地を這う祈り

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198630430

感想・レビュー・書評

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  • まざまざと見せつけるだけが、描きだし方ではないと思っている。

    けれど、誰かがそれを描かなければ、写さなければ、その事実は「なかったことになる」、そんな世界もある。
    この世界の片隅で起きていることを、わたしが知っていても良いじゃないか。

    私自身、全て伝えることが正義とは思いきれぬまま、伝える職業に就こうとしている。
    そこにある葛藤はなくならないと思っているし、むしろなくすことは心も亡くすことだと思う。

    そんな葛藤をやはり抱えた著者が、それでも描きだそうとしたことに私は圧倒された。



    この人の著作を一通り読んでみようと思いました。

  • 石井光太、四冊め。写真が多かっただけに、いままでで一番グロかった。
    自分もバックパック背負って、途上国にはいくつか行ったけど、真っ正面から立ち止まってみたことはないから、写真という静止画でまざまざと見せつけられると、やっぱり、たじろぐ。
    電車の中では読めない。。。

    前書きのアフガン難民の盲目少女の話と、長距離バスの後ろにつかまる少年たちの話と、あとがきのゆで卵の話が印象に残った。

  • この世界での現実を突きつけられて、正直受け入れ難かったしショックが大きかった。
    でも、本当に知らなければならないことを、この本を通して痛いほど感じた。
    日頃豊かな暮らしをしている上では想像もできない現状が世界にはあって、自分が今こうして何不自由なく生活していることが決して当たり前ではないということを忘れてはいけないと強く思う。

  • いいタイトルだ。

    ページをめくるたびにぎょっとした。
    普通は写さない、写しても大きなメディアでは報じないようなシーンがたくさんある。
    死んだ人、死にそうな人、汚いもの、美しくない障害、とりかえしのつかない怪我、薬物。

    たとえば負傷したストリートチルドレンの写真。
    上半身裸で頭に路上に横たわり、巻いた布は血にぬれている。
    上半身裸なのは舗道が硬くて冷たいから、着ていたシャツを脱いで敷いたんだろう。
    怪我をした頭が直接舗道にでているのは、血でシャツを汚さないためなんだろう。
    痛いとかそんなことよりも考えなきゃいけないことがある子供がいる。

    それは大人も同じことで、大事な家族が死んだって、すぐには悲しめない。
    その遺体を利用してでも稼がなくちゃいけない。
    ジロジロみられたくない外見を見せびらかしてでも生きていかなきゃいけない。


    これ写しちゃっていいのかなって思ってしまう。
    その後で、そう思ってしまう欺瞞に気づく。気づかされる。
    被写体のためじゃない。自分が見たくないだけだ。

    衝撃的といえば衝撃的な写真。しかし扇情的ではない。
    むしろとても静かだ。
    さあ見ろこんなに酷いことが!と騒ぎ立てるのではなく、ただこれが現実ですと拾い上げてみせる。

    写真を見て、撮るのもしんどそうだと思った。
    文章を読んで、この人は撮らないのも辛いのだと知った。
    私は見たくないものから目を逸らすことができてしまうから、否応なく気づかせるこの人がいてくれてよかった。

  • 2011.7.21読了

    石井光太はこれで2冊目。
    ものすごく怖いんだけど、気づくと写真をずーっと眺めている。

  • 世界の貧困層の写真が多数掲載されています。

    いろいろと考えさせられる。

    著者が書いているように、何かを考えるきっかけになればいいのだと思う。


    こういう世界もある、それを知ってどうするか?
    何ができるのか?
    他にも思うところはたくさんある。

  • 直視するのがつらい、現実の一面。

    社会の底辺で生きる人々のルポルタージュ。
    日本の生活からは程遠い、けれど地球のある場所では日常になっている、せかい。

    最初の「物乞い」の章が衝撃的で、怖くてページをめくることが出来なくなった。
    現実にはもっと悲惨な出来事もあるのだろう。
    けれど、本と写真が強制的に一番強いところを見せる方法は、現実にはない衝撃がある。
    実世界であれば、遠めに察知して、近づくにつれ心の準備が出来ていくこともある。
    だが、本は否応なく強い部分を濃縮して提示する。
    結局は、私のような心構えの出来ていない人間は目を背けてしまうこともあるのだ。

    事実の感情を、ありのまま撮ろうとした著者。
    その姿勢に私は感嘆する。
    必ず知っておきたい現実を、提供してくれたからだ。
    彼らと私の間にある違いは、生まれた環境のみだ。
    それが逆なら私も彼らのように暮らしたろうし、この年まで生きてもいないかもしれない。

    貧困の一面を見た。

  • なんとなく、嫌味な感じもしなくも無いが、世界の現実の一端を直視できる点において価値があると思いました。

    私の思う以上に貧さが引き起こす悲しい現実があると、知りました。写真に収められた現実は、かなりキツかったですが、まざまざと見せつけられた分、伝わってくるものがあり、読んで良かったです。
    私たちの住む東アジアが如何に恵まれているか、と考えさせられ、そんな場所に居る我々がこの現実を少しでも豊かに出来る力になれれば、と思います。

    2011年6月12日読了

  • アフガニスタンやインドや東アフリカなどのストリートや貧民窟で暮らす少年少女や障害者や物乞いなどのルポ。

    一日の稼ぎをよくするために病気や怪我を治療しないで物乞いをし続けるとか、写真がまた結構な衝撃で。

    made in JAPANと書かれたペン型の銃とか(もちろん日本製ではないけど)不発弾を集めて建てた家とか、なんとも言えん。

  • 朝から衝撃的でしたが一気に読了。どうしたら良いかわからないし、どうしようもないことなんだけど、世界には色んな側面があるのだと、知らないよりはマシだと思う。石井さんの姿勢が素晴らしいと思います。

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著者プロフィール

1977(昭和52)年、東京生れ。国内外の文化、歴史、医療などをテーマに取材、執筆活動を行っている。ノンフィクション作品に『物乞う仏陀』『神の棄てた裸体』『絶対貧困』『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『本当の貧困の話をしよう』『こどもホスピスの奇跡』など多数。また、小説や児童書も手掛けている。

「2022年 『ルポ 自助2020-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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