貞観政要 (現代人の古典シリーズ 19)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784192419994

感想・レビュー・書評

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  •  リーダーが読むべき本の常連であるが、リーダーとしての心構えやあるべき姿だけでなく、人としてのあるべき姿、社会の理想的な在り方が示されている。いわゆるハウツー本と違ってこうやればよいということは書かれていないため、もしその状況に置かれたならどうするか、自身の置かれた状況に当てはめるとどうなるかなど考える必要がある。しかし、その考えること自体がリーダーとなるための訓練であるともいえる。

  • 君主が姿勢を正しているのに、国が乱れたという事はいまだかつてない。

    臣下の諫言をよく聞き入れる事。

    明君の明君たる所以は、広く臣下の進言に耳を傾ける事。暗君の暗君たる所以は、お気に入りの家臣の言葉だけしか信じない事。

    OLや運転手、ビル掃除のおばさんからも貴重なヒントを引き出す事ができる。経営の責めに任ずる者は、そういう小さな話でもおろそかに聞き流してはならない。情報のパイプを幅広く確保する事。

    君は舟なり、人は水なり。水はよく舟を載せ、またよく舟を覆す。

    公正な政治を行い、人民を愛する事。

    礼を尊重し、優れた人物に敬意を表する事。

    賢者を登用し、有能な人物を抜擢する事。

    企業経営の姿勢が一般消費者の共感と支持を得られるようなものでなかったら、長い目で見てその企業の将来は明るいとは言えない。

    組織の経営、維持にあたっては、まず原理原則を確立する事、そしてトップが率先して実行にあたる事。

    臣下が伺候するたびに、必ず顔色をやわらげて彼らの諫言を聞き、政治の実態を把握する事。

    もし君主が賢明をひけらかせば、臣下はたとえ君主に過失があっても誰一人諌めようとしなくなる。

    うわべを取り繕って人の疑惑を招かないようにするような言動は慎むべき。人の思惑など一切気にせず、思ったことをそのまま話す事。

    心配すべきは、営業成績ではなく、営業活動の内容と質。

    どんな時代にも人材はいる。ただそれに気付かないだけ。

    礼を尽くして相手に仕え、謹んで教えを受ける。これなら自分より百倍優れた人材が参る。相手に敬意を表し、その意見に耳を傾ける。これなら自分よりも十倍優れた人材が集まる。相手と対等に振る舞う。これでは自分と似たり寄ったりの人間しか集まらない。床几にもたれ、杖をにぎって横目で指示する。これでは小役人しか集まらない。頭ごなしにどなりつけ叱りとばす。これではもはや下働きのものしか集まらない。

    相手が立派な人物であることを確認した上で登用すれば、かりにたいした仕事ができなくても、それは単に能力不足というだけの事で大きな害にはならない。もし誤って悪人を登用すれば、その人物がやり手であればあるほど、はかり知れない害毒を流す。

    人物鑑定法
    1.不遇な時、誰と親しくしていたか?
    2.富裕な時、誰に与えたか?
    3.高位についた時、誰を登用したか?
    4.窮地に陥った時、不正を行わなかったか?
    5.貧乏した時、貪りとらなかったか?

    泰平の時代には能力より人物にウェートをおく事。

    人並み優れた知能の持ち主は、相手の意見に左右される事はないが、中程度の知能の持ち主になると、相手次第でどうにでも変わる。なので全ては守役次第。

    人間というのは、側近に人を得るかどうかで善くもなるし悪くもなる。

    治世の要諦
    1.身を修む
    2.賢を尊ぶ
    3.親を親しむ
    4.大臣を敬す
    5.群臣を体す(臣下の意見をよく聞き入れ、一体となって政治を行う)
    6.庶民を子とす
    7.百工を来す(産業の振興をはかる)
    8.遠人を柔んず
    9.諸侯を懐く

    臣下の忠誠を期待する為には、まず君主の方がそれ相応の礼をもって臣下を遇しなければならない。

    親に仕えて孝にして、君に仕えて不忠なる者あらず。

    社会的責任を自覚しえない経営者は、これからの経営者としては適格性を欠く。「企業をもって公となす」認識を持つ事。

    部下が言う事を聞いてくれないとこぼす前に、先ず自分の普段の言動をチェックしてみる事。部下に原因があるのではなく、自分のほうにこそ大きな原因がある事に気づく。

    指導者の必要条件
    職業的技術25%
    革新的創造力25%
    学問教養50%

  • 75年刊。40年前のもので、山本七平よりも読みごたえがあるかと期待したが、そうでもなかった。話題提供については、山本の帝王学のほうが上のような気がする。高かったのに残念。

  • 常に学問し、傲慢にならず、人の話を聴き、備え、言と行動を一つにし、潔白の下君子たれ。

    でなければ滅亡する。

    他人と共にありながらの自己管理法。

    中国の帝王学が原文と読みと日本語訳、そして「現代訳」も含めて載っている。1975年に出た本にしては今でもわかる豊富な例えに置き換えれれている。

  • 唐の太宗皇帝と大臣との対話集。平和で安定した「貞観の治」をもたらした思想に触れることができる。読み物としても面白い。

  • 家康も参考にしていたという帝王学の決定版。名君で名高い唐の太宗(李世民)と、それを補佐した名臣たちの問答集。原文・読み下し文・現代語訳ありで大満足!

  • 唐の名君・太宗の問答集。
    中国古典の名作。

  • 20年ぶりにこの本をかった。なんとこの本で 若者に帝王学を教える事になったのだ。 はてさて実になるものだろうかw

  • 中国の古典で、太宗と言う人が優秀な側近と諸政に関して問答したものをまとめた本。古くは徳川家康や明治天皇も参考にしたらしい。
    これを読んでビックリしたのは、この太宗って人、すごい!何がすごいって、めっちゃ部下の言う事ちゃんと聞く柔軟さ。普通皇帝がやっている事を否定されたらむかつきそうなものですが、この人はちゃんと発言する人を重宝して偉すぎ。そして重臣は優秀。カリスマ的なトップよりも、周りが優秀でトップは人の意見をちゃんと聞く柔軟さを持っている、と言う方が上手くいくのかなと思いました。
    あと、奥さんの聡明ぶりに感動しちゃいました!!

    でもこんなに優秀な人なのに、子供はちゃんと育てられなかったってのか・・・

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著者プロフィール

670(咸亨1年)~749(天宝8年)。中国唐代の歴史家。?州(河南省開封)の人。長年史館にあり、歴朝『実録』などの編纂に従事。自ら『貞観政要』『国史』などを編纂した。

「2022年 『超約版 貞観政要』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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