夜明けのすべて (文春文庫 せ 8-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167920920

感想・レビュー・書評

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  • 外傷は、見た目で大変そうなのがわかるが、
    パニック障害やPMSは、
    まわりに辛さが伝わりにくいね

    お仕事系の小説では、
    バリバリやって成功するとか、
    ドジで失敗しながらも成長していくとかが
    多いけれど、本書は少し毛色が違う

    でも、読後のホッコリ感は
    みんなとも共有したいな

  • リアルの中にある希望⟡.· 瀬尾さんのお話は誰の日常の中にもありそうな事をかいてくれる! だから読んでいてもスッと入ってくる この物語の先の二人のお話があったら読んでみたいです♪

  • 二人の病がテーマ なので冒頭から重い感じで、周囲の空気を悪くしている。辛い話だなと自分も気が沈んできたが、普段では気ィつかい、おせっかい、天然?の藤沢さんの言動 が雰囲気をコミカルなものにしてくれる。
    山添くんの方も少しずつ影響を受けてか良い方に変化して、こちらも無意識的におせっかいになっていく。
    互いに意識しつつも、周囲の期待に反して恋愛感情は抱かない。ただの安っぽい恋愛話にならないので、純粋に人としての良心を表現されていたように感じれた。
    この先も二人とも病気とは長く付き合っていくのだろうけど前向きに生きて行こうとする姿勢に勇気づけられた。

    また仕事に対する姿勢もテーマとして感じられ、こちらについても、変わらない日々、淡々とこなす仕事、時間に意味を持たせたくなった。満たされた時間にしたい。
    仕事場の皆がいい人ばかりで遣り手なのも羨ましい。気持ちに余裕があるのはいいな。自分の見直したい一面でもある。

  • こんな優しい世の中になれば良いな。
    まさに「夜が明ける」ような読了感。

    2人の主人公が抱える「PMS」と「パニック障害」。
    どちらも名前は知ってるし、PMSは女性特有の症状。たぶん私もその傾向はある。
    ただ、どちらも目に見えないし症状レベルも個人差が大きい。
    近くに居る側は配慮しようにも難しいし、症状を持ってる側は自分でもどうにもならない事が多い。
    いつ明けるのか判らない夜のような症状を抱える2人が、お互いを不思議に思いながらも人として距離を縮めていく日々を描く。
    周りの人たちも素敵なんですよね。
    温かい気持ちで見守ってくれて、さり気なく手を貸してくれる。
    精神疾患があると知ってて、「人」として受け入れてくれる。
    身構えずに受け入れるって、結構難しい。
    でも、主人公たちの職場の人たちは皆サラッと自然に出来る。
    こういう職場や環境が増えれば、きっと優しい世の中になるのにな〜。

    忙しさに負けて、思いやりを忘れた頃に読みたい一冊です。

  • 自分の息子もパニック障害を患っており、描写は少し辛い…。

    しかし、互いに、また会社の人々の温かい環境のもと、前向きに生きていこうとする姿に希望が持てました。

    二人の掛け合いも大変微笑ましい。

    読んでよかったです。

  • PMSの女性(藤沢さん)とパニック障害の男性(山添くん)が、自身の症状に苦しむ中で、同じ金属加工会社の中でのふとした出来事から関わりが増えていきます。
    2人は恋人では無いですが、似た様な境遇から関係が深まり、アクシデントもある中、新しい事にもチャレンジして行きます。

    全体的に穏やかな柔らかい文章だと感じました。細かな章ごとで場面に入り込みやすい表現で気軽に読める、とても読みやすい小説でした。

    こちらの小説は登場人物が全員心温かく、症状が出た時のシーンではドキッとする様な気持ちにもなりました。ですが、会社の人や友人などが、症状とそれにより本人が感じる苦悩を理解して受け入れるところに心温まりました。

    また、少しではありますが、PMSやパニック障害に関する理解が深まり、気遣いについても考えるきっかけになったと思います。

  • 瀬尾まいこさんの描く物語はどのページを開いても優しい。
    家で読む用に単行本と、外出先でも読めるように文庫本の2冊を購入した。

    山添くんは以前の明るく社交的な自分に戻りたいと何度も言っていた。
    しかし、精神的な病の回復というものは以前の自分に戻ることではなく、「新しい自分になる」ことだと思う。

    何もない場所からゆっくりと新しい夜明けがやって来るように、光を見つけられた山添くんもゆっくりと新しい自分に変わっていく。
    藤沢さんも「人に喜んでもらうことが好きな自分」に気づき、人のため、栗田金属のために新しい事業を行う。
    藤沢さんも夜が明けるように新しい自分に変わっていく。

    明けない夜はない。変わらない人はいない。
    新しい自分になれる。

  • 助けてもらってる負目とか同情されてる感とか
    実は周囲の人はフツーに接してるだけってことある
    自分に引け目を感じてるときに発動するアレ
    自分の引き出しのひとつとして大事にしたいソレ

  • 久し振りの瀬尾作品。映画化されるということで、興味本位で手に取った作品。

    安定の瀬尾作品で、パニック障害とPMSに悩む男女の微妙な関係を描く、心に優しい物語。

    それぞれ世間的には余り正しく理解されていないけど、当の本人達にとってはとても辛い病状な訳で、それを瀬尾さん独特の温かくて優しい文章で語られているので、余り暗くならずに読むことが出来ます❗

    ラストも希望が持てる締め方で、瀬尾作品の中でも好きな作品の上位に入る作品でした✨

  • "自分をコントロールできない"という悩みを抱えて殻に閉じこもっていた2人、ある日を堺にただの同僚から同志になる。夜明けの前の暗闇を2人で抜けるように、相手を思いやり前に進もうとする姿にじんとしました。その後も気になる...。

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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