子ごころ親ごころ 藍千堂菓子噺 (文春文庫 た 98-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167920678

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  • シリーズ第五弾。

    晴太郎と幸次郎兄弟そして職人の茂市が営む菓子司〈藍千堂〉を巡る人情噺、連作三話(&序)が収録されております。

    今回はお子様スペシャル。
    序章は晴太郎の妻・佐菜の連れ子である、さちのモノローグから始まり、第一話、第二話は、さちの友達・おとみの母が、おとみを残して再縁したことから起こる騒動の話。
    第三話は、前述のおとみの騒動をきっかけに、自分と“とと様”の関係に疑問を抱いて悩むさちの姿が描かれています。

    さちやおとみの年頃の子どもって、大人が思っている以上に大人の顔色をうかがっているんですよね。
    それゆえに、小さな心に色々抱え込んでしまう、おとみとさちが健気でなりませんでした。
    おとみの母・お清代に関して思うところは多々あるのですが・・まぁ、シングルマザーとして大変な状況で、心を病んでしまった辛さは確かにあったとは思います。
    でも、おとみを兄夫婦に預けるなら預けるで、せめて送り届けてから再縁すればよかったのに、たとえ1日2日でも子どもを長屋に置き去りにするのはいかがなものか、と思っちゃいますよね。
    とりま、おとみを引き取った伯父夫婦が、おとみを大事にしてくれそうで良かったです。
    そして、“総領娘”としてのプレッシャーや、“生さぬ仲”の“とと様”との関係に苦悩するさち。
    普段、周りの大人たちに溺愛されているので、自己肯定感が高くなりそうなものなのですが、賢い娘だけにグルグルと思いを巡らせて抱え込んでしまったようで・・・。
    いつかは話さなければいけなかった、さちの“実父”の件を、〈伊勢屋〉のオジ様が上手い事説明してくれて、なんとか、さちの“心のしこり”が取れたようで何よりでした。本当に、さちの周りはいい大人に恵まれているので、健やかに育ってほしいです。
    と、いう訳で、この巻はいつもよりお菓子の話は控えめな感じでしたが、親子の絆が深まる味わい深い内容でした。
    第三話で登場した、伊勢屋の養子・夏之助くんも賢くて素敵な少年だったので、今後も登場してほしいですね~。

  • 【収録作品】序 さち-菓子の味と虫の報せ/一話 友との別離と「煉羊羹」/二話 恋しい母と「桐の花」/三話 総領娘と「あまから餅」
    さちの話。

  • 甘々…

  • さちの友だち、おとみの母が再縁し、おとみは大工の
    伯父に引き取られる。新しい暮らしに馴染み始めた
    矢先、おとみの姿が消えた…。菓子職人の兄と商才に
    長けた弟が、知恵と工夫で和菓子屋を切り盛りする
    時代小説。

  • 藍千堂菓子噺シリーズ第五弾。
    今回は子供が主役。さちの友だちのおとみの母が、おとみを叔父夫婦に残して再婚することになる。
    おいてかれたおさちとおいて再婚した母親の関係は。それをみたおさちは、自分ととと様との関係について悩むようになる。
    けなげで、可愛いおさちから目が離せませんね。

  • 文庫書き下ろしの3編で、シリーズ4作目
    3編とも菓子の工夫より親子の問題が中心。

    「友との別離と練り羊羹」
    娘のおさちに初めてできた友達”おとみ”の母親がいなくなったという。実は未亡人になっていた母親が再婚して置き去りにしたというので、藍千堂のみんなと百瀬屋のお糸お早が事情をさぐって、無事に母親の兄夫婦に引き取られる。
    おとみが最後に母親と食べた羊羹のほうが、藍千堂の羊羹より美味しいと感じた理由を晴太郎はさちにおしえる

    「恋しい母と桐の花」
    今度はおとみが行方不明になる。幸いお糸が出会って藍千堂に連れてくるが、再婚した母親に連れ出され、逃げたという。藍千堂に探しに来た母親におとみは会わないが、いい着物を着ていい匂いがする母親の今の暮らしを壊したくなかったのだという。
    詫びに来た再婚相手の火消しの頭に、晴太郎はおとみの気持ちを伝え、おとみの叔父が嫁入り道具にするために植えるという桐の花をかたどった菓子を作って頭に渡す。

    「惣領娘とあまから餅」
    晴太郎と佐菜が、甘えなくなったおさちの変化を感じていた矢先、出かけていたはずのおさちが作業場で作りかけの羊羹をひっくり返してやけどを負う。叱る晴太郎をおさえて伊勢屋の総左衛門がおさちをしばらく預かると、おとみが叔父に引き取られたことで、おさちは晴太郎が「父親になった」ことの真相を知りたがっていることがわかり、晴太郎の了解を得て総左衛門はおさちに真相を教え、おさちは納得して帰ってくる。
    晴太郎はおさちと一緒に、あんを餅で包んで伸ばし砂糖醤油を塗って焼いた新作のあまから餅を焼く。

  • さちがメインの回。さちが凄く良い子でとにかく可愛い。頭は良いけど賢しげでは無いので、周りの皆がメロメロになる気持ちが分かる。

  • お糸から「総領娘」の心得を学んでいるさち。
    さちの初めての友達が長屋に母と住んでいるおとみ。

    あるひ、おとみの母親がいなくなった。
    おとみの母親には長く援助をする町火消しの頭がいた。

    親子の愛情。
    なさぬ仲ゆえ、苦しむ親子。
    咎人であることだけを伏せて、さちに、真実を話す機会がきた。

  • 連れ子の娘を中心にしたお話。
    親子ってどうやってなるんだろう。。。

  • 子どもたちの健気さに涙。

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著者プロフィール

作家

「2022年 『鯖猫長屋ふしぎ草紙(十) 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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