テロルのすべて

著者 :
  • 徳間書店
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (139ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198632120

感想・レビュー・書評

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  • 戦争には断固反対する。テロにも全く共感を持たない。けれど沸点にまで到達する怒りが自分にも飛び火しているのに気づき震えた。ここまで巨大な「敵」にではなくとも自分もやり場のない怒りに燃え尽きそうになった経験もある。(対抗する術も勇気も気概もなかったからそのままいつか消えてしまった程度の怒りではあったけど)
    テロに走る人間の思考過程の一部を垣間見た気がする。

  • 相変わらずこの作家の書く内容には共鳴しますね。ただ、400字詰めで200枚程度という短さは物足りない。凝縮はされているが、一口しか飲めないのは残念。この時期に刊行するという確信犯や、電子書籍の自炊を拒否する姿勢がナイス。

  • 文学

  • 結局誰が悪くて誰が正しいのとかないのかも。一般的に悪いと思われてても、別方向から判断すると悪くなかったり。

  • どうなるんだろう、どうするんだろう、とドキドキしながら読み進めました。疾走感。この言葉に尽きると思います。「ここまで意志を研ぎ澄ましてきたか?研ぎ澄ますことができるか?」という問いかけにして、挑戦状。

  • 主人公は裕福で頭が良く、少なくとも表面的には活発で明るい。ところが米国については世界の覇者気取りでいることが全く耐え難い。何とかしなくてはならないと考えた彼はマサチューセッツ工科大学に留学し、計画を実行すべくことを進める。彼は世界を変えることが出来るのだろうか。長編にしても面白くなりそうだが、著者はあえて短くしたのではないだろうか。走り抜けてしまったような感じがする佳作である。アメリカ人以外のまともな人達にとって、かの国についての感覚というものは(程度の差こそあれ)方向的には主人公と一緒であろう。其れをどうしたら良いのかは人夫々であろうが・・・

  • 民宿雪国が非常に興味深い作品だったので、作者読みをしてみようかと思い

    手元に買ったままにしていたテロルのすべてを読む事に。

    薄かったので、息抜きにぴったりかな?と思ってスマイル

    作品としてはアメリカに対する恨みを持つ主人公が、テロを起こすまで

    カウントダウンしながら進んで行く。主人公がたまたま同い年の設定。

    なので時代感覚は誰よりも共感しやすかった。

    でも何だろう。人間ってそんなに単純なのかな?憎しみを持続させる事すら

    心を守る為に思い出を美化する人間には難い。

    とても賢く、人を見下しているこの主人公の感覚は想像しか出来ないけれど

    こんなものかな?違和感が強い。そして短い。

    樋口さんはこんな作品を書きたかったのかな?湧き上がるような想いを

    ぶつけた様な文章には感じなかった。と言いつつ樋口作品読みますけどね。

  • ページェント【pageant】《もと、中世ヨーロッパで祝祭日に演じられた宗教劇の移動舞台》1 祝祭日に行われる大規模な仮装行列やショー。2 野外劇。
    マリファナ ハーバード大学 インド人 ガンジー ワンピース 長崎 原爆 自殺 この世に復讐 テキサスレンジャーズ 大塚 ヒスパニック スペイン語 ブッシュ オバマ
    gree(アグリー)・・・同意する
    ugly(アグリー)・・・醜い、不快
    スラムドッグミリオネア 目には目を グッドウィルハンティング ユナボマー シティオブゴッド グラントリノ ナイトシャラマン サイン トウモロコシ畑 太陽を盗んだ男 不幸なことに不幸がなかった 中国系アメリカ人ジェニファー 犬 保健所 10匹に1匹 加虐心を煽る 南京大虐殺 浜田省吾 Jboy 8/6 8/9

  • 樋口さんのだと他の本のほうが好き、なんだけど、86年生まれとして86年生まれが主人公であるところのこの惜しい感にはっとせざるを得ない(ひどい感想だな)

  • 正直あまりおもしろくない。オマージュだといっているけど、全体的に太陽を盗んだ男だし。途中でグラントリノだし。ちょっと浅い。

  • 主人公と同い年。つまり、同世代による「太陽を盗んだ男」。

  • 嫌米派なのでシンクロする部分が多く、主人公が核テロに至るまでは拍手喝采を送っていたのだが、いざ達成した後の後味の悪いこと。

    なんだか、言い訳がましい気持ちになりました。誰に言い訳するわけでもないのに。

    樋口さんはタブーに挑戦し、その結果、読者の感情を揺さぶるんですよね。無視できない作家ですし、読むのに勇気のいる作家でもあります。

  • テロルとはなんでしょうーか。私はこの本からは読み取れませんでした。
    しかし、「ひとが死ななければ、戦争は最高のページェントである」これはすごく的を得ているのではないだろうか。人は争わずしては生きていけない生き物だと思う。

  • 現在の文学界で最も刺激的な作家の最新作。過去最高とも言えるアナーキーな作品。反米国を胸にした主人公が、アメリカに原爆を落とすまでの物語。被爆国としての使命。9.11に同調する違和感。過激な小説と一括りにするのは簡単。何を感じるか?凄い!

  • この人の小説は読みやすい。しかしさらば雑司ヶ谷にくらべると青い

  • 図書館で借りたら、なんと"danger"の張り札が!
    テロリストの生い立ちから核テロをするまでの詳細な記録だから、そりゃそうかも、と納得もする。
    極めて優秀な主人公は、長崎被爆者の鎮魂のためにテロを決行する。
    ただし、声を大きくして言っておきたい。
    本書で書かれているのは、テロルの勧めではない。
    核を落とされた日本も中国や韓国では非道を働いた。
    中国や韓国も遠くない過去に他国で非道を働いている。
    日本に核を落としたアメリカにも善良な人は山ほどいる。
    被害者意識とらわれることなく、思考を止めることなく、前を向いて進め。
    これが本書の主題であると思う。

  • 自分がリアルタイムにニュースで見聞きした事件、出来事が物語にちらほら出て、現実感が増してどんどん話の中に入り込んでいく。

  •  タブーに挑戦し続ける樋口毅宏。
     前作『民宿雪国』は昭和暗黒史とバイオレンスのオンパレードだったが、本書は大国アメリカへの嫌悪・憎悪の行き着く先を大暴走的に描いた直球小説。いくらフィクションでも、こんなことを書いて許されるのかと思うほど衝撃的だった。
     テロリストに限らず凶悪犯は意外と冷静で裕福なエリートが多い、というモデルを忠実に描きながら、凶事をなし遂げた後、自己正当化と日常への回帰を恋しがる主人公の姿が普通の人すぎる。こっちの方がよっぽど怖かった。

  • 主人公を、著者の当初の思い通りに動かしている感じがする。

  • 主人公の中二っぽさにちょっと乗れなかったなぁ。

    でも、ヒロシマ観だったり、アメリカに対する見方だったり、同意できる部分とできない部分があって、そのことについて考えたり、議論したりしたくなる。

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著者プロフィール

東京都豊島区雑司ヶ谷生まれ。出版社に勤務したのち、2009年『さらば雑司ヶ谷』で小説家デビュー。11年『民宿雪国』が山本周五郎賞と山田風太郎賞の候補作となり話題に。著書に『日本のセックス』『テロルのすべて』『二十五の瞳』『タモリ論』『ドルフィン・ソングを救え!』などがある。

「2023年 『無法の世界 Dear Mom, Fuck You』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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