ハグとナガラ (文春文庫 は 40-5)

著者 :
  • 文藝春秋
3.85
  • (230)
  • (391)
  • (266)
  • (40)
  • (7)
本棚登録 : 3758
感想 : 354
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167915711

作品紹介・あらすじ

どこでもいい。いつでもいい。
一緒に行こう。旅に出よう。
人生を、もっと足掻こうーー。


恋も仕事も失い、絶望していたハグ。突然「一緒に旅に出よう」と大学時代の親友ナガラからメールが届いた。以来、ふたりは季節ごとに旅に出ることに。

ともに秘湯に入り、名物を堪能し、
花や月を愛でに日本全国駆け巡る、
女ふたりの気ままな旅。

気がつけば、四十路になり、五十代も始まり……。

人生の成功者になれなくても、自分らしく人生の寄り道を楽しむのもいい。心に灯がともる六つの旅物語。
文庫オリジナル短編集です!

(解説・阿川佐和子)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 読んだら、海が見える温泉宿に行きたくなる〜♪

    いつも一緒に女二人旅をして来たハグとナガラのお話
    何かある度に「一緒に旅に出よう、人生をもっと足搔こう」と励まし合って来た二人

    人生上手くいっている時は良いけれど、何に躓くかわからない
    互いに親子の問題にぶつかり逃げられない現実
    でもそれだけでは辛過ぎるから、自分のためにも何かしてあげる
    それは二人にとって、やっぱり旅だった


    人生様々な岐路があり悩みも変わって行くので、ずっと同じ関係でいられるのは、特に女性同士の場合は難しい
    だから、二人の関係が壊れません様に!と願いながら読んだ

    私も二人とおんなじ
    毎日モチベーションを保って頑張れるのは、旅をする楽しみがあるから〜♪
    春になったら旅に出よう(^^)v

  • こんな友人関係は最高だ。
    羨ましいなあと思いながら読み終えた。
    これ以上悪くなりませんようにと何度も祈りながら読みました。でもどうしようもないことがあったり、希望どおり悪くならず良く変わったりと起伏があり楽しかったです。
    「寄り道」が一番良かった。

  • 人生の転機が訪れてふと学生時代の友人ナガラが「人生をもっと足掻こう」って旅に誘ってくれた。以来二人は40代前半から50代中盤にかけて日本全国津々浦々出かけていた様子が綴られていました。
    ナガラは食べ物だったり、ハグは美術鑑賞だったりと趣味が違っても同じ空気を吸って気の合うもの同志の旅は刺激しあって笑顔があって楽しそう。
    いいなぁ、旅って現実から非現実に抜け出してストレスを発散させ、活力を養いつつまた現実へと戻っていく。ナガラはのんびり屋さんで、ハグはしっかりした印象に見えるのですが要所要所でハグを支えていて現実の世界では揉まれているのに。ハグは実家に戻り母親の介護と並行してフリーの仕事をこなすようになると、不安定な暮らしぶりからナガラと旅行する機会が激減していったけど。ナガラにも同じように高齢の母を看取るまで大変な時期があったようです。お互いシングルでキャリアのある二人の話だったけど、旅行自体が目的とゆうよりも二人で時間を共有することが主目的のようで絆の深さを感じました。

    私の場合は、子育てが終わり親の介護が始まる前の数年は、自分を取り戻したくって悪足掻きしようと山歩き始めたんです。ナガラのような友達もいて近場の里山を一緒に歩いていたのですが、私は体力のあるうちにステップアップしてアルプス目指したいって思いが膨らんできたのですが、友達はそんな気がなくハイキング程度に歩くことが好きだったので、いつの頃からか袂を分けてしまったんですけど。
    アルプス目指したお陰で体力と気力が維持できて同世代の仲間は山を卒業した人もいるのですが、未だに続けてられるのが嬉しかったりです。

  • 凄い素敵な話
    2人の関係も素敵で憧れるが

    何よりナガラさんの懐の深さ!!
    常に等身大
    人に元気も与え
    余計な感情などに振り回される事もなく
    まるで海のような
    まるで仏のような方だ!!

    こんな人になりたいと自分で思うが
    到底なれないだろうな…と思わされた。

  • 原田マハさんは、千鈴さんという方とたくさん旅をされているそうです

    最初読んでいて、羨ましい気持ちがムクムクと湧き出てきました。行きたい時にすぐに旅に行ける友達も、仕事も、お金もあってと。
    一般人はなかなか行きたいと思っても旅になんて行けないのよーなんて。

    ハグとナガラの旅の歴史
    私が思う、楽しい思い出、羨ましいことばかりではなく、苦労や寂しさ、介護、別離もあり。

    人生と旅の記録でした。

    特に「遠く近く」は泣けた!

  • 「星がひとつほしいとの祈り」で読んだ時はすごく好きだと思ったのに、今回はあまりはまらなかった。
    ハグとナガラ祭りでお腹いっぱいになっちゃったのかも。
    他にも読んだことのある短編が入っていた。
    読むタイミングや収録されている前後の物語によって感じ方って変わるんだな。

  • 6編からなる短編連作の物語
    前半、これ、読んだことあるような...って思ってたら、ほかの作品に含まれていました。

    後半の物語はちょっと切ない。身につまされる物語です。

    ■旅をあきらめた友と、その母への手紙
    「さいはての彼女」に掲載。既読。
    「人生を、もっと足掻こう」

    ■寄り道
    「星がひとつほしいとの祈り」に掲載。既読。
    旅先で一緒になったわけありの女性の正体は..

    ■波打ち際のふたり
    「あなたは、誰かの大切な人」に掲載。既読。
    ここからハグの母親が認知症へ

    二人は40代、50代となっていきます。
    ■笑う家
    認知症の母親と同居するため、自宅に戻ったハグ
    母親の介護で、クライアントの信用を失います。しかし、ナガラのコメントが温かい。

    ■遠く近く
    さらに進んだ母親の症状。
    そんなか、旅に出た二人。母親のメッセージが..

    ■あおぞら
    けんかした二人。
    二人の旅は?

    温かくハートフルな物語でした。
    お勧め

  • 原田マハさんが40歳になられてフリーランスになってから、旅友・御八屋千鈴(旅人ネーム)さんと、旅に出るようになってからのお話を名前をハグとナガラに変えて書かれた連作短編。
    今年、思いがけず新型コロナウイルスの蔓延で旅路が阻まれ、こんなときだからこそと、シリーズを読み返し、まとめたそうです。

    「寄り道」と「波打ち際のふたり」は既読でした。

    「笑う家」
    ー何かが特別面白いというわけでもない。けれど、友と一緒に笑うのに理由なんて必要なかった。-
    これ、わかるなあと思いました。
    箸が転げてもおかしい年ごろというのがありますが、いつまでたっても昔からの親友とは何かと笑ってしまいます。会って昔話を何かするだけでおかしいんです。

    「女ふたり旅」を始めて十年ほどたって、お母さんが認知症になられたそうです。
    私も、マハさんたちの年齢に近づきつつありますが、私の母は今のところ私より元気なくらいで「私はなんて恵まれているんだろう。お母さんありがとう」と涙が出そうになりました。

    「あおぞら」でナガラのお母さんが急逝された場面は91歳であられたとはいえ、読むのがとてもつらかったです。

    この本は「折り返し地点から動き出す、女ふたり 泣き笑いの旅物語」「秘湯に入り、名物を食べ、花や月を愛でに出かける。二人一緒なら、どんなことも乗り越えられる」という帯がついていますが、旅の見聞録というより、大人の女性二人の友情の物語だと思いました。

  • 素敵な一冊に巡り会えました。
    ハグとナガラ、独身、母の介護をしながら仕事、時々二人で旅に出る、そんな大人女子(ハグも本編で自分たちのことを「五十女子」と呼んでいる。「五十女」じゃ、たちまち老けた感じになるからと)。
    二人の旅はいつでも天気に恵まれる。本人たちは「またお天気で運使うてしもうた、これでまた結婚運が逃げてく」なんて言っているけれど。
    「晴れ晴れと冴え渡る青空は格別に気持ちのよいものだったが、それでもそれは、雨降りを過ごしたからいっそう気持ちよく感じるに違いな」いことも知っている。
    ナガラが、まぁ面白い!ハグが仕事や介護のことで愚痴ってものんきな答えが返ってきて読んでて何度も吹き出しました!
    やっぱり毎日の生活に欠かせないのはユーモアだな、って思います。『ぷっ』だったり『クスクス』だったり、それがあるかないかでだいぶ変わってきますよね。
    知り合いが何人もいるよりも、こんな気のおけない友だちが一人いること、それだけで人生は何倍にも豊かになるなぁと思いました。
    大人女子にお薦めの一冊です。


  • ちょうど熱海に旅行しに行く予定があったので、ハグとナガラを旅のお供に。

    人生の寄り道って言葉、ストンと腑に落ちた。
    毎日を繰り返し働いて生きて、少しの息抜きに旅をする。人生の寄り道。
    旅の道中、出会う人々の温かさに触れたり、一人旅でもふたり旅でもそれぞれ良くて。
    ああ、がんばろうってどうにかなるぞって気分が晴れる。

    母についてもお話に出てきて、うるっとした。
    母とふたり旅したかったな。
    普段話せないこととか旅ならではのおしゃべりができたのかな。
    こういうお話に弱いなー私は。
    今では心の中にいつも一緒に旅してるぞって思うようにしてる。

    旅のお供にちょうど良い本だった。
    人生をもっと足掻こう。


    (「自転しながら公転する」に出てきたお宮と貫一の像を見てきました!
    最近読んだ小説に出てくる場所に行けたことに感激。
    これが聖地巡礼かー。お宮と貫一の顔はめもバッチリやりました。)

全354件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

原田マハの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
町田 そのこ
瀬尾 まいこ
凪良 ゆう
凪良 ゆう
原田 マハ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×