平成くん、さようなら (文春文庫 ふ 48-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167916886

感想・レビュー・書評

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  • 平成生まれのヒトナリ(平成)くんは
    メディアに出る時代の人。
    一緒に暮らす愛は、彼から突然
    安楽死をすると告げられる。

    平成の時代の終わりとともに、自分の時間も
    終わると言う平成くんの安楽死をなんとか
    止めようと愛は必死になる。

    愛の気持ち、平成くんの理由
    二人は反発と尊重の両端で揺れる。


    大事な人から安楽死をすると告げられたら、
    一体どう思うだろう。
    どれだけ打ちのめされるだろう。
    どうして安楽死を希望するのか、
    理由を知ることはできるだろうか。
    建前の理由ではなく本音を聞いた時
    それを受け入れられるだろうか。

    テーマは安楽死でもあるし、
    何をもって生きてるというか。
    もう一度読めば、作者の意図に少しは
    近づけるだろうか、、、。

  • 本屋さんで、なんとなくタイトルを聞いたことがあるなと思い、手に取った。
    冒頭が刺激的過ぎて、ちょっと動揺。
    え、どういう話なの、これ。
    しかもたまにTVで見かける古市さんじゃないか。
    小説書いてたの?
    しかも芥川賞候補作??
    というわけで色々気になり、購入に至った本。

    読み終わった感想は、色んな感情が残ったけど、やっぱり面白かった!というのが一番かな。
    設定も面白い。安楽死が認められているパラレルワールドの日本。変な言い方だけど、現実的っぽくて面白い。
    文章も新しいと思う。形容詞が少なく、固有名詞だらけ。人によっては拒否反応を示す人もいると思うけど、テスト的に敢えて使ってみたんじゃないかな、古市さん。私は新鮮に感じて、逆に光景がまざまざと頭に浮かんで、まるでドラマを見ているような感覚で、とても面白い手法だと思った。

    結局、平成くんは、終わった人間になりたくなかったというよりは、愛ちゃんの永遠になりたかったのかもしれない。
    生きてるんだか、死んでるんだかわからないなんて、私なら一生気になって忘れられない人になると思う。

    古市さん、面白かったですよ!
    次作も楽しみにしてます!

  • いつもTVで見ている古市さんぽい。
    ※実際はわからないけど。

  • 久しぶりに大当たりを引いた。
    安楽死というテーマが世の中の議題にあがり、肯定派の意見を聞く度に不安になってたことがドンピシャで描かれていたり、死にたいと言われたときに感じたモヤモヤした気持ちとかが作中にも出てきたから色々と重なって感情移入がしやすかった。
    死にたい人と死にかけの猫とどちらにも(死んで欲しくない)と願い自己中心的に死に抗う主人公。誰も間違ってなくて正しくもなくて、どうしもうもなく胸が締め付けられた。
    また読むと誓った。

  • 私は死生観について他の人と話すと、たいてい噛み合わなくなるので、なるべく話さないようにしている。平成くんと愛ちゃんも、ミライが死ぬ時どうするかという事一つとっても、考えが違っていて、ピッタリくることはない。正解がない(分からない)ことなので、難しいよね。安楽死についても、様々な意見があるの分かるし、じゃあどうしたらいいのかって、何とも言えないなぁ〜。ただ、平成くんと愛ちゃんの幸せがずっと続くといいなぁと願ってた☆

  • 筆者さんに惹かれて読んでみた。自分の中のこういう話が好きなんだよ、こういう男が好きなんだよ、こんな女が好きなんだよ、こんな話に感化されがちな自分が好きなんだよ、のいろいろな気持ちが複雑に混じりあったので、自分を落ち着かせるために時間が欲しい本。

  • 平成くんの、どこまでも論理的で聡明なのに垣間見える人間らしさとか不器用なところがすごくもどかしいと同時に愛おしかった
    人は図らずも、誰かが生きていた記憶を背負ってしまうことがある。本当にそうだと思った
    そして安楽死については、少しでも華のあるうちに穏やかに逝きたいという気持ちはすごく分かるけれどそれでは優生思想につながってしまうし、やっぱり難しいなと思った
    フィクションとノンフィクションの境が時々分からなくなったけどその曖昧さがまた良かったのかな

  • 登場人物は古市さんをイメージして読んでいただけに。

    平成くんの「合理的な人間だと思っていたけど、実は愛ちゃんと無駄話をするような時間が、とてつもなく大事だってわかった」という一言がたまらなかった。

  • 初心者の自分でも読みやすく一気読みしました。
    安楽死がテーマと言う事で、あまり気持ちが落ちている時には途中お勧めできない表現や描写があるかと思います。ただ、決して命を粗末にするような話しではありません。
    愛からの、君は・・・と呼ぶ話し方がなんか良い感じでした。

  • この小説、賛否両論ある風ですが、私はかなり好きでした。
    文体が、透明感があって、静かで、日本が舞台なのに現実感がない感じが、読んでて気持ちよかった。
    普段は恋愛小説が(控えめに言っても)あまり好きじゃないですが、恋愛に乗せた、いろんな話がすごく心に刺さりました。
    このへんは、さすが社会学者、なのでしょう。

    舞台は、安楽死が合法化された架空の日本。
    なお私は、安楽死大賛成派なので、このテーマもかなり良かった。

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著者プロフィール

1985年東京都生まれ。社会学者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。2011年に若者の生態を的確に描いた『絶望の国の幸福な若者たち』で注目され、メディアでも活躍。18年に小説『平成くん、さようなら』で芥川賞候補となる。19年『百の夜は跳ねて』で再び芥川賞候補に。著書に『奈落』『アスク・ミー・ホワイ』『ヒノマル』など。

「2023年 『僕たちの月曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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