小隊 (文春文庫 す 27-1)

著者 :
  • 文藝春秋
3.15
  • (15)
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  • (9)
本棚登録 : 499
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167918774

作品紹介・あらすじ

★新芥川賞作家の衝撃作&デビュー作が合本で文庫化。

「ブラックボックス」で第166回芥川賞を受賞、元自衛官という異色の経歴をもつ作家が放つ、類を見ないリアリティで迫る戦争小説3篇。

【収録作】
「小隊」(第164回芥川賞候補)
「戦場のレビヤタン」(第160回芥川賞候補)
「市街戦」(第121回文學界新人賞受賞)

表題作は日本とロシアが戦争に突入、その最前線となった釧路での中間管理職的自衛官が見た戦場の地獄を描く。

感想・レビュー・書評

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  • こりゃだめです。
    全くの期待外れ..自分には合いませんでした。

    元自衛官の芥川賞作家が放つ衝撃作!
    と帯にあおられ、
    「ロシア軍が北海道に侵攻したときの自衛隊は?」っと期待満々で読みましたが、全くの期待外れでした!
    感動もメッセージ性も感じられない、淡々と語られる物語。

    ロシア軍の侵攻に対して、日本の法律内で自衛隊でできることがこれだけで、その中、国民を救うため、一人のの自衛隊員が..とか
    ハリウッド映画のような戦闘シーン..とか
    自衛隊の熱いが..とか
    その中の隊員たちの葛藤が..とか
    そんなのを期待して読む方には全くお勧めできません(笑)

    3つの短編です。
    ■小隊
    ロシア軍が北海道に侵攻。戦闘シーンがありますが、正直、武器ふくめて、専門すぎて全然理解が出来ません(笑)
    で、それを迎え撃つ小隊の指揮官の物語。

    ■戦場のレビヤタン
    中東で傭兵として戦闘に参加しているKの物語

    ■市街戦
    自衛隊の幹部候補の男の物語。現実と夢想が入り混じって読みにくい

    ということで、自分の期待とは大きく外れた物語でした。
    残念。

    • ことぶきジローさん
      全く同感。期待外れでした。
      全く同感。期待外れでした。
      2023/09/16
    • masatoさん
      ことぶきジローさんコメントありがとうございます。
      帯に煽られました!
      感動、自衛隊の在り方、戦争の悲惨さ、なんかを期待してたんですけどね。
      ことぶきジローさんコメントありがとうございます。
      帯に煽られました!
      感動、自衛隊の在り方、戦争の悲惨さ、なんかを期待してたんですけどね。
      2023/09/17
  • 実に生々しくて、読んでると鬱屈した感情になってしまう場面もありましたが、この作品こそが、著者の思ったままの生身の表現なんだと感じました。
    元自衛官の著者だからこそ描ける、訓練の過酷な
    部分など、戦地のリアルさを伝えていると思います。

  • 砂川文次『小隊』文春文庫。

    元自衛官という異色の経歴をもつ作家によるデビュー作を含む戦争小説を3編収録。

    期待外れも甚だしい。3編共に何も伝わるものが無いという恐ろしいまでの駄作揃い。エンターテイメント性もメッセージ性も何も無い戦争小説というのは初めて読んだ。そして、これらが芥川賞候補作や文學界新人賞受賞作というのだからさらに驚かされる。

    『小隊』。表題作。第164回芥川賞候補作。極め付きのミリタリーオタクが忠実に詳しく兵器や武器、自衛隊の装備や組織階級などを交えながら可能な限りリアリティのある戦闘シーンを描いただけというような短編で、伝わって来るものが何も無い。日本とロシアが北海道を舞台に戦争に突入し、その最前線となった釧路での戦闘で、敵軍から壊滅的な打撃を受けた小隊の指揮官の敗走を描く。★★★

    『戦場のレビヤタン』。第160回芥川賞候補作。この短編も何を伝えようとしているのか解らない。イラクでの戦争に参加する元自衛隊の傭兵K。常に死と隣り合わせの日常……★★

    『市街戦』。第121回文學界新人賞受賞作。デビュー作のようだ。これもメッセージが全く見えない酷い短編。大学を卒業して自衛官となったKがいやいやながら市街戦に参加するということだけしか解らない。★

    本体価格760円
    ★★

  • 「小隊」はよかったけど、後の2作は刺さらなかった。
    戦争に至る背景とかもっと詳しく書いてほしかったかも…

  • 本の題にもなっている『小隊』を含め、『戦場のレビヤタン』、『市街戦』と計3篇が収められている。各篇共に、文芸誌の1回の掲載分というような分量である。各篇毎にゆっくりと読んだ。
    「5月30日」となっている「第4刷」の文庫本を入手したのだが、「第1刷」は「5月10日」である。これは少し「速い」感じの刷り方であると見受けられる。「話題」の作品であるということのようだ。
    各篇は各々に綴られて、各々に発表されている。連作ということでもないようだ。が、通して3つの篇を読むと、各篇の主要視点人物が「実は同一人?」であって、『市街戦』、『小隊』、『戦場のレビヤタン』という順番に、数年間の時間軸で各篇の作中での出来事が起こっているかのような感を抱かないでもなかった。
    『市街戦』は、陸上自衛隊の幹部候補生として訓練に臨んでいる男が在って、限界という次元までに身体を酷使している中で「来し方」の様々な場面が意識の中に沸き起こり、夢想と眼前の現実が混然とするかのような挿話である。
    『戦場のレビヤタン』は、陸上自衛隊の幹部(尉官以上)であった経過の在る男が、民間警備会社に身を投じ、中東で活動しているという挿話だ。所謂“傭兵”ということになる。
    そして本の題にもなっている『小隊』だ。これは「陸上自衛隊が北海道で戦闘に及ぶ」という事態が惹起しているという挿話だ。
    この「陸上自衛隊が北海道で戦闘に及ぶ」という作中での事態が少し話題になっているようだ。
    主要視点人物は陸上自衛隊の三等陸尉に任官して日が浅い男で、部下を率いて任務に就いている。作中「ロシア軍が北海道に上陸して軍事行動に及ぶ」という様子になっている。上陸したロシア軍が現れると目される地域で、住民に避難を促すことが任務という辺りから物語が起こる。会って話す住民は「何処にも行くあてが無いから留まる」というようなことを主張する。そうしている間に“事態”は少し大きく動く。
    そんな各篇なのだが、何れも主要視点人物の心理と行動を精緻に描き込んだような感であったと思う。或いは、身体を酷使して必死に何事かに向き合い、そこを通り抜けて辿り着く境地のような、そういう心情が各篇の共通項なのかもしれない。大掛かりな国際情勢等が描かれるのでもない、「或る現場の、或る男の回顧」ということにでもなって行きそうな物語だ。
    作者は陸上自衛隊での経験を有しているのだという。そういう「経験者の感じ方」という要素が巧みに織り込まれている各篇であると思った。殊に『小隊』は、その「経験者の感じ方」という要素が随所ににじませながら編まれた篇だと思った。
    時にはこういう小説も好い…

  • ふつうの感性の人間が、自分ではどうにもならない極限状態に置かれたときに、瞬時瞬時の経験をどのように感じ、どう行動するのかを小説として表現したのだと思う。戦闘する自衛隊が舞台となっていることは、著者が説得力に満ちたリアリティを与えやすいということで選ばれているに過ぎないのではないか。この小説をもって国防や外交を考えるというものでもない。

  • 私は(今を生きている日本人の多くがそうだろうが)現実の戦争を体験したことはない。
    この小説では、今考えうる限りでの「戦争のリアル」を描いている。

    著者自身も、戦争を体験していない世代だが、自衛官としての経験がある分、一般の人より戦争を肌身で感じていると思う。

    戦史の大きな流れの中では見えない、末端の末端での撃ち合い・殺し合いの中で起きている(起きる)であろうことを切り取った小説。

    個人的に、少し話が分かる立場にいるので、読んで暗くなった……。

  • 北海道へロシアが軍事侵攻してきて自衛隊が食い止めなくてはならなくなった日本。戦争が始まるという実感がなく戦闘が始まる瞬間まで現実逃避をするリアリティとか、頭は上の空なのに訓練で作られた身体が勝手に動く緊迫感とか元自衛隊員の著者だから書けた話で圧倒された。

  • 個々の話は分かるのだが、全体的なストーリー展開がいまいちよくわからないし、全体としてはそんなに面白味はない。

  • (4.6)
    自衛官としてあんまりのリアルさに息を呑んだ。用語や人間関係、風景全てが勤務の風景そのままであったがために、実際有事が起こった際はこうなるだろうと細胞レベルで感じた。
    特に表題作である「小隊」これは今までにないほど感情移入して読むことができた。一般の方には分からないであろう感覚、感情がみるみるうちに湧いて出て震えた。自分自身の精神的にも肉体的にも、そしてこれからの勤務においても意識向上の手段として忘れないように、また読もうと思う。いい精神教育題材であると思う。
    また、「市街戦」これは両親や友人、恋人に読んで欲しいと心から思える話だった。普段から行軍をするが毎回つらい。何がつらいというと文章力、表現力が乏しく上手く言葉にできないのである。だが行軍はまさしくつらい。それが歯痒かった。しかし、そのつらさ、恐ろしさを完璧に文章に表してくれたのが今作。全てが共感でき、行軍の1番のつらさを的確に表現してくださっていた。面白いというよりも、よくここまでリアルに心の内を、悩みを言葉にしてくれたと思います。言葉になることによって、精神的に大分救われる部分があります。これからも自分の人生、過去、一瞬一時の決断に誇りを持って、前進し、生きていきたいと思います。

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著者プロフィール

1990年、大阪府生まれ。神奈川大学卒業。元自衛官。現在、地方公務員。2016年、「市街戦」で第121回文學界新人賞を受賞。他の著書に『戦場のレビヤタン』『臆病な都市』『小隊』がある。

「2022年 『ブラックボックス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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