくんだろう。

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著者プロフィール

1965年東京生まれ。2009年『ミクマリ』で、「女による女のためのR-18文学賞大賞」を受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」第1位、「本屋大賞」第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で「山田風太郎賞」を受賞。19年『トリニティ』で「織田作之助賞」、22年『夜に星を放つ』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』等がある。

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