フクロウ准教授の午睡 (文春文庫 い 106-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167919085

作品紹介・あらすじ

★学長選挙に暗躍するダーク・ヒーローあらわる!

『月まで三キロ』『八月の銀の雪』など
科学をテーマにしたエンタメ小説の書き手として注目の高まる
伊与原新が放つ異色のミステリ登場。

舞台は学長選挙の迫る地方国立大学。
候補者をめぐる怪情報が飛び交い、
権謀術数のうずまく学校に赴任してきたのは
准教授の〝フクロウ〟こと袋井。
昼はいつも眠たげで無気力なのに、
夜になると活動を始める〝夜行性〟のフクロウは
学内で次々と起こるトラブルに首を突っ込み、
思わぬ方法で有力教授のスキャンダルを暴きだす。
果たして彼の目的とは――。

袋井の暗躍によって選挙のゆくえは二転三転。
ラストまで油断厳禁! 
あなたは何回ダマされる?

感想・レビュー・書評

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  • 伊与原新さんの作品は初めて読みました。
    これは、大学の学長選挙をテーマにした話で、いろいろ陰謀渦巻き面白かった。実際の大学でもこんな感じなのかなと思うとゾッとするけど。
    フクロウ准教授がてっきり主役だと思うけど実はそうではない、ミステリアスな一存在なところが、斬新。

  • 舞台は地方国立大学。
    学長選挙が近づくこの大学に赴任してきたのは、昼夜逆転生活を送っている袋井准教授。
    影では"フクロウ"というあだ名で呼ばれる彼が、学内の問題を解き明かしつつ、各学部の学長候補の不正を暴いていく…

    研究分野によって学内でも力の強い弱いがあるし、集団の利益のために動く者も、個々の利益で動く者もいる。
    大学生の立場ではなかなか体感できない学内政治のあれこれが描かれていておもしろかったです。
    大学の側にある喫茶店のママが情報通…というのもありそう。

    フクロウは切れ者ではあるものの、周囲からは奇人扱いされる掴みどころのない人物なので、彼の目的や一体どんな人物なのかを見届けたくてぐいぐい読んでしまいました。

  • 伊与原さんの本が好きな人には、物足りなく感じてしまうかもしれない…私も含めて。

    大学の派閥争いというテーマが作風に合わなかったのか、フクロウ准教授という人の掘り下げが足りなかったのか。もう少し膨らませることが出来たなら、面白かったかもしれない1冊。

  • 昼は居眠りばかりだが、一晩中研究室の明かりがついているという……袋井准教授、通称「フクロウ」が解き明かす?仕掛ける?大学ミステリー。

    大学ミステリーって何だよ、と思いながら……学長選挙を前に、学部長たちが暗躍する大学の構図を、吉川という一講師の目を通して、うまく描いている。

    何より、何も知らない吉川先生と、全てを見通すフクロウ准教授のバランスが良くて、どっちにも肩入れし過ぎることなく、最後まで楽しく読めた。

  • 面白かったが、最近の作品の方がやはり洗練されていてすきかも。文庫化なだけで、作品自体は2015年。そうと知らずに勝手に新刊かと期待したのがよくなかった。

    大学の次期学長選を控えた地方国立大に現れた袋井准教授。昼夜ひっくり返った生活で朝からアルコールの匂いがすることも…あだ名は、フクロウ。猛禽類のように鋭い三白眼で獲物を捕らえ、失脚させていく。

    その様子を専任講師、吉川が翻弄されながら最終的には准教授になりながら関わっていく。
    スペインの建築学専門、奇抜な変人のフクロウの設定は面白い。 

  • 大学内の話で、難しいことがあったけど、最後のページはなぜかゾワっとなって少し寂しくなった。

  • 大学内の権力争いを描いた作品を初めて読みました。ディテールにこだわる作風が魅力の伊与原新さんの作品らしく
    縁遠い世界のことを知る面白さがありました。

  • 伊与原さんの新作だと思ったが、2015年に刊行された『梟のシエスタ』を文庫化に伴い改題したものらしい。ほう。
    一般的な意味でのミステリーでもなく、科学とも一切関係ない。5章構成で、専任講師の吉川が狂言回しとなり、“フクロウ”こと袋井准教授の絡む国立大学内のドタバタを描いた作品だ。1話完結の形だが、すべての出来事は繋がっていて、最後の種明かしで「ほう」と思う。
    しかしまあ、なんというか、正直なところ大いに期待外れだった。これまでに読んだ伊与原さんの作品の中で一番つまらなかった。

  • Amazonの紹介より
    学長選挙が迫る地方国立大に現れた型破りな准教授・袋井。権謀術数うずまく学内で学長候補のスキャンダルを次々と暴く彼の正体は?


    伊与原さんの作品というと、科学の勉強をされていたので、その知識を小説に散りばめながら、幻想的な表現を書いているのが印象的でした。

    今回は、そういったものはなく、むしろ文系の話で、科学を扱った作品とは違った作風で、新鮮味がありました。

    ただ、作者を知らずに読むと、別の方が書いたのかなと思った印象もありました。

    どちらかというと、この作品はミステリーの分類です。殺人があるわけでなく、大学内で起こるいざこざを解決していきます。
    何よりも目を引くのが「フクロウ」こと袋井准教授です。そのダークヒーローぶりが、大胆かつ鋭い切れ味で成敗するので、爽快でした。
    特に学長選挙の描写は面白かったです。理不尽な投票結果の末に登場する「フクロウ」さんが、輝いて視えました。理不尽を暴いていく手口は大胆でしたが、スカッとするような爽快のある切れ味で良かったです。

    それにしても、なぜ「フクロウ」さんは頭が切れるのか?
    個人的にはもう少し、「フクロウ」さんを深掘りして欲しかったなと思いました。ミステリアスな存在なだけに裏で活躍されているかと思いますが、その辺りの部分も前面に出して知りたかったなと思いました。

    「フクロウ」さんの経歴は後半になって、表面的ですが明らかになります。それが今の活躍に結びつくのか定かではないので、もう少し知りたかったです。

    果たして、「フクロウ」さんはどんな人なのか?良い人かどうかはわかりませんが、敵にまわしたくないと感じましたし、関わりたくないなとも思いました。

  • 大学の先生も楽ではありません。

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著者プロフィール

1972年、大阪府生まれ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。2010年、『お台場アイランドベイビー』で第30回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。19年、『月まで三キロ』で第38回新田次郎文学賞を受賞。20年刊の『八月の銀の雪』が第164回直木三十五賞候補、第34回山本周五郎賞候補となり、2021年本屋大賞で6位に入賞する。近著に『オオルリ流星群』がある。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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