- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167913076
感想・レビュー・書評
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4月、精神科医の藤代のもとに、初めての恋人・ハルから手紙が届いた。だが藤代は1年後に結婚を決めていた。愛しているのかわからない恋人・弥生と。失った恋に翻弄される12か月がはじまる…。なぜ、恋も愛も、やがては過ぎ去ってしまうのか。川村元気が挑む、恋愛なき時代における異形の恋愛小説。
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彼女が撮る薄色の世界が好きだった。昔の恋人から突然手紙が届く。薄れゆくはずだった記憶が鮮明に蘇る。現在と過去の恋愛が交錯し、その度に切なさが増していく。素敵な言葉を見つけると嬉しくなり、愛とは何かを考えさせられた。
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世界から猫が消えたならから連続で
読んでしまったせいで川村元気地獄に
呑み込まれてしまった〜。うつ小説てやつかな。
愛とは重なった瞬間だけで、また離れていく
ハルと藤代
藤代と弥生
大島さんと奥さん
なんかどれにも、共感できず。
お互いに愛しあっていたのに、
今は、分からない。
その愛が真実じゃないようにされるけど。
毎日の穏やかな生活も愛
母親になれば、いったん旦那さんより
子ども子ども!ていう時期があったり。
それも愛
て思う私には、そんなウツウツ考えてどーする
て思ってしまったけど
よ〜く考えると
無くなっているものに
理由がつけたくて、それを愛と
いうことにしている
深層心理を突いてこられてるから
この拒絶反応なのかもしれないと思ったり。
作家は、多くの人が
自分でも気付いていない感情を
えぐってくる
のかもしれない。
でも、すぐにまた蓋をしちゃうから
無かったことにできるのだ -
素敵な恋愛小説。言葉も物語も綺麗。何度読んでも同じ気持ちに戻してくれるような本だなと思う。
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映画を観たかったので読んだ。
愛について考えさせられる作品だった。
共感したり、ハッとさせられたりと、印象に残る文章がたくさんあった。
引用していない部分も含め、奈々や純のセリフが特にグッときた。
映画も楽しみだな。
✎︎____________
あのときのわたしには、自分よりも大切な人がいた。あなたと一緒にいるだけできっとすべてがうまくいくと信じることができた。
誰かに恋をしている。いまここに打ち寄せる波のような気持ちは、口にしたときから、淡い夢ではなく現実となる。相手の反応に心が揺れる。悲しい結末を避けたくて気持ちが混乱する。辛い。苦しい。それでも人は恋をする。それはなぜなんだろう。
愛を終わらせない方法はひとつしかない。それは手に入れないことだ。決して自分のものにならないものしか、永遠に愛することはできない。
誰かの気を引こうとするときには、人はどこまでも優しく魅力的になれるんです。でもそれは一時的なものでしかない。手に入れたあとは、表面的で無責任な優しさに変わってしまう
人は誰のことも愛せないと気づいたときに、孤独になるんだと思う。それって自分を愛していないってことだから
「わたしの愛」と「あなたの愛」が等しく重なっていたときは、ほんの一瞬。
避けがたく今日の愛から、明日の愛へと変わっていく。けれども、その一瞬を共有できたふたりだけが、愛が変わっていく事に寄り添っていけるのだと思う。
生きている限り、愛は離れていく。避けがたく、そのときは訪れる。けれども、その愛の瞬間が、いまある生に輪郭を与えてくれる。わかりあえないふたりが一緒にいる。その手を握り、抱きしめようとする。失ったものを取り戻すことはできないのだとしても、まだふたりのあいだに残っていると信じることができるもの、そのカケラをひとつひとつ拾い集める。 -
たまらなく好きな本だな
2022年シガーロスワールドツアーを見に行ったのでこの本を読み返したくなった。
川村元気さんの中でもこの作品は特別
この小説は映画化されてないのかな??
それはシガーロスが出てくるからかな
結婚を控えた藤代が、学生時代の恋人のハルから手紙をもらう。
別れの理由は何だったのか
婚約者との関係はうまくいくのか
「愛」とは何か。「永遠の愛」は存在するのか。 -
藤代さんという男の人を中心に、いろんな人のいろんな恋愛価値観、恋愛経験を描いたお話。
四月から三月までひと月ごとに章わけされていて、一年のお話なのかなと思ったら、大学生から大人の、年も場所もいったりきたりする書き方だった。
川村元気さんの作品は、前にひとつだけ読んだことがあったのだけれど、こんなにかというくらい印象に残すことができていなくて、今回は少し緊張しながら読みはじめた。
前半から真ん中にかけて、自分が絶対に生きたくない世界の話を書いているなと思って、なかなか読むのが大変だったのだけれど、後半からは徐々にすんなり読めるようになっていった感触。