本日は、お日柄もよく

著者 :
  • 徳間書店
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感想 : 378
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  • / ISBN・EAN: 9784198629854

感想・レビュー・書評

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  • スピーチライターという、すこし珍しい仕事の
    お仕事小説。
    平凡なOLである主人公二ノ宮こと葉。幼馴染みの結婚式で、伝説のスピーチライターの久遠久美に、心を動かされ、弟子入りをする。そして幼馴染みの選挙活動で、スピーチライターの仕事をするようになるという驚きの展開ストーリー。
    スピーチライターという仕事を軸にして、ドキドキあり、笑いありのスピード感ある展開で政治についての内容も多かった。
    主人公のこと葉が、物事に真っ直ぐに立ち向かい、素直な性格で皆から愛されるタイプだから、頑張れたのではないかと思う。
    伝説のスピーチライターの久遠久美も能力あって格好いい。
    リスニングボランティアの北原正子さんも、凄い人。老人ホームで、お年寄りの話をただひたすらに聞くという、ボランティアだというが、はじめて知った事。

    [ お年寄りの話を黙って聞く、という行為はその人のことを決して否定せずに受け止める。お年寄りになると話がくどくなったり、同じことを繰り返してしまったりするでしょう。話したくても、うとまれてしまうのね。何も求めているわけじゃない、ただ話したいだけなのにね。何もかも黙って聞いて最後にたった一言だけ。悲しい話なら「大変でしたね」明るい話なら「すてきですね」っていわせてもらう] 本文より―

    これは、こと葉が、私には絶対務まりそうにない、という描写も続くのだが、私にもかなり難しい事だなあと感じて読んだ。
    でも、話を聞くということの大切さを見習いたい事だと思ったし、努力していきたいなと感じた。このことは心に刻んでおきたいと思った部分…

    人の心を打つスピーチとは、考え抜かれた言葉や文章、間、目線などの極意を身に付けた上でのパフォーマンスが大切だということ。それが聞く人を、聴衆を、惹き付けるのだと描写されていた。

    心が…あったかくなる幾つかのスピーチや言葉があった。
    「困難に向かい合ったとき、もうだめだと思ったとき、想像してみるといい。三時間後の君、涙が止まっている。二十四時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君歩き出している。だって人間はそんな風にできているんだ。」

    「愛せよ。人生において、よきものはそれだけである。」

    • mei2catさん
      こんばんは。私もこの本大好きです!
      こんばんは。私もこの本大好きです!
      2023/01/06
  • 泣かされました。
    スピーチライターのお話です。
    作品中に出てくる結婚披露宴でのスピーチ、弔辞、選挙演説‥‥どれもとても心が感じられて胸が熱くなりました。
    「言葉っていうのは、魔物だ。人を傷つけも、励ましもする」「この魔物をどう操るか。それは、話す人次第なのだ」
    言葉には力がある、ということが強く伝わってきました。
    リスニングボランティアというものの存在も初めて知りました。おもにお年寄りの話を必要以上に応答したりせず、ただ黙って聞いてあげるのだそうです。
    「聞くことは、話すことよりもずっとエネルギーがいる。だけどその分、話すための勇気を得られる」
    これはなかなかできることじゃない。私にとっては修行に近いなぁと思ってしまった(汗)

    師匠の久美さんから言葉の力を教わる主人公こと葉。でも、何も言葉などかけずにただ抱きしめてあげるだけでいい時がある。
    もう、本当にとことん泣かされました。私のことをただ黙って抱きしめてくれた友だちのことを思い出して泣きました。いい友だちがいてよかったなぁ、私。

    人を励ましも傷つけもする言葉。大事に使っていこう、と思えた一冊でした。

    • アールグレイさん
      初めまして!
      ゆうママと申します!
      原田マハさんの作品を読んだことのない私、でもこの作品は読んでみたいと思っています。突然に失礼いたしました...
      初めまして!
      ゆうママと申します!
      原田マハさんの作品を読んだことのない私、でもこの作品は読んでみたいと思っています。突然に失礼いたしました。
      m(__)m
      2021/05/08
    • こっとんさん
      ゆうママさん、こんにちは。
      原田マハさん、私もまだまだ読んでいる数は少ないのですが、どれも笑えて泣ける大好きな作品中ばかりです。
      ブクログは...
      ゆうママさん、こんにちは。
      原田マハさん、私もまだまだ読んでいる数は少ないのですが、どれも笑えて泣ける大好きな作品中ばかりです。
      ブクログは皆さんのレビューから、読書の幅が広がって楽しいですよね。
      これからもよろしくお願いします。
      2021/05/08
  • 最後の最後にホロリとさせられてしまった。
    てゆうか、このタイトルと表紙で誰がこんな政治に切り込んだ話と思うのよ。
    なんの前情報もなしに、ほのぼの系かと思って読みはじめたらとんでもなかった。

    「総理。私があなたなら、この一番大切なものをなんとしても守ります。憲法にも明記されている人権、国民の命と生活を守るために、正々堂々、まっすぐに向き合います。」
    「国民の皆さん。この国は、進展党のものではない。小早川さん(現総理)のものでもない。国会議員のものでも、官僚のものでもない。この国は、あなたのものです。みなさんおひとりおひとりが、この日本という国のおひとりおひとりが、この日本という国のオーナーなのです。」

    このスピーチ、今こそ必要なんじゃない?
    総理、聞こえてますか?

    私は選挙権を得てからずっと選挙に行ってるけど、最近は自分の1票がこんなにも無力だと感じる事の方が多いわ。
    小さな1票でもないよりはマシ!と思って政治に訴えてる。
    でもこのままじゃただの働き蟻になるしかない。
    年少扶養控除返せー!高校生の扶養控除とるなー!
    うちの子達、生きてるんだよ?
    ご飯食べるし、服だって小さくなっていくし、生活に最低限必要なものには課税しないって法律に定められてるんじゃないの?

    とここで愚痴っても仕方ない。
    今の政治に言いたい事がそのまま代弁されているような、国会で全国放送で読んで差し上げたい本でした。

  • 言葉の力は素晴らしい。言葉で人の心を動かす。その言葉を操る"スピーチライター"の話。

    P112〜113 言葉っていうのは、魔物だ。人を傷つけも、励ましもする。本やネットを目で追うよりも、話せばなおのこと、生きた力をみなぎらせる。この魔物をどう操るか。それは、話す人次第なのだ。いい魔物にするのも、悪い魔物にするのも、スピーカー次第。聴く人を落ちこませるのも、元気にするのも、全部、スピーカー次第なのだ。

    P121 言葉は書くものでも読むものでもない。操るものだ。


    この箇所が印象に残った。本当にそのとおりだと思う。いい事言われたり、褒められたりすると嬉しくて忘れないし、その逆も同じで嫌な事を言われるとずっと心に残ってなぜか忘れられない。読んでて改めて気づいた事は、悪い言葉は言ってはダメ。人に嫌な思いをさせるようなこと言わないようにしたい、という事。当たり前のことなんだけど、なかなか出来ないよなー。仕事とかでも対応を上手くできたらいいのにと思う。今日はとくにそう思った。

    原田マハさんの作品は、私のイメージだと"ゆっくり"なんだけど、この話は展開が速い。スピーディー。今までのイメージが変わってしまった。でも、面白い。普通のOLだったのに久遠久美との出会いで一変。まさか政治に関わっていくなんて…という感じ。
    途中、あまりにも悲しく泣いちゃったし。とにかく、勉強になる事、感動する事、恋愛など色々なものがありなかなか忙しいお話だった。登場人物もみんな面白くて好きだ。とくに、おばあちゃんがすごくいい。カッコいい。

    読み終わりなんかよく分からないけど、明日も仕事がんばろと思いました。 

    アールグレイさん、お薦めいただきありがとうございました。面白くて、有意義な時間が過ごせました。感謝です。

    • アールグレイさん
      こんばんは★メイさん

      この本読んでいたのですね!
      ここ数日タイムラインを少ししか見ていませんでした。
      カマタリも良かった!
      今、方舟を読み...
      こんばんは★メイさん

      この本読んでいたのですね!
      ここ数日タイムラインを少ししか見ていませんでした。
      カマタリも良かった!
      今、方舟を読みたいのですが、図書館本が邪魔をしてお飾り状態。
      (x_x)
      2022/11/13
    • メイさん
      こんばんは、アールグレイさん。コメントありがとうございます。

      この間、頂いたコメントを削除してしまいました。申し訳ございません。読み終わっ...
      こんばんは、アールグレイさん。コメントありがとうございます。

      この間、頂いたコメントを削除してしまいました。申し訳ございません。読み終わったら登録し直して感想を書く、といういつもの手順をやってしまい、気づいた時には遅かったです。m(__)m

      コメント頂いたあと、図書館に行ったらこの本あって、すぐ読みました。本当にラッキーでした。
      分かります。カマタリ、カッコいいですよね。あのさりげない優しさ、キュンときます。

      「方舟」今、すごい勢いでみなさん読まれてますよね。私も、来年読めたらいいなーと思ってます。(^ ^)
      2022/11/13
    • アールグレイさん
      メイさん★
      私は読了間際に登録、レビューUPという形をとっています。いいねって、登録につける人結構いますね。
      私もたまにやってしまう訳で・・...
      メイさん★
      私は読了間際に登録、レビューUPという形をとっています。いいねって、登録につける人結構いますね。
      私もたまにやってしまう訳で・・・・
      ヘヘ
      2022/11/13
  • 星座占いって信じます?

    自分は信じてません
    占い全般を信じないわけじゃなく、不特定多数に向けたものは信じないというスタンスです
    だって同じ星座の人なんて世界中に何億人もいるわけじゃないですか
    その人たちがみんな同じ運勢のわけがない

    その代わり「自分で」引いたおみくじや、占い師さん(プロアマ問わず)に個人的に占ってもらったりした場合(占いの種類も問わず)はがっつり信じます
    「自分」が特定されるシチュエーションですね

    なので朝の情報番組なんかでやる今日の星占いみたいなコーナーはほとんど気にしないんですが
    良いときだけは受け入れるようにしてますw

    なので今日も受け入れます
    だって

    『本日は、乙女座が2位』なんちて

    さて『本日は、お日柄もよく』です

    いやー良かった
    最近ミステリーが続いてたんでなおのこと良かったです
    もう安定のハッピーエンドです
    安定の原田マハさんです
    最後しっかりほろりとさせられました

    作中当然伝説のスピーチライターが書くスピーチがたくさん出てくるんですがどれもこれもしっかり良いスピーチでした
    ハードル上げすぎじゃない?大丈夫マハさん?なんて思いながら読んでましたが心配無用でした

    それにしても小説はやっぱりハッピーエンドが良い!

    ちなみに結婚式のスピーチですが幼なじみにどうしてもと頼まれて一度だけ経験があります
    もちろん大暴露で大爆笑をさらいましたよ(何がもちろんやねん)

    • 土瓶さん
      ひまわりめろんさん、おはようございます。
      久々に来ましたね。
      レビュー1行目の「星座占いって信じます?」でピンときました。
      これはタイ...
      ひまわりめろんさん、おはようございます。
      久々に来ましたね。
      レビュー1行目の「星座占いって信じます?」でピンときました。
      これはタイトルダジャレシリーズだな、と。
      挑みました。
      この1行からどう発展するかを。
      ………………(5分経過)
      ギブアップ。
      そうきましたか。
      次は勝ちます。
      それにしても惚れ惚れとするような月間読書量ですね。
      羨ましいやら、恐ろしい? やら。
      きっとこの人は全ての本を読み尽くすに違いない(笑)。
      2022/05/02
    • ひまわりめろんさん
      土瓶さん
      こんにちは

      www
      最初の一行と題名だけで当てるのは難易度高すぎじゃないですか?w

      まあいつでも挑戦お待ちしておりますよ(ふふ...
      土瓶さん
      こんにちは

      www
      最初の一行と題名だけで当てるのは難易度高すぎじゃないですか?w

      まあいつでも挑戦お待ちしておりますよ(ふふん)

      読者量に関してはただ暇なだけですw
      子供たちももう相手してくれないですし(涙)
      2022/05/02
  • こんなに素敵な作品だったとは…!!

    人気があるのは知っていたけど、スピーチかあ…あんまり興味無いなと思ってた…

    たまたま、これからスピーチを披露する機会がある知人がいて、プレゼントに出来るかなあと自分で読んでみた。

    素晴らしい。号泣した。
    【スピーチライター】っていうひとつの仕事だけで、この1冊に選挙、仕事、恋愛、ユーモア、感動
    色んなものを詰め込んで綺麗にまとめられるってすごいわ…

    政治とか、スピーチとか自分とはあまり関わりのない世界なのに引き込まれる。
    そして言葉の力の強さを改めて思い知った作品だった。

    「困難に向かい合ったとき…」この励ましの文章は本当に心に沁みる。前を向ける。

    これからスピーチの舞台に立つ知人に早くプレゼントしたい。
    色んな方に読んでほしいオススメの1冊。

    • ちゃたさん
      みたらし娘さん、こんばんは

      この本、素敵ですよね。
      原田マハさんから直接スピーチを手ほどきいただいてる気持ちになります。ストーリーのよさと...
      みたらし娘さん、こんばんは

      この本、素敵ですよね。
      原田マハさんから直接スピーチを手ほどきいただいてる気持ちになります。ストーリーのよさと相まって、たくさんのプレゼントをもらった気分になります。私も友だちに薦めてみます(^o^)
      2022/11/29
    • みたらし娘さん
      ちゃたさん☆

      こんばんは!コメントありがとうございます(*´ω`*)嬉しいです♪

      ちゃたさんのおっしゃる通り、本当に素敵なプレゼントをも...
      ちゃたさん☆

      こんばんは!コメントありがとうございます(*´ω`*)嬉しいです♪

      ちゃたさんのおっしゃる通り、本当に素敵なプレゼントをもらった気分になりました\( ´ω` )/
      最高の1冊です!

      色んな人に幸せのおすそ分けでプレゼントしたくなるような作品ですよね♪
      ちゃたさんが教えてくださった森沢明夫さんの【虹の岬の喫茶店】からどハマりして色んな人におすすめしてます(*´ω`*)
      その節はありがとうございましたm(*_ _)m
      これからもよろしくお願いします☆
      2022/11/29
    • ちゃたさん
      こちらこそありがとうございます(^o^)これからもレビュー楽しみにしていますね♪
      こちらこそありがとうございます(^o^)これからもレビュー楽しみにしていますね♪
      2022/11/29
  • 本って、言葉のアートなんだ!
    そして読書とは、自分のペースで楽しむアート鑑賞なんだ。
    そんな風に強く思わせてくれた作品でした。

    主人公は、一見 普通の27歳 OLの女性。 その名も「こと葉」。
    親友の披露宴で、二つのスピーチに出会ってしまいます。
    ひとつは、眠くて顔ごとスープ皿に激突するようなスピーチ。
    もうひとつは、短くてユーモアと愛情にあふれた感動スピーチ。
    こと葉は 感動スピーチをした女性、スピーチライターの久美さんを追いかけます。
    そして、久美さんに関わるうちに、言葉の魔力の大きな渦に吞み込まれていきます。
    それは 創り出すと同時に、沈黙であったり、耳を傾けることであったりもしました。
    こと葉は、言葉の世界と出会うことで 大切なことを見極められるようになり、
    自分の人生をよりよく変えていくことが出来るようになっていきます。

    読み進めながら、言葉って相手にどう響くかが大切なんだ、と再認識しました。
    相手の気持ちを理解して、その気持ちに沿う言葉を届けることを考える。
    それを意識し続けることが大切なんだ と。
    丁寧に言葉を使うことで、私も自分の人生をよりよく変えていけるのかもしれない。
    今日から、私も話す時は相手の気持ちに寄り添って、…なんて できるのかなぁ??
    でも、そんな風に思わせてくれた作品でした。

    ブクログって、完全に言葉だけの世界ですね。
    感動を言葉で発信できる場であり、新しい言葉のアートに出会える場でもあります。
    今年の初めにこのサイトに出会って、私の暮らしは ぐんと豊かになりました。
    ブクログで この本を読むよう私の背中を押してくださった方々、
    本当にありがとうございます。

    • akodamさん
      yyさん

      コメント失礼します。

      本は言葉のアート。
      ブクロブは新たな言葉のアートに出会える場。

      激しく勇ましく同意です。
      代弁くださり...
      yyさん

      コメント失礼します。

      本は言葉のアート。
      ブクロブは新たな言葉のアートに出会える場。

      激しく勇ましく同意です。
      代弁くださりありがとうございます。

      私もブクログに訪れることが生活の一部になりました。

      yyさんや皆さんの本棚やレビューを拝読して、新たな楽しみを日々積み上げております。

      今後ともよろしくお願いいたします!
      2021/07/07
    • yyさん
      akodamさん

      嬉しいコメントをありがとうございます。
      素敵な言葉をたくさんいただきました。

      原田マハさんの世界に、遅まきな...
      akodamさん

      嬉しいコメントをありがとうございます。
      素敵な言葉をたくさんいただきました。

      原田マハさんの世界に、遅まきながら今年なって初めて触れました。
      その中で、アートという言葉が飛び交う作品をたくさん読む機会があったので…。

      本が好きな方たちと、こうやって交流できるのはとても楽しいです。

      こちらこそ、これからもよろしくお願いします ☆彡
      2021/07/07
  • 困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。
    三時間後の君、涙がとまっている。二十四時間後の君、涙は乾いている。
    二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩き出している。

    両親を交通事故で突然亡くした14歳の久美を励まし、
    伝説のスピーチライターを目指す決意をはぐくんだ言葉。
    久美と一緒に、いつのまにか泣いている私がいました。

    打ちひしがれているとき、こんな言葉をかけてもらえたら、どんなに救われることか。
    そして、苦しみ涙している誰かに、迷うことなくこんな言葉をかけてあげられたら!

    『キネマの神様』では、映画についてのゴウちゃんのレビューだけで
    あきれるほど泣かされてしまった原田マハさん。
    今度はなんと、結婚式のスピーチで、まさかの選挙演説で、こんなに泣かされるとは!

    折りしも、この日は安倍首相の所信表明演説の日。
    う~ん、さっぱり心に届いてこないなぁ。。。
    伝説のスピーチライター久美さんは無理としても、原田マハさんに
    ブレーンとして参加してもらったら、きっと心を打つ演説になったのに、と思ったりして。

    初恋の相手でもあった幼なじみの厚志の結婚披露宴で
    よりによって、彼の大切なクライアントのスピーチの真っ最中、
    睡魔に抗えず、スープ皿に派手な音とともに顔を突っ込んだ、こと葉。
    長くて退屈なそのスピーチの後に披露された久美のスピーチに心奪われ、
    早速彼女に弟子入りして、スピーチライター修業を始めるのですが。。。

    生き生きと動き回ること葉や久美はもちろん、
    影に徹して野党党首を地道に支え続け、家族や知人には
    忘れられない温かな言葉や思い出を遺した厚志の父、今川篤朗、
    気鋭のコピーライターで、与党のブレーンとしてこと葉たちの行く手を阻むと思いきや
    変なところで律儀さを発揮し、救いの手を差し伸べるライバルのワダカマなど
    登場人物も、相変わらず好きにならずにいられない魅力的な人ばかり。

    両親が与えてくれた心と体を大切に育てて
    思いを伝えたい相手の心に届き、温める言葉をかけられるひとになりたいと
    素直に思わせてくれる物語です。

    • まろんさん
      koshoujiさんのレビューで、これは読まなくちゃ!と思っていた本です。
      いつも心に残る本を紹介してくださって、本当にありがとうございます...
      koshoujiさんのレビューで、これは読まなくちゃ!と思っていた本です。
      いつも心に残る本を紹介してくださって、本当にありがとうございます。

      本の中ではもう既に亡くなっている今川篤朗の言葉が、どれもこれも素晴らしくて
      こんな政治家がほんとにいたら、絶対に投票して、ウグイス嬢でもなんでも
      いくらでもお手伝いするのに!と思いました。
      原田マハさんの綴る言葉には、魔力がありますね!
      2013/01/31
    • マリモさん
      原田さんて、文章力や構成力もそうですが、言葉のもつパワーと、その使い方を本当によく知っている方ですよね。
      単純なスピーチ本よりずっと役に立ち...
      原田さんて、文章力や構成力もそうですが、言葉のもつパワーと、その使い方を本当によく知っている方ですよね。
      単純なスピーチ本よりずっと役に立ちそうなので、万一、何かのスピーチを頼まれた日には絶対再読!と思いました(笑)。
      2013/01/31
    • まろんさん
      マリモさん☆

      言葉のもつパワー!うんうん、ほんとうに!
      原田さんの親戚の方々は、きっと結婚式には感動的なスピーチをしてもらえるんだろうなぁ...
      マリモさん☆

      言葉のもつパワー!うんうん、ほんとうに!
      原田さんの親戚の方々は、きっと結婚式には感動的なスピーチをしてもらえるんだろうなぁ、と
      うらやましくてたまりません(笑)
      私も、今年のピアノの発表会の前には、もう一度この本を読んで
      生徒とご家族の前で、感動的な挨拶をしちゃうぞ~!と、今から意気込んでいます♪
      2013/01/31
  • お気楽OL・二ノ宮こと葉は、幼馴染で初恋相手の今川厚志の、結婚披露宴で会った、伝説のスピーチライター・久遠久美の祝辞に魅せられて、言葉で人を熱くし、心を動かしてみたい・・と、スピーチライターへ転身し、成長していく様を描いた物語。

    清らかな言葉、清らかな人たち
    何度も何度も、胸が熱くなった。

    『愛せよ。人生において、よきものはそれだけである』フランスの作家・ジョルジュ・サンド

    『変わるほうがいい。良い方に変わるなら』

    『困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。
    三時間後の君、涙がとまっている。二十四時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩き出している』

  • 結婚式の披露宴から、舞台は選挙戦へ。
    話す人柄、語りかけ、スピーチの良し悪しで人の印象が変わる。
    どのスピーチも、胸にじんとくるものがあり、よかった。
    とっておきたい言葉がたくさんありました。

  • 小畑健、大場つぐみコンビによる漫画『バクマン。』の連載開始を知ったとき、わくわくするような大きな期待感とほんの少しの不安があった。
    『DEATH NOTE』でストーリーの面白さと画力の高さは体験済みだったので期待のほうが勝っていたが、こう叫びたかった。

    「漫画家が、漫画家の漫画を描くなんて、どんだけハードル上げてんだよ!」と。

    画風も方向性も違うライバルたちが複数登場するので描き分けが必要だし、なにより主人公に才能がある設定なので彼らが描く漫画に、そう思わせるだけの説得力がなければならない。
    「漫画を描く」というテーマに着手するということは、漫画家、原作者ともに相当の自信と覚悟が必要だろう。
    結果、やはりきっちりとハードルを越えてきた訳だが。

    そして、原田マハ『本日は、お日柄もよく』
    作家が書く「言葉の力」についての物語である。

    以前読んだ『キネマの神様』には高名な映画評論家が登場した。
    今作には、日本を代表する俳人、天才コピーライター、伝説のスピーチライターらが登場し、歴史に残る名演説まで出てくる。

    物語の最初から、列席者そして読者の心をつかむ結婚披露宴の祝辞が素晴らしい。
    僕と同様に感銘を受けた、主人公の二ノ宮こと葉が久遠久美との出会いを果たすところから話が転がり始めるが、スピーチを通した女性の成長物語だと思っていたら、政権が絡む壮大な話になろうとは。

    国会の代表質問や党首討論が、まさか心に沁みるなんて。
    総理大臣に質問を投げかける今川篤朗議院の姿は、闘技場にて言葉の剣一本で、まさに命を賭してライオンに立ち向かうグラディエーターだ。

    祝辞、弔辞、選挙演説、その他さまざまな名文の数々。
    でもそんな中、メールの「ちょっとは休めよ」の短い一文が胸を打ったりもする。
    言葉の力とはそれだけに効力があるものではなく、それを発する人の人柄や良さを最大限に引き出して伝えるための触媒のようなものなのだろう(僕は「吉原家」の鈴木社長が好きだったなぁ)。

    要所要所で力を発揮する熱のこもったスピーチとダイナミックな展開でぐいぐい読ませ大変面白かった。
    しかしこの原田マハさんの素敵な物語が、結局はファンタジーにならざるを得ない現状が残念でならない。

    • kwosaさん
      うわぁ、円軌道の外さん!
      おひさしぶりです! お待ちしておりました!!

      レビュー冒頭のバクマンのくだりは、確かに面食らいますよね。
      舞の海...
      うわぁ、円軌道の外さん!
      おひさしぶりです! お待ちしておりました!!

      レビュー冒頭のバクマンのくだりは、確かに面食らいますよね。
      舞の海の「猫騙し」みたいな技を使ってしまいました。

      それにしても過分なまでのお褒めの言葉。
      いやあ、恐縮です。

      最初は自分自身の記録のために始めたブクログ。
      みなさんのレビューのおかげで、いままで知らなかった面白い本、素敵な作家さんにたくさん出会うことができました。
      そのうちに自分も「この本面白かったよ、読んでみて!」っておすすめしたいなぁ、なんてちょっと色気が出てきたりして。

      「ご参考までに」と便宜上、★をつけてしまいますが、基本的に「創作者はそれだけで偉い、凄い」と思っています。
      その時の自分にはフィットしなくても、きっとその作品が好きなファンもたくさんいらっしゃると思うので、読んで不快になるようなレビューは書きたくないなぁ、と気をつけてはいるつもりです。

      あっ、なんか自分で書いておきながらちょっと偉そうですね。すみません。

      原田マハさんもブクログのみなさんに教えて頂きました。
      まだ二作しか読んでいないのですが、これから追いかけていきたい作家さんです。

      そして原田宗典さん!
      僕もハマっていましたよ。
      ちょっとだらしない男の憂いや、青年期の焦燥感などの描き方がストライクで、けっこう読みましたよ。
      エッセイは全然テイストが違って、これがまた面白かったですよね。
      かなり脱力した記憶があります。
      2013/04/10
    • 円軌道の外さん

      あっ、分かります!

      その作品が響く響かないは
      その時の環境や置かれてる立場や経験がものを言うし
      タイミングもありますよね。
      ...

      あっ、分かります!

      その作品が響く響かないは
      その時の環境や置かれてる立場や経験がものを言うし
      タイミングもありますよね。

      だけれど自分も
      音楽を作ったり
      歌詞を書いてきた人間だから
      創る側の気持ちも多少なりとも
      分かるんスよね〜


      個人的には
      音楽も小説も映画だって
      個人の合う合わないがあるだけで、
      葬り去られていい作品なんて
      ひとつもないと思ってます。


      だからレビューを書く時も
      自分が好きな作品か、
      自分には合わなかった作品か

      そこをハッキリ書くようには
      心がけてるつもりです。


      あと基本的に
      自分がレビューなどで評価する時は
      好きな作品しか
      書かないことにしています(笑)

      それは嫌いなものや
      合わないものに
      貴重な時間を割くのが勿体無いって考えもあるし、

      不特定多数が目にするネットで
      意見を書くなら、
      責任をとれる書き方をしなきゃって思うのもあるし、

      やはり自分の
      「好き」を精一杯伝えた方が
      見る方だって
      読む方だって
      単純に気持ちいいかなって
      自分は思ったんですよね(笑)


      あとkwosaさんの言うように
      自分には合わなかったけれども
      この作品に救われた人が
      必ずいるハズだと
      どこかで考えるようにはしてます。
      (要は書いた人や作った人に敬意を表するってことです)

      そういう考えを常に持っていれば
      一方的な悪口には
      とられないだろうし、
      トラブルの元になることも
      少ないんじゃないかな。


      言葉はとる側の捉え方によって
      ナイフにだって、
      希望の光にだってなりえます。

      自分は匿名性の影に隠れ
      安全の中にいて、

      悪意を持って
      誰かを批評したり
      貶めたりするのは
      イジメととられても仕方ないと
      個人的には思います。

      言いたいことがあるなら
      外野からではなく、
      実名を出して
      堂々と言うべきやしね(^_^;)


      その点でもkwosaさんのレビューは
      作品への『好き』の気持ちが溢れていて
      読んでていつも
      自然にニヤケてしまうのです(笑)


      2013/04/15
    • kwosaさん
      円軌道の外さん

      コメントありがとうございます。

      僕の場合、結構★の数はその時の気分に左右されるので、あんまりあてにならないんですよね。
      ...
      円軌道の外さん

      コメントありがとうございます。

      僕の場合、結構★の数はその時の気分に左右されるので、あんまりあてにならないんですよね。
      その分、感想で伝えたいなと。

      個人的には低評価のレビューでも「この人はこう言っているけど自分にはあうかも」と思ってしまうほうなので、自分自身が感想を書く時は素直な気持ちを出すようにしています。

      円軌道の外さんがおっしゃるように、やっぱり匿名で書いている訳ですから、悪意を持って貶めるようなことはしたくないですよね。

      ブクログではワイワイやりながら、面白い本を発見したいですよね。
      2013/04/15
  • おめでたい表紙なので、新年1冊目に読もうと決めていた初の原田マハさん。
    結婚式の感動モノかと思ったらほぼ政治の話。
    最初の久遠久美のスピーチが良かっただけに期待が膨らみ過ぎた。
    スピーチライターという仕事について知ることができた。
    でもトップに立つような人は有能なのだから自分の言葉で勝負しようよって思ってしまった。

  • なんで今まで読んでいなかったんだろう。
    ただのスピーチ本ではなく、言葉を大切に紡ごうとする人たちの物語だった。
    スピーチの基本となるルールはあるんだけど、やっぱり心に響くスピーチというのは、その人の人柄や経験が滲み出たものなんだよなとつくづく思った。
    言葉を伝えることの大切さ、難しさを改めて感じると同時に、言葉以上のことを伝えるものもあると再確認。
    日常にも取り入れたいことが色々あり、読んで良かった!

  • 困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。3時間後の君、涙がとまっている。24時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩き出している。どうだい?そんなに難しいことじゃないだろう?だって人間はそういうふうにできているんだ。とまらない涙はない。乾かない涙もない。顔は下ばっかり向いているわけにもいかない。歩き出すために足があるんだよ。

  • 痛快! OLこと葉の成長物語。最後は幸せになってほしいなーと思いながら読んでいたが、そうだ、題名が「本日は、お日柄もよく」だったもんね。

    さる老舗製菓会社の総務部のOLこと葉。同期の結婚披露宴で来賓社長のあまりに退屈なスピーチに眠気がさし、顔面を目の前のスープ皿につっぷす。次に来賓にたったさる女性のみごとなスピーチ。さらに、ひそかに思いを寄せていた家族ぐるみのつきあいの幼馴染の厚志にスピーチを頼まれる。そこでみごとなスピーチの女性に弟子入りする。その女性は政界人や社長やはてまて町内会の挨拶まで、スピーチの骨組みを作る、スピーチライターという職業の人だった。

    そこから始まること葉の大進撃。広告会社のコピーライター、亡父の遺志をついでの厚志の議員立候補、などちょっと池井戸潤の会社物シリーズがほんわかとなったような読み心地も。

    書かれたのが2008年と、民主党政権時代かと思ったら民主党は2009年3月からのようだ。連載時に政権党になったか。小泉首相の郵政民営化とかうまくおりこんでいる。後期高齢者医療制度ってこのころできたのね。

    wowwowで2017.1にドラマ化。厚志は渡辺大、ワダカマは速水もこみち。どっちもかっこいいけど逆の配役でもいいかも。俳人でもあること葉の祖母は八千草薫、これはあってるなあ。肝心のこと葉は比嘉愛未・・全く知りません。


    「本とも」2008.11月号~2010.6月号に連載

    2010.8.31初版 図書館

  • 尊敬するブクログ仲間さんに、原田マハさんをお勧めしてもらい、いそいそと図書館に予約しに行き、一番初めに届いたのがこの本。
    お勧めしてくれたブクログ仲間さん!感謝します!!

    良かった!
    随所随所で、心をわしづかみにされた感じです。
    最初の久遠さんのスピーチで泣かされ、そのあとの選挙演説でも泣かされるとは・・・
    実際の選挙演説でじ~んときたことなんてないなぁ(まぁ、じっくり聞いたこともないんだけど・・)

    今川代議士が久美にかけた言葉
    「止まらない涙はない。乾かない涙もない。顔は下ばかりむいているわけにもいかない。歩き出すために足はあるんだよ」

    人の心を動かす言葉、言葉の力ってすごいです。
    言葉がこんなに素敵だということを、気づかせてくれた本でした。

    • まろんさん
      noboさ~ん、私も同じところで泣きました!
      まさか自分が選挙演説で泣く日が来るとは思いませんでした(笑)
      大好きなこの本を、noboさんが...
      noboさ~ん、私も同じところで泣きました!
      まさか自分が選挙演説で泣く日が来るとは思いませんでした(笑)
      大好きなこの本を、noboさんが同じ気持ちで読んでくださったと思うと、うれしくて♪

      この本を好きになってくださったなら、『キネマの神様』とか『旅屋おかえり』も
      きっと気に入っていただけると思うので、ぜひぜひ(*'-')フフ♪
      2013/03/05
    • nobo0803さん
      まろんさん

      なんとなんと、図書館で予約していた「キネマの神様」と「旅屋おかえり」の2冊が同時に順番がまわってきた連絡が今日あったんですよ!...
      まろんさん

      なんとなんと、図書館で予約していた「キネマの神様」と「旅屋おかえり」の2冊が同時に順番がまわってきた連絡が今日あったんですよ!!
      これも何かの偶然??
      早速明日に取りに行きます!
      しばらく原田マハさん漬けです!(^^)!
      2013/03/05
    • まろんさん
      きゃ~、もう、運命としか言いようがありませんね♪
      noboさんも本の神様にめいっぱい愛されてるのが証明されましたね(*'-')フフ♪
      どんな...
      きゃ~、もう、運命としか言いようがありませんね♪
      noboさんも本の神様にめいっぱい愛されてるのが証明されましたね(*'-')フフ♪
      どんな感想を持たれるのか、レビュー楽しみにしています!
      2013/03/06
  • 今年の7月、親友の結婚式があり、スピーチを頼まれているので、真剣に読み込んでしまいました笑
    __________________
    スピーチに大切なのは、心
    __________________

    美しい比喩表現とか、単語の組み合わせ方、スピーチする際の姿勢や表情、数字を入れる、、、スピーチや人と話す時のメソッドが溢れかえる中で、小説「本日は、お日柄もよく」はその中心核を着いてきたなと思う作品。
    どんなに美辞麗句を並べてもそこに心がこもってないと何のエネルギーも生み出さない。

    ぬるま湯に浸っていたOLこと葉(主人公)が、伝説的スピーチライター久美さんに出会い、自身もスピーチライターになるべく奮闘する。
    __________________
    言葉で人を熱くし、人を動かしてみたい。言葉が持つ力をとことん追求してみたい。
    __________________

    ただそれだけの想いが、主人公をつき動かす。

    他の登場人物もいい人たちばかり…。現実はこんな恵まれた環境なんてないしぃ、とひねくれモード手前でしたが、強い信念に突き動かされている人、なんか頑張ってる人、まっすぐで信頼できるにいい人たちが自然と寄って行くのかも…と感じられる箇所がいくつもありました。

    そして、いい人であるかどうか?は、やはり言葉にも表れるようで。
    普段何気なく発している言葉たちに、自分の情報が含まれているのだと思うと、
    お日柄が良い日に限らず、言葉を大切に扱っていきたいと思わせてくれた本でした。

  • タイトルと水引の表紙から、勝手に結婚式にまつわるお話だと思って読み始めた。

    確かに、主人公のこと葉が招待された披露宴の場面から始まる。
    でも、そこで素晴らしい祝辞と、それを披露した伝説のスピーチライターの久美に出会い、こと葉の人生が大きく(本当に大きく)変わり始める。
    『伝説の』スピーチライターだなんて、物語の中にそのスピーチを書くのは大変だよなと失礼ながら思っていたのだが、どのスピーチも心をがっしり掴まれて、泣けた。

    言葉を発したときには、スピーチをしているその人の体験による、その人だけのもののはずなのに、聞いている人の中の奥にある体験に入り込んで心を揺さぶる。いいスピーチ、言葉はそういうものなんだと思った。
    とても素敵な本が読めて幸せだ。

  • 作者とタイトルからきっと良い話だと思わせる。読んだ後、清々しい話でした。自分的にはリスニングボランティアの「黙って聞く、という行為は、その人のことを決して否定せず否定せず受けとめる、ということ」というのにグッときた。見習いたい!

  • 本音と本気と本心は、
    たとえ、どんな言葉を借りて
    人前に現れた、としても、

    必ずや、聞く人の心に届くモンだと思ってた。(てか、思ってる。)

    だから、
    特別難しい言葉を使わなくたって、
    比喩だの、
    言い回しだの、
    面倒な事、考えなくたって

    ただ
    思ったままを、
    見たままを、
    感じたままを、
    ウソ、偽り無く、そのまま伝えられれば、装飾は必要ない。
    シンプル・イズ・ベスト。

    …が、私の「これまで」であった。

    しかし、
    「言葉のプロ」が放った、
    魔法の様に人を惹き付けるスピーチに、
    私は、ただただ息を呑み、我を忘れて聞き入ってしまった。
    ここが「二次元」の世界である、なんて事など、すっかりどーでも良くなって。

    主人公「こと葉」の思いが、この世界の全てであろう。

    >言葉で人を熱し、心を動かしてみたい。

    そんな思いを持つ人にはオススメの一冊。

  •  初、原田マハ作品。おー、何という、秀作。言葉を生業とする人々すべてに読んでほしい作品だ。
     言葉は、人の心を動かす。人の心が変われば、その人の周りが変わり、やがて世界が変わる。なんと底知れぬ力を持っているのだ、言葉というものは・・・

     こと葉が、なぜあんなに久美に可愛がられ、ワダカマに好かれたのか、謎のままだが、彼女が言葉に真摯に向き合う様は魅せられた。千華への結婚式でのスピーチ、あれは素人のスピーチではなかった。普通の素人さんなら、「えー。あー。」って言うよ。むしろ、鈴木社長が普通だよ。
    そこからまさか選挙に移行とは・・・びっくりしたが、たしかに、そこは、スピーチの本領発揮の場だものな。舞台としては格好の場所だ。
     政治家のあの演説。一人で作れない。今までそんなこと、考えたこともなかったけれど、この作品を通してスピーチライターという職業があるのを知って、人の影となり、人の言葉を作ることができる職業があるのを知って、それをかっこいいと思わずにはいられなかった。

     はばかりながら私も、言葉を生業とする職業に就く身だ。問題を提起し気づかせ、集団を、個人を、改善していく業務を担う職業に就く身だ。その際に使うのが、言葉。いかに人の心を掴むか、いかに人を説得するかは、言葉にかかっている。分かっていたつもりだったけど、日常に忙殺されて、最近は、自分の操る言葉と真剣に向き合ってこなかったかもしれない。こと葉の行動を見て、そう感じざるをえない自分がいた。

     個人に向けてにしろ、集団に向けてにしろ、誰かに何かを伝えるということは、とても難しいことだ。言葉で人の心を動かすことは、一筋縄ではいかないことだ。けれど、だからこそ楽しい。止められないほどわくわくする。
     これからも私は、良い聞き手でありたいし、100回スピーチする中で、一人か二人くらいは、人の心を動かしたい。
     文章や言葉で、人は、世界は変わるのだと信じ、文章と言葉を愛し続ける者の一人として、これからも、真摯に言葉と向き合っていきたいと思う。

     次にスピーチするときは、めーっちゃ気合入れて臨んでやるぞ!!

    • koshoujiさん
      コメントありがとうございました。
      最近読んだ「キネマの神様」もなかなかです。
      原田マハさん、今のところハズレなしです。
      話は変わります...
      コメントありがとうございました。
      最近読んだ「キネマの神様」もなかなかです。
      原田マハさん、今のところハズレなしです。
      話は変わりますが「大振り」20巻やっと出ましたね。相変わらず面白い。
      これからは発刊ペースをもう少し短くしてもらい、年に3冊は読みたいですねぇ。
      2012/10/29
    • nico314さん
      >文章や言葉で、人は、世界は変わるのだと信じ

      本当にそうだと思います。「言霊」というくらいですから、計り知れない力があると思うのです。...
      >文章や言葉で、人は、世界は変わるのだと信じ

      本当にそうだと思います。「言霊」というくらいですから、計り知れない力があると思うのです。事柄について深く洞察し、何を相手に伝えたいのかを自分自身が理解していないと、表面的な言葉となって伝わらないまま流れていくのを私自身痛感しています。
      2012/10/30
  • この本を読むまで、スピーチライターという職業を知りませんでした。

    政治家の裏でこのような方が活躍しているとは。

    結婚式のスピーチにはじまり、政治家のスピーチ、そして結婚式のスピーチに終わるという構成がにくいですね。

    これまでの人生を振り返って、言葉に傷ついたこともあり、言葉に励まされ立ち上がれたこともあり。

    言葉の持つ力をあらためて感じるとともに、コミカルであったかい、原田マハさんワールドを楽しめました。

  • スピーチの大切さを学べた本でした。
    ***
    歴史上、有名なスピーチと言えばマーティン・ルーサー・キングさんの「I Have a Dream」が思い浮かびます。少し前ではオバマさんの「Yes, We Can」などのように、スピーチがいかに人を動かす重要な表現方法であるかがわかります。

    この本が出版された2010年頃、そのオバマさんを支えたスピーチライターという職業が注目されたようで、検索すると日本では馴染みのない響きですが、アメリカでは政治家のみならず企業のPRなどでも需要があるそうです。
    スピーチのゴーストライター?かと思いましたが、どちらかというとコンサルタント的な意味合いが強く「原稿執筆よりも、情報戦」というくらい状況を把握することが大事という蔭山洋介さんの言葉が印象的でした。

    本書でもその情報戦の重要さがたくさん出てきますし、スピーチの極意十箇条は今後役立てたいと思いました。

  • スピーチライターという珍しいお仕事に焦点をあてた物語。でも決してお仕事小説ではなく、言葉の持つ限りない可能性がテーマなのかな。
    言葉の力を感じることができる、覚えておきたい名フレーズがたくさんありました。

    披露宴会場、選挙演説会場、様々な場でのスピーチシーンがまるで目の前で行われているかのように臨場感を持って描かれ、感情が動かされました。後半は選挙色が強く、強引に話が進んでいく感じが否めないが、言葉の力で人の心を動かす魔法に憧れながら、気持ちよく読了しました。
    オバマ前大統領のスピーチを聞いてみたくなりました。

  • 冒頭からスピーチに感動した。
    話が進むにつれてこと葉や登場人物がどんどん魅力的になっていて後半は泣きっぱなしで読んでいた。感動というよりとにかく心に響く作品。

  • T図書館 2010年
    ドラマ化 2016年

    面白くて最速で読んでしまった
    話の流れが秀逸
    結婚式→選挙→結婚式で終わるのもいいおちだ
    冒頭、主人公の二ノ宮こと葉が、幼馴染みの結婚式で皿に顔を突っ込むシーンがあるのだが、素直でこの子好きだなーと心を掴まれた
    こと葉が慕うスピーチライターの久遠久美は、頼りになる姉御だ
    こと葉に寄り添い叱咤激励しながらも、さっさとアメリカに行ってしまう
    でも最後、こと葉の結婚式にカッコよく再登場する
    一本取られた感もありつつ、読者がこうなって欲しいと思うようなシーンに仕上がっている
    こういう所、マハさんはうまいんだ
    いいセリフもあったけど、それより主人公が魅力的だと、話全体が明るくていいなと思った

  • 「困難に出会った時、数時間後には涙も乾き3日後には歩き出している。」すごーくジーンときました。

  • 政治のとこはもっと架空の話にして欲しかった。
    政権交代のその後を知っているので白けてしまう。
    何故オバマ氏は実名なのにどうして日本は違うのか?名前だけでなく…

    ラストは笑えるくらいHappyENDで気持ちが良かった。

  • 新卒で入社した当時、コピーライターをしていた。
    出版や広告系の華やかな業界ではなかったけど、言葉遊びの楽しさ難しさ、狙った通りの成果が出た時の営業さんとクライアントの反応、何より自分が書いた原稿が誰かに影響を与える体験には中毒性があった。そのときのわくわく感を思い出した。1年足らずの短い期間だったけど、糸井重里さんら有名なライターたちが産み出してきた言葉を写経してリズムを意識したりもしていたなぁ。

    「本日はお日柄もよく」

    幼馴染で片想いの相手の結婚式。主人公こと葉は、あるスピーチの素晴らしさに胸打たれ、伝説のスピーチライター久遠久美に弟子入りすることになる。

    展開を気にして読むよりも、ひとつひとつの言葉を噛みしめたくて、ゆっくり読んだ。
    額縁に入れて飾りたいような、あたたかくて、気持ちのこもった、宝物のような言葉の数々。
    ジョルジュ・サンドの言葉に沁み入る。
    私も大切な人の門出の際にこんな言葉を贈りたい。
    この本に出会えて良かった。

    極意についてもわかりやすく描かれているのでスピーチ以外にも、プレゼンやディベート、愛の告白、プロポーズ・・・何にでも活用できる実用書になる。これは購入決定ですよ、奥さん。

    今はメールや電話で簡単にすぐやり取りができるけど、その分よく考えもしないで無造作に言葉を放っている自分を振り返って反省した。

    マハさんの本は「普通じゃない」「カフーを待ちわびて」以来3冊目だけど、本当に素晴らしい作家さんだとこの本で再認識した。
    政治は正直あまり興味のわくテーマじゃなかったけど、それでもマハさんの目を、筆を通せばこれだけ魅力的になる。「楽園のカンヴァス」も早く読みたい。

    • koshoujiさん
      ハナマルありがとうございました。
      いやあ「楽園のカンヴァス」があれほど衝撃的な作品だったとは。
      原田マハさんに感服しました。
      是非、お...
      ハナマルありがとうございました。
      いやあ「楽園のカンヴァス」があれほど衝撃的な作品だったとは。
      原田マハさんに感服しました。
      是非、お読みください。稀代の傑作。
      この本も読みたいですな。
      2012/07/26
    • koshoujiさん
      追伸:
      そういえば先ほどテレビを観ていたら糸井重里を久々に見ました。どこかの国への旅行ドキュメント。
      あまり年を取らないね、あの人。
      ...
      追伸:
      そういえば先ほどテレビを観ていたら糸井重里を久々に見ました。どこかの国への旅行ドキュメント。
      あまり年を取らないね、あの人。
      もう少しじいさんになっているかと思っていましたが。
      声は昔のままでした。
      2012/07/26
    • hetarebooksさん
      本棚が溢れそうなので文庫化を待とうかとも思っているのですが待ちきれないかな。

      言葉遊びは脳の体操みたいなものなので、糸井さんも頭の中の...
      本棚が溢れそうなので文庫化を待とうかとも思っているのですが待ちきれないかな。

      言葉遊びは脳の体操みたいなものなので、糸井さんも頭の中の若さが見た目の若さにもつながっているのかもしれませんね。
      「通販生活」という雑誌の今はなき「不朽の駄作」とかいうコーナーが好きで、小学生のころ読みふけっていた覚えがあります。
      2012/07/30
  • 多くの人が、この本は素晴らしい!って褒めまくっていたから読んでみたいなと思いつつ、人気の本のため図書館の棚に置かれない日々

    やっと読めました

    数えてみたら、原田マハさん10冊目
    ここ、ブクログに登録していない本もあるのでそこはご了承ください

    ちょっと思っていた内容とは違ったけれどそれでもスピーチ、言葉の力って時に物凄く人を動かすことがあると改めて思わせてくれました

    言葉って本当に大切です

    今まで聞いてきたなかで、心に残ったスピーチってあっただろうか

    思い出せないということは、ないんだろうな
    そんなスピーチを、聞いてみたい

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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