沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ1

著者 :
  • 徳間書店
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感想 : 64
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  • Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198618780

感想・レビュー・書評

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  • ①~④

  • 自分の好きな箇所を書いておこうと思う。

    「『般若心経』は、まず、この宇宙が何によって構成されているかを説く。それは、五蘊であると『般若心経』は言う。色。受。想。行。識。これが五蘊である。五蘊のうち、色というのは、物質的な宇宙の全てのもの、存在を言う。受、想、行、識という四っつのものは、いずれも人間の側-この宇宙を眺める側に生ずる心の動きだ。つまり、『般若心経』は、”存在と言うのは、その存在するものと、それを眺める心の動きがあって始めて存在する”と言っているのである。そして、凄いのは、それらの全てが、実は”空(くう)”であると言い切っていることである。色即是空 空即是色 なんというダイナミズムか。 この世のありとあらゆるもの、人や馬や牛などのような動物から、虫や花や草、あるいは水や空気や風、石、そら、山、海、大地、それらのものの、本質的な相は、空(くう)であると『般若心経』はいうのである。 人の心の作用、男が女を愛しいと想う気持ち、喜びや悲しみすらも、空(くう)であるというのである。人の行為も、想いも、全て空(くう)である- と、『般若心経』は高らかに宣言する。それは正しい。みごとに、認識と完結している。美しい。しかし、さらに凄いのは、その完成し、完結したものについて、”それがどうした”『般若心経』自らがそう叫んでいる。 色、即ち、空- だが、それがどうした。 色が空であるというそのような知恵、そのような美、あるいは知恵の完結を、どうでも言いと言うように、『般若心経』は、その最後で高らかに叫ぶのである。」

  • 感想は4で。

  • 最後まで読みましょう。最後が素晴らしいです。もちろん最初も面白いけど。なにより、驚くべき空海のエピソードが、実は史実に乗っ取られているという驚きもあります…
    本当は一体どんな人だったんだろう…益々謎が深まる魅力。
    作者が『こんな本が読みたかった』と書いてあったけど、まさに、私にとっても『こんな本がずっと読みたかった』です。
    十何年もかけて完結されたこの小説を、一気に読み終えられる幸せを感じました。今年の出会いで良かったです。
    タイムリーに追ってたら挫折していたかも。

  • 空海は本当にとんでもない人だったんだなと資料漁れば漁るほど思うわけですが・・・。昨年全巻一気読み(これもか・・・)したシリーズ。やめられないとまらない状態になるのでぜひ全巻そろえてからお読みになることをおすすめします。

  • 私の中国趣味と妖怪退治的な話が大好きなところがクリーンヒット…で★5つ。今後の展開によってはわかりませせんが。なにせ獏さんだから。

    読んだ人皆が言うと思うけど、中国版陰陽師です。空海と橘逸勢…が、平安時代のあのお二方と丸被り(性格は違いますが、コンビぶりが)。そこも楽しむポイントなのかも~~。

    関係ないけど、ちょうど今日、成田山の新年特別護摩修行に参加してきたのですが、弘法大師(空海)の名前が出てきて面白かったです。

    ……読んだきっかけは『くるねこ』なんですけどね(笑)

    • diver0620さん
      こんにちは。こちらでもよろしくお願いします。
      獏本のなかでもきちんと完結している希有な作品で、面白かったです。別のシリーズでは空海は密教僧の...
      こんにちは。こちらでもよろしくお願いします。
      獏本のなかでもきちんと完結している希有な作品で、面白かったです。別のシリーズでは空海は密教僧の化け物みたいに描かれていましたから。苦笑
      2011/07/09
  • 陰陽師シリーズと似た感じかな。長編が読めて陰陽師シリーズ好きならいいと思う。けどこれまだ一巻だからなんとも。

    あとまあこの人「糞」好きだよねという印象。

  • 遣唐使、行くだけでも命がけ。
    空海と橘逸勢が、まるで陰陽師の安倍晴明と源博雅を思い浮かべさせる。
    空海が貪欲に学びに来ている姿はよくわかるが、逸勢は一体?
    彼はまだ先は20年と長いと何もとりかかっていないように思えた。
    分厚い本だが、会話が多く、詩も短いため、びっしり文字がなく、読みやすい。あっという間に2巻へ。

  • 少し堅い内容かなと思い購入したのですが、内容は他の方も書かれているように陰陽師タッチで、とてもすらすらと楽しく読めました。
    個人的には映像で楽しむよりも読書で楽しむことがふさわしい、時間を忘れて読み進めてしまう、好きな作品です。

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著者プロフィール

1951年、神奈川県出身。第10回日本SF大賞、第21回星雲賞(日本長編部門)、第11回柴田錬三郎賞、第46回吉川英治賞など格調高い文芸賞を多数受賞。主な著作として『陰陽師』『闇狩り師』『餓狼伝』などのシリーズがあり、圧倒的人気を博す。

「2016年 『陰陽師―瀧夜叉姫― ⑧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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