星のように離れて雨のように散った (文春文庫 し 54-4)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167920951

作品紹介・あらすじ

小学生の頃に失踪した父をモデルにした創作小説と宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を修士論文に選んだ大学院生の私。賢治の未完の物語に導かれるように、私は押し込めていた過去の自分と向き合っていく。そして結婚を前提に同棲を望む恋人の亜紀との関係に息苦しさを覚え始め……。迷いや痛みを抱えるすべての人に光射す傑作小説。解説・柴崎友香

感想・レビュー・書評

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  • 男性なあなたは、付き合っている彼女に突然こんなことを言われたとしたらどう思うでしょうか?

     『私、亜紀君といると、時々、息が苦しい』

    二人の関係の中にここまでハッキリと、勘違いしようのない言葉を突きつけられたとしたら、私ならその場にそれ以上いる自信がありません。

    では、一方でそんな言葉を発した女性の立場に立ってみればそこにはどんな心の内が見えてくるでしょうか?

    女性なあなたは、自分が付き合っている彼に、面と向かってこんな言葉を告げられるでしょうか?

     『私、亜紀君といると、時々、息が苦しい』

    これは極めてストレートな表現だと思います。こんな言葉を発して彼はどんな風に思うだろう…そう考えれば考えるほどにこんな大胆な言葉を発することは普通にはできないと思います。

    さてここに、付き合う相手を見て『私はこの人が本当に好きなのだろうか。好きならば、どうしてこれほど気持ちが定まらないのか』と思いを深める一人の女性が主人公となる物語があります。『この人には生活力がある。浮気なんかの心配だっておそらくないし…』とも思う女性の日常を見るこの作品。そんな女性が「銀河鉄道の夜」と対峙していくこの作品。そしてそれは、そんな女性が前に進むためのきっかけを見つけていく物語です。

    『はかどってる?』と篠田君に訊かれ、『そこそこ』と返事を返すのは主人公の原春(はら はる)。『積み重ねた』『宮沢賢治の研究書と、法華経の解説書』に目をやる篠田は『原さんの研究テーマは、福永武彦じゃないんだね。宮沢賢治とキリスト教って、たしかに書いているものをあんまり読んだことないな』と続けます。『主にキリスト教を扱った日本文学作品を研究して』いる春と、『同じ研究室に所属している』篠田。『大手出版社からの内々定』を得た篠田は、就職活動の話の中に『原さんも就職が決まったときは廊下でジャンプしてたよね』と言います。
    場面は変わり、『国立新美術館の前で』待つ彼を見つけて『亜紀君』と呼びかける春。『入れ替え制』の時間まで『美術館内のカフェスペース』で待つ中に『無地の青い表紙のノートに文章を綴』る春に『今書いてるの、例の宮沢賢治の論文の一部?』と訊く亜紀は『春は前から宮沢賢治に興味があったの?』と続けます。それに、『妙に懐かしいというか、不思議な近しさを覚えるところがあ』る、そして『一番の理由は、「銀河鉄道の夜」が未完だからかもしれない』と春は答えます。『具体的なストーリーはよく知らない』という亜紀に、『主人公のジョバンニは、昼間は学校に通い、放課後は活版所で働いている…』と『「銀河鉄道の夜」のあらすじ』を語る春。そして、美術館を楽しみ夕食も終えて帰途へとつく中、『彼の眼差しが、駅前の高架下で騒いでいる集団に注がれ』るのを春は見ます。『大声で叫んだり、笑いながら一人を突き飛ばす』集団。再び歩き始める中に『さっきの男の人たち、気になった?』と訊く春に『俺、たぶん嫌悪感が表情に出てたね。とっさに危険な感じがしたから』と答える亜紀。それを聞いて春は『なぜか呼吸が止められたようになり、足元の影に視線を落と』します。そして、『マンションの下まで』来て、『二階の窓を仰ぎ見』る亜紀を見て、『今夜はちょっと、資料も整理したいから、一人になろうかな』と告げる春。そんな春に『来週末の旅行、楽しみだな。朝九時にレンタカーで迎えに来るから』と言うと亜紀は帰っていきました。
    再度場面は変わり、『すごい。テラスの窓が広くて、山の中にいるみたい』と『窓の外の新緑に見惚れ』る春は、浴衣を出します。それに『もうお風呂に行くの?』と訊く亜紀は、『少し、二人でくっついたりしない?』と言います。そして、春『の体を抱き寄せ』る亜紀は、『一緒に暮らしたい』と告げます。『え…だって私、まだ就職もしていないのに?』と返す春に『うちの親に会ってほしい。それで、もし春の気持ちが変わらなかったら、結婚したい』、『俺は春のことを愛してる』と続ける亜紀。『そう言われた瞬間、スイッチが切り替わるように、心が途切れた』春は、『私を愛してる?』と訊きます。『あなたが、私を愛してるって、どういうこと?』と訊き返す春は『私、言ってなかったことがある』、『この前、あなたの嫌悪感が、私は悲しかった』、『だって私、ああいう人たちのこと、よく知っているから』と続けます。そして、『それでも、私を愛してる?』と訊く春に亜紀は即答できません。『私は繰り返し、問いかけた。私は分かっていた。なにか大事なことをたくさん忘れてしまったことを』と思う春。そんな春と亜紀のそれからが描かれていきます。

    “小学生の頃に失踪した父をモデルにした創作小説と宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を修士論文に選んだ大学院生の私。賢治の未完の物語に導かれるように、私は押し込めていた過去の自分と向き合っていく。そして結婚を前提に同棲を望む恋人の亜紀との関係に息苦しさを覚え始め…”と内容紹介にうたわれるこの作品。2021年7月に単行本として刊行されたこの作品は執筆時期との兼ね合いからコロナ禍初期の世の中を描く描写が幾つか登場します。島本さんはこの作品の数ヶ月前、2020年11月に「2020年の恋人たち」という作品で、コロナ禍の描写を素早く作品に取り入れられました。私が読んできた小説の中にコロナ禍を描写した作品は10以上ありますが、その最も初期に書かれたものが「2020年の恋人たち」です。そして、数ヶ月後に刊行されたこの作品でもコロナ禍を島本さんは作品に取り入れられています。コロナ禍に刊行されていてもそれを無視するかのように背を向けられる作家さんもいる中にあって積極的にコロナ禍に向き合う島本さん。このような側面からも作品作りの考え方が見えるような気もします。では、コロナ禍を描写した記述を三箇所ほど見てみましょう。

     『テレビからはふたたび自粛を促すニュースが流れていた。もしかしたら今年はこれが最初で最後の旅行かもしれないな、と考える』。

    『自粛』、『自粛』ともう辟易させられたあの時代の感覚が蘇ります。旅行に行くことさえ憚られたのがあの時代でした。

     『良かったら、フェイスシールドもあるから、一曲くらいカラオケ歌っていく?』

    これは懐かしいですね。コロナは飛沫感染が原因と考えられていた時代の象徴である『フェイスシールド』はコロナ禍の絶対的象徴だと思います。

     『コップの中のオレンジジュースはあっという間に空になった。マスクをしていると、無意識のうちに口呼吸になってしまって、暑さよりも渇きで水分を取りすぎる』。

    空気を吸うこともままならない日々。コロナ禍が終わって日々空気を存分に吸うことができることがどれほど幸せなことか認識を新たにしましたね。

    さて、そんな作品の中心に登場するのはもちろんコロナ禍ではありません。私が読んだのは文庫本ですが、単行本の帯にはこんな言葉が記されています。

     “父の失踪、書きかけの小説、『銀河鉄道の夜』。あの夏、三つの未完の物語が「私」を突き動かした。”

    「銀河鉄道の夜」とは、宮沢賢治さんのあの名作のことを指します。とは言え、生まれてこの方読書をしたことのなかった私はブクログにレビューを書いた作品した読んだことはなく宮沢賢治さんのこの作品も書名こそ知っているとは言え読んだことはありません。似たような名前で松本零士さん「銀河鉄道999」であれば少しは知っていますが、恐らく別物ですよね(笑)。ということで読み始めて早々に困った事態に追い込まれました。物語では「銀河鉄道の夜」について大学院の修士論文に取り上げようとする主人公の春がその物語をさまざまに断定口調で語ります。

     ・『「銀河鉄道の夜」は宗教的なテーマ性が強い作品』

     ・『「銀河鉄道の夜」が未完』

     ・『「銀河鉄道の夜」の第一稿は、途中の、列車にもう乗っている場面から始まる』

    これはもう、なるほど、そうなのか…と思って読み進めるしかありませんが、私のように「銀河鉄道の夜」を全く知らない人間にはとにかくちんぷんかんぷんです。ただし、島本さんもその点を一応配慮されてか、春の恋人である亜紀も「銀河鉄道の夜」を知らないという設定にされています。そして、それなりの文章量をもってあらすじを彼に語る春…という場面を用意されています。

     『主人公のジョバンニは、昼間は学校に通い、放課後は活版所で働いている。母親は病気で、遠方まで漁に出た父親の消息は不明だ…』

    何もないよりはマシですが、それでも意味はよくわかりません。そして、物語は後半に入ってさらにマニアックな記述へと進みます。

     『私は机に向かって椅子に腰掛けて、「銀河鉄道の夜」第一稿から第四稿までを読み比べた…』

    『今現在最も読まれている第四稿』という記述が登場することから、多くの方が読まれる稿に至るまでに改稿が繰り返されたことがわかりますが、それは内容を知っていてこそです。このレビューを読んでくださっている方の多くは、恐らく「銀河鉄道の夜」は既読でいらっしゃるのだろうと思います。私がここに挙げたようなことは、”そんなこと、当たり前じゃない。何言ってるのかなあ、このさてさてとかいう人は”と思われていらっしゃるかもしれませんね。う〜ん、まさかこんなハードルが用意された作品だとは思いませんでした。逆に言えば「銀河鉄道の夜」をご存知の方はこの作品、その知識を使って物語を存分に楽しめると思います。その意味でも、これからこの作品を読まれる方はこの作品を読む前に、まずは「銀河鉄道の夜」を読まれた方が良いと思いました。

    そんなこの作品は大学院に学ぶ主人公の春の日常が舞台となります。『修論は創作文芸作品で提出』し、『副論文では、「銀河鉄道の夜」の改稿も含めて、賢治の晩年の宗教観をさぐることで、最終的な物語の完成形を考察したい』と研究テーマに取り組む春。そんな作品に登場する人物は最小限に絞られています。『髪が短い女の子があまり得意じゃな』いという理由で春が敬遠しがちの売野、同じ研究室に所属し『大手出版社』への就職が決まっている篠田、そんな篠田にバイト先として紹介してもらった小説家の吉沢樹、そして春の交際相手であり会社員の亜紀という四人です。物語で春に直接の関わりを持っていくのはこの四人しかいません。物語では主人公の春がそんな彼らと関わり合いを持っていく中に変化していく様子が描かれていきます。それは、彼らとの関わり合いによって春の考え方が影響を受けていくことを意味します。

     『私はこの人が本当に好きなのだろうか。好きならば、どうしてこれほど気持ちが定まらないのか』

    亜紀と付き合う中に自身の中に煮え切らない思いが存在することを認識する春は、

     『私、亜紀君といると、時々、息が苦しい』

    そんな風に思う中に、『春、一緒に暮らしたい』、『うちの親に会ってほしい。それで、もし春の気持ちが変わらなかったら、結婚したい』と告げる亜紀本人にこんな問いかけをします。

     『あなたが、私を愛してるって、どういうこと?』

    こんな言葉を発してしまった春の心の中はさらに深まりを見せます。そして、こんな風に亜紀のことを考えてもいきます。

     『私は亜紀君が好きだった。私と混ざる前の、ただそこに単体として存在していた彼のことが本当に好きだったのだ』。

    物語は、危うさを見せる主人公の春が思いを深めていく中に展開していきます。そこには、彼女が関わり合いを持つ篠田や売野、そして小説家の吉沢の言葉にも思うところを得ていきます。そして、前に進むための答えを過去と向き合うことで得ていく春。

     『無理やり釘を打つようにして日常に張り付けられた時間も、いつかは終わる。過去とか終わったこととか当たり前に縛られるのも』。

    物語には春が前に進むために苦悩する姿が描かれていきます。そこに、宮沢賢治さん「銀河鉄道の夜」を取り上げたことの意味を重ねていく島本さん。そんな物語にはさまざまな思いを吐露し、身近な人たちと会話する中で、前に進むためのきっかけを得ていく春の姿が描かれていたのだと思いました。

     『なんでだろうね。結婚って言われて嬉しい気持ちもあったのに、なにかが違うっていう気持ちが拭えなくて』

    大学院で日本文学を専攻する主人公の春が「銀河鉄道の夜」と向き合っていく中に、ひとつの成長を見る物語。そこには、主に四人の人物と繰り返し対話する中に前に進むための答えを見出していく春の姿がありました。「銀河鉄道の夜」を既読かどうかが物語の理解に差をつけるこの作品。読後、「銀河鉄道の夜」が読みたくなるこの作品。

    コロナ禍を背景にした物語の中に島本さんらしい極めて繊細な物語を見た、そんな作品でした。

    • Sayuriさん
      さてさてさん、おはようございます。
      映画にもなってるのに、有名なのに、未読だった『銀河鉄道の夜』、私も読んでみようと思いました。そして積読し...
      さてさてさん、おはようございます。
      映画にもなってるのに、有名なのに、未読だった『銀河鉄道の夜』、私も読んでみようと思いました。そして積読している島本理生さんの『ファーストラヴ』も読んでみようと思います。さてさてさん、ありがとうございます!
      2024/04/16
    • さてさてさん
      Sayuriさん、おはようございます。
      そうなんですよ、間違いなく有名な作品なんですが私は未だ未読です。ただ、私は女性作家さんの作品しか読...
      Sayuriさん、おはようございます。
      そうなんですよ、間違いなく有名な作品なんですが私は未だ未読です。ただ、私は女性作家さんの作品しか読まないと決めているので、もう読めないという…オチ(笑)
      島本さんはなんだかんだで明日で18冊目のレビュー予定です。ひりひりする感覚は好きではないのですが読んでしまいますね。何故だろう?潜在的なところで感覚が合うのかなあ?と思ったりもします。「ファーストラブ」是非どうぞ!
      2024/04/16
  • 今月は、島本理生さんの小説を読ませていただきました。恋愛となるまでの不安定な期間を揺れ動く言動で表現するのが上手い方だなと思いました。

    こちらは、コロナ禍に、書かれたようです。小説の中にも窮屈な行動制限の様子が時折出てきます。

    大学院生の私は、修士論文に「銀河鉄道の夜」を選びます。妹トシと賢治の宗教観の語らいの予測など、面白いなと。もう少し、踏み込んで島本さんの宮沢賢治論を織り込んでいただいても良かったかな。

    主人公の大学院生は、小学校の時父親が失踪。そこに宗教との関わりもある。そのあたりに彼女が自分の過去を受け入れられていない理由と思います。そして、優しい恋人の大きすぎる許容や安直すぎる理解。不満はない、愛情はある。なのに一緒にいると息苦しい。このあたりの心情は、痛い感じですね。贅沢な〜と思っても、その微妙な違和感がだんだん大きくなっていくみたいな。
    若さも加わった不安をお互いの傷を理解して、恋人再開できそうです。

  • 修士論文に取り組む春は、彼から結婚を迫られるがどこか躊躇する。子供の頃に、父親が宗教にはまった末に失踪するという過去があるからか、どこか危ういところのある春だが、クラスメートやバイト先の作家と話をすることで、意識の下に埋もれていた自分の本心に気付く。

    宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」と、その背後にある賢治の思想、そして、春の過去が緩やかに繋がっていく、不思議なストーリー。

  • 危ういものにふれて自分の弱さと向き合いはじめる
    宮沢賢治と主人公そしてその父と叔母
    蓋をした感情の表出が周りの登場人物の言葉と
    物語がリンクして解けていく感じが絶妙

  • 春は自分の過去と向き合うため、納得するために大学院の卒論に宮沢賢治の銀河鉄道の夜の研究をする。
    恋人の亜紀君との関係はギクシャク

    わだかまりは曖昧にしておくのが良いのか、とことん向き合うのがいいのか
    向き合うならどんなやり方で?
    何にせよ、人のせいにしてはいけない。

    タイトルが良い

  • 若い頃の不安定な心の描写がリアルだった。ずっと一緒にいたいという彼には躊躇するけど、元カノの話をされると嫉妬したりする。上手いなあ。
    銀河鉄道の夜をもっと読み込んでからこの本を読むと、もっと良かったかも。

  • ゆっくりと自分と向き合う主人公。そしてそれを支える仲間達。大きな展開はなくも、静かで色々考えさせられる物語でした。

  • どこか陰のある彼女と、そんな彼女を支える彼氏のお話と思いきや。

    彼女が不安定だから支えたい。自分が彼女を幸せにしてあげたい。そうやって相手に自分の存在意義を見出すのは、逆に依存していることになるんだなと思った。
    春はその不健康さに気づいていたから、自分と混じり合う前のそのままの亜紀くんが好きだった、と過去形で語るのかな。

    春と亜紀(あき)。
    けして隣り合わない季節を名に持つ二人の未来は、どうなるのだろう。
    今まで避けてきた対話を通して、理解し合える関係になれたらいいなと思う。

  • 複雑な家族関係の春は日本文学の修士論文に取り組むなかで、彼氏との関係に疑問を抱くようになる。時はコロナ禍、友人や大人たちと大人数で会うことがなくなった反面、より密に会話を交わすようになった。論文の主題となる宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を探り、自分の過去と向き合い、自分の人間関係をつぶさに見つめていく。
    恋愛だけが物語として進むのではなく、常に宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』の研究が物語の根底に流れていて、読み終えたとき読者は長い旅路を終えたような気持ちになる。
    いや、終えたというか、まだ道半ばだが、人生は悩みの連続でそれから逃れることはできないということを認識しつつも、一つの区切りがつけられた登場人物達が愛おしい。
    『銀河鉄道の夜』以外にも文学作品が引き合いに出され、文学と宗教を巡る個々の考え方も心地良く、自分の考え方も含めて思考が広がる感覚があった。
    どうしてもこのコロナ禍に描いておかねばという筆者の気持ちが伝わるような気がする。
    人間関係は本当に難しい。

  • 好きな島本理生さんの本ということと、
    タイトルに惹かれて購入しました。
    なんて綺麗なタイトルなんだろう…

    島本理生さんの描く主人公の女性は
    弱くて、強くて、少し面倒臭い。

    春と亜紀の関係、2人の今後のこと、
    春の過去、そしてこれからのこと。
    読んでいて苦しい場面もありました。

    2020年、コロナ禍の物語。
    とても身近で、リアル。

    『銀河鉄道の夜』を読み直したくなりました。

    まだ春の物語は途中です。
    これから彼女はどうするのか。
    見てみたい気もしますが、きっと春なら大丈夫。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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