科学オタがマイナスイオンの部署に異動しました (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2019年11月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167913823

作品紹介・あらすじ

「マイナスイオンドライヤーなどの美容家電製品は、廃止すべきです」



大手電器メーカーに勤める科学マニア、羽嶋賢児は、

自社の非科学的な商品にダメ出しをしたばかりに、

最も行きたくなかった商品企画部に島流しに…。



空気を読まずに正論を言う。そんな賢児はやがて部の

鼻つまみ者扱いになってしまう。

賢児のまっすぐすぎる科学愛は、美容家電を変えることができるのか!?



自分の信念を曲げられずに日々会社で戦っている、

すべての働く人に贈ります。

ドラマ化もされた『わたし、定時で帰ります。』で話題の著者が描く、お仕事小説。



(『賢者の石、売ります』を文庫化に当たり、改題。)



解説・塩田春香(会社員・HONZレビュアー)

感想・レビュー・書評

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  • タイトルと表紙からは想像できない熱い科学信者の話。血が沸き立つような一瞬のために働くっていいなと思った。

  • タイトル通りのお話だけど、イメージしていた展開とは違った
    想像した展開としては、理系が最初は職場の無理解に苦戦しつつ、最終的には似非科学信者をぶっ倒す物語だと思っていたけどね

    とりあえず、以下は公式のあらすじ
    --------------------------------
    「マイナスイオンドライヤーなどの美容家電製品は、廃止すべきです」

    大手電器メーカーに勤める科学マニア、羽嶋賢児は、
    自社の非科学的な商品にダメ出しをしたばかりに、
    最も行きたくなかった商品企画部に島流しに…。

    空気を読まずに正論を言う。そんな賢児はやがて部の
    鼻つまみ者扱いになってしまう。
    賢児のまっすぐすぎる科学愛は、美容家電を変えることができるのか!?

    自分の信念を曲げられずに日々会社で戦っている、
    すべての働く人に贈ります。
    ドラマ化もされた『わたし、定時で帰ります。』で話題の著者が描く、お仕事小説。
    --------------------------------


    子供の頃から科学は好きだが、大学は有名私立の文系に進学した主人公の羽嶋賢児
    論理的故に主張は正しいが、他者や家族と上手くコミュニケーションが取れない
    特に非科学的な主張をする人を見下す傾向がある
    科学は今も好きで、特集動画やロケット発射の生中継を見たり、シンポジウムにも参加している
    しかし、鉱物のお店をしていた亡き父は自分には科学の道に進む事の是非を問うたが、友人には好意的な対応をしていた
    結果、研究者になる事はなく、科学とお金儲けの狭間で苦悩する

    賢児は似非科学の機能を売りにすべきではないと考えるが
    商売としては似非科学の方が消費者の要望と売上と合致する

    果たして、自分は何故何のためにお金を稼ぐのか?


    STAP細胞は発表された当時はもてはやされたものだけど
    再現性について懐疑的な状況になっても信じている態度はどうかと思う
    ねつ造問題では未練タラタラと言うところがキャラブレというか、本質的な科学的思考ではないのだと理解した

    科学の論理性ではなく、科学がもたらすロマンに魅力を感じているだけに見える
    だから、「知りたい」という欲求ではなく、「いくらするのか?」という発想になるのではないかと

    科学って実は泥臭い側面はかなりあるからなぁ
    今までの定説がひっくり返るようなパラダイムシフトも起こるし、それに対してまた論理を再構築しないといけないしね
    現在、世間で科学的に正しいと思われている事も、「今のところ矛盾はなく妥当と考えている専門家が多い」という程度で、恒久的な信頼情報ではないしね

    しかしまぁ、科学とお金の問題なぁ
    -------------------------------
    科学は万能ではない。しかも科学にはカネがかかる。科学は使い方によっては不幸も生み出す。しかし科学を捨て去って生きることはできない。
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    という文章ですべて説明されていると思う

    人類には様々な課題が山積しているし、科学の発展が引き起こした課題もあるけれど、科学なしで解決できる問題はそうそうない

    もし科学リテラシーが上がったらもっとよりよい社会になるのかとも思うけど
    紛いなりにも義務教育を受けた人達が、似非科学やスピリチュアルなものに大金を払う商売が成り立ってる現状を見るに望み薄だろうか?

    タイトルのマイナスイオンだけでなく、水素水、化粧品のコラーゲンやビタミンC、最近なら反ワクチンとか
    人は自分に理解できないものでも、盲信する事ができるんですよねー
    何とも厄介な……

    似非科学でも稼げればいいという考えに対して
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    本物の科学で金を稼ぐ。できるだけ稼ぐ。その金を科学にまた注ぎこむ。それができるのは商人だけだ。
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    というところはカッコいい
    ま、実際にそれを実現できればいいんですけどね



    賢児に「未開人」とされている姉の美空
    ある意味で科学的リテラシーがなくても幸せに生きていけるという証左なのかもしれない
    ただ、作中の母乳問題とかでわかるように、自分の信じたいものだけを信じるとコロっとその幸せがひっくり返るけどね

    あと、父が入院していたときの叔母とかには読んでいて本当に怒りを覚える
    本人は良かれと思ってなんだろうけど、賢児と母の確執の要因だし、その後の掌返しにも不快感を覚える
    標準医療をもっと信じようよ……



    それにしても、朱野さんは文系出身なのに、理系の解像度が高い小説をかけて凄い
    理系出身作家はこの手の理系リアリティのある作品を書きがちなのはわかる

    蓼科譲が吐露する科学研究の置かれた立場というのはとてもよくわかる
    価値のある研究である事を示さないと科研費は取れないし
    そのためにデータを捏造する可能性とかまで言及されると、物悲しいけどそれが実態なんだよなぁと思ってしまう
    博士でも、博士だからこそポストと職がないというのは何とかしないといけないと思う

  • 軽そうなタイトルの割には、内容は重めだった。科学が大好きだったけど、お金がなくて将来は商人になって、お金を稼ぐと決めた主人公。でも似非科学商品を売る部署に異動してしまった。そこでの葛藤と親友とのすれちがいが、よく書かれていたと思う。

  • 新聞の書評を見て読みました。すっきり爽快ではないけど、人間味ある話で面白かった。タイトルの印象と違い、科学の知識で疑似科学を成敗するようなお仕事小説ではなかった。疑似科学に翻弄される人やお金を稼ぐこと、白黒つけられないコミュニケーション等が描かれる。よりキャッチーな方向への改題からも、商売の大変さがにじみ出ている。続編があったら読みたい。

  • タイトルが勝ちすぎている感があるが、根本は世に蔓延る疑似科学、オカルト、詐欺商品の紹介と批判をおりまぜた、疑似科学撲滅小説。ただ、STAP細胞事件のような、化学への信頼の根幹を揺るがすネタもブッ込んで化学一辺倒ではなくバランスはとっている模様。
    化学だ迷信だとドタバタして消化不良で終わったような…

  • 科学者は意固地だよなあ。なんでも正論では通らないことももちろんあるし、時には正論だからと言って正しいとも限られないこともある。何を信じるかは人それぞれなんだろうな。そんなことを気づかせてくれた。

  • 科学には金がいる
    このフレーズが印象的。

  • タイトル、これじゃないほうが良かった気がする。
    科学が好きで、それを信じて突き進み、似非科学的なことは許せない性格だが、本来なりたかった科学者にはなれなかった主人公。そして主人公がなりたかった科学者となり、しかし理想に押しつぶされそうになるかつての親友。さらに、子どもの頃から喧嘩が絶えずいがみ合ってばかりなのにずっと離れず暮らし、自覚はせずとも実はお互いにささえあってきた姉弟。

    会社での出来事も様々描写があるものの、主人公が周りの人々との交わりで次第に希望を見出していくストーリーが中心だよな、と思う。

    お話は良かったんだけど、タイトルだけがしっくりこず、ちょっと違和感の残る読了感だった。

  • タイトルから連想していたイメージとは違う話だった。姉の言動が理解できないタイプの人間だったのでなんだかモヤモヤした。

  • 非科学的な圧力、宗教的な圧力で人生が曲がった
    主人公の非常識な生き方を納得させる目的の小説
    読者には冒頭から解答を示す方が面白い(´・ω・`)

  • 仕事に忙殺されてる時に読んだせいもありますが、主人公、主人公の母、姉などイラッとしてしまいました。正論は時に人を傷つけること、治療とお金。など、論理と感情がテーマとなっていました。どちらも行き過ぎはよくないですね。。。

  • *大手電器メーカーに勤める科学マニアの賢児は、非科学的な商品を「廃止すべきです」と言ったばかりに、商品企画部に島流しになる。「マイナスイオンなんて存在しません」。正論を主張する彼は、やがて部の鼻つまみ者扱いに!?自分の信念を曲げられずに日々会社で戦っている、すべての働く人に贈るお仕事小説*

    「わたし、定時で帰ります」の時も思いましたが、表紙のイラスト&書名と内容が一致していない所が意表を突くと言うか、残念と言うか。意外性はありますが、個人的には「賢者の石、売ります」のままで良かったな。

    内容的には、かなりずっしり来ます。似非科学を頑なに拒む主人公と、そんなにも頑なにならざる得なかった過去の回想が悲しい。
    「似非科学を撲滅して君は何がしたいの?」もわかるし、「幸せな感覚でしかないものに寄り添う」もわかるし、「正しいことを正しいと突き詰める」もわかる。何が正解なのか、答えはないと思うけど…なかなかに考えさせられるお話でした。

  • これまで読んだことのない新しい感覚

  • 科学を動かしているのは金だ。途方もない金額を誰が稼ぐんだろう。科学者は研究で忙しい。天から降ってくるわけじゃないことはたしかだ。あの作文から消し去った科学者という職業のかわりに、なにを書き入れたらいいか、賢児はもうずっと前から思いあたっていた。商人。ドラゴンクエストにも出てくる職業。たいした呪文も使えないし、力も弱い。子供たちからは役に立たないし、かっこわすいとさえ思われている職業。でも実社会ではそうではない。金の力が科学を支えている。金を稼ぐことができれば、科学の光をつくる道筋に参加することができる。

    目先の損失を恐れて、現場は都合の悪いことを隠蔽し、上層部は問題を過小評価する。それが事故対応の際に恐れるべき心理状態です。

    「誠実?商売人にとって誠実な道はひとつしかないだろ。金を稼ぐことだよ」

    野口英世が遺した業績への評価が綴られていた。彼は、梅毒、ポリオ、狂犬病、黄熱病などの研究において数多くの論文を発表し、ノーベル賞を獲るのではと期待されるほどだったが、その主張のほとんどは現在では間違いだとされているという。でも、子供のころに読んだ伝記では国民的ヒーローだったはずだ。

    父は気づいていただろうか。入院が延びるたび、息子の頭でレジの音が鳴っていたことを。あといくら金が要る?預金残高を心配してばかりいた。でも、ほんとは、たったひとりの父が死ぬ時くらい、金のことを考えずにいたかった。バイトなんかしないで、少しでも長く一緒に過ごしたかった。進路のことや将来のことを相談したかった。だからこそ似非化学が嫌いだ。件名に稼いだ金や取り返しのつかない時間を、根こそぎ奪われたことを絶対に許したくない。

    「うちの部長もね、すごい宇宙好きなんですよ。いつもは廃ブランドの服着てるのにね、ロケットの打ち上げ見に行くときは手作りの防止にピンバッジいっぱい留めて、実況までしてるって噂で」

    「死ぬほどやり直しさせられるだおうけどね。桜川さん、舌なめずりしてると思うよ。手駒が足りないってよく言ってたから。宇宙に興味のある部下が欲しかったんじゃないのかな。それもただのオタクじゃなくて、金をガンガン稼ぐタイプの」

    お仕事小説の名手・朱野帰子さんの作品には、他人事的な「がんばれ!」ではなく、読み手に「一緒にもう少しだけ、がんばってみようよ」と、そっと背中を押してくれるあたたかさがあります。きっとご自身も社会で苦しんだ経験があり、それが作品に生きているのでしょう。

  • 科学オタクというからには、さぞかし偏屈な人物が出てくるんだろう。
    そういう期待を、本書は決して裏切らない。

    羽嶋健児は、一流私大卒の大手メーカー勤務。
    イケメンなので、一見高スペック男子。
    が、似非科学を許せない科学オタク。

    科学を信じるあまり、自社の主力商品を完全否定して干される。

    父の末期がん闘病時、不安から怪しげな自然食材に大枚を費やして家に借金を増やした母親とは決裂。
    姉の美空は、助産師やネット情報から、母乳神話や自然分娩神話に絡めとられていく。
    こうした家族を、健児は、「未開人」と呼んで憚らない。

    どこか『私、定時で帰ります』のヒロインを思わせるざらつき加減。
    こういう空気を読まない人物を描かせたら、朱野さんは天下一品だ。

    健児の唯一の希望は、幼馴染の譲だ。
    優秀で家庭的にも恵まれていた譲は、小学生の頃の夢をかなえ、若手の地球科学研究者になっている。
    けれど、彼も、大学在学中に父がリストラされ、奨学金という名の借金を負う身となっていた。
    ポスドク職を渡り歩き、資金獲得に疲弊している。

    物語では、健児が、似非科学にはまる人が、ただ無知であることによるのではないと悟っていく。
    それが彼の仕事の上での行き詰まりを解決に導く。
    そして健児だけでなく、美空、譲のそれぞれが、決して順風満帆ではないが新しい一歩を踏み出して終わる。

    似非科学嫌いの人を主役に据えたところの着眼点がユニークで面白い作品だった。
    たぶんシリーズ化は難しいんではないかと思うが。

  • 21/01/16読了

  • 【静大OPACへのリンクはこちら】
    https://opac.lib.shizuoka.ac.jp/opacid/BB29156374

  • 軽く読めたけど、あんまり残るものがなくて人間関係にも発展がなくて面白くなかった。ただ、私もマイナスイオンってなんだよ?って思ってドライヤー眺めて生きてきたので気持ちはわからなくもないかな

  • 科学者の友人が、よく「マイナスイオンって何なの?」と美容家電にツッコミを入れていたから、この本のタイトルを見て興味が湧き、さっそく読みました!科学的な専門用語がバリバリ出てくるのかと思ったら、そんなことはなく…とても読みやすく面白かった!読後感とっても良かった!

  • 信念は大事

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著者プロフィール

東京都中野区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2009年、『マタタビ潔子の猫魂』(「ゴボウ潔子の猫魂」を改題)でメディアファクトリーが主催する第4回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、作家デビュー。13年、『駅物語』が大ヒットに。15年、『海に降る』が連続ドラマ化された。現代の働く女性、子育て中の女性たちの支持をうける。主な作品に『賢者の石、売ります』『超聴覚者 七川小春 真実への潜入』『真壁家の相続』『わたし、定時で帰ります。』など。

「2022年 『くらやみガールズトーク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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