- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198633264
作品紹介・あらすじ
これから日本と世界はこう動く。世の中の動きを裏側から知れば、投資戦略が見えてくる。世界経済を予測するために重要な10のキーワード。
感想・レビュー・書評
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今回は内容的にかぶる部分もある2冊を連続で読んだわけです。
著者のかなり皮肉が入った言い回しは正直どうかと思いますが、 参考になる考え方も多くあります。
経済のグローバル化による今後起こりうる問題について 改めてヒントを幾つももらいました。 資源価格の高騰から来る中産階級の崩壊。
これがイメージつきましたので、今後の投資に活かせますね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
バブルをバブルで処理し続けてきたこの世界、あと何回この魔法が使えるんだろう。流石に金融機関CEOがろくに貢献もせず50億円ももらえる世界は異常。そろそろこの資本主義社会も終わりでしょうか。それともとんでもない奥の手が?また、中国の設備投資効率の悪さが日本の資本財セクターを支えているという認識を持つべきと目から鱗。面白い。
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本著作の視点だけに頼るのは危険だけど、自分自身の資産投資や経済の大局観を得るには良書。
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出された本は殆ど全て読んでいる著者の一人である増田氏が書かれた最新作です。昨年11月頃に出版された分厚めの本を読んでいたら、先週に本屋で見つけました。
ここ数年の彼の著作のスピードは凄いですね、必要となるデータ収集がインターネット(それも殆どが外国サイト)で直ぐにできるからと、かつて述べていたことを記憶しています。
この本では、ある程度の資産を保有している人を対象に、今後の経済変動に備えて何を中心に投資すべきかについて書かれてあります。
私の場合、資産はあまりないのですが、彼が述べている結論(日本円資産と金)は、私も参考にできます。恐らく20年後等を予測して円安になると言う人もいますが、私にとっては10年以内にどうなるかが重要で、彼の示唆している点が参考になります。
この本で気づきは、アメリカのGDP成長は、消費者物価指数を以前と同じ方法で計算すれば、実質はマイナス(日本と同じ)であるという指摘(p99)でした。
更に、今回の米国金融機関を救った費用の合計(14.4兆ドル)は、独立戦争以来の全戦争の経費、NASA等の全てのプロジェクトの合計である8.1兆ドルの2倍に近い(p228)という点でした。
以下は気になったポイントです。
・ユーロは解体されるが、弱い国を切り離していくよりも、ドイツが抜けていく可能性が高そうだ(p14)
・ユーロ諸国は、財政規律のしっかりしたドイツよりも、ルーズなイタリア、スペインが多数派の世界、ギリシアの債務不履行で空いた穴は、ECB(欧州中央銀行)等が経済力に応じて協力すべきという議論が優勢(p15)
・ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシア、スペイン全体の2012年償還が予定されている国債総額は、55兆円、これらの国債は今後いくら値下がり(金利上昇)するか不明(p17)
・ユーロは基軸通貨ではないので、アメリカと異なり、インフレにより合法的に踏み倒すことができない(p22)
・ユーロ経済大国の夢は破綻した、1970年以来のEU主要15か国のGDPシェアは、36@1970→26%@直近に落ちてきている(p24)
・金融危機は最近では4-5年に一度は発生している、メキシコ@1994、韓国・マレーシア@1997-98、ロシア@1999、アルゼンチン@2001、アイスランド@2008(p31)
・最近では救済する側と思われていた、フランス・ベルギー・オーストリアといった諸国の10年債金利が急騰している(p38)
・アメリカの巨大企業が市場シェアが大きすぎて解体・分割されるのは、1983年のAT&T以来、まったくなくなった(p48)
・アメリカでしわ寄せがきているのは、勤労所得、1960~80年代初めまでは60%近かったが、2009年では54%台に落ち込んでいる(p56)
・リーマンショックの不幸中の幸いは、先進国の現象にとどまっていたこと、5年以内(2017)にやってくるだろう金融危機は新興国、途上国、低開発国まで及ぶ(p61)
・2008年の金融危機に対する救済基金の合計は14.4兆ドル(1100兆円)のうち、12.19兆ドルはウォール街がもらっていて、一般国民は1.8兆ドルのみ(p63)
・2010年まではアメリカの失業者の4人に3人はなんらかの失業手当をもらっていたが、2011年には48%に落ち込んだ、これは1年のうちに起きた変化(p67)
・コーポレートカードを持ったアメリカの中小企業は、企業融資の金利では借金できないことが多い(p70)
・貿易黒字が伸びているアジア諸国のほとんどで、黒字が増えるほど対日貿易赤字が増える構造が確立している、日本からの資本財・中間財に依存しているから(p79)
・日本国債の利払い負担(残高)に対して約1%という水準は、アメリカやドイツの半分、イギリスの4割、フランスの3分の1、イタリア・スペインの約7分の1に過ぎない(p82)
・高齢者人口が多い国は、人生をフル稼働した人が多いということ、若年層が多い国は、人生途中で間引かれて天寿を全うできない国であり経済効率が悪い(p86)
・アメリカの実質成長率がプラスを維持できる鍵は、GDPと消費者物価指数の算出方法にある(p97)
・1982年以前と同じ算出方法でインフレ率を計算すると、1990年末からの実際のインフレ率は8-10%になると、米民間機関は試算している、これは物価が上昇していただけで、実質GDPはマイナス成長であったことになる(p98)
・借金と慢性インフレの組み合わせは、金融機関・政府・一流企業には一方的に有利な所得移転となる(p107)
・デフレは富裕税ではなく借金税、デフレ時には資産を現金とか金(ゴールド)に替えておけば、金持ちは優雅にデフレを乗り切れる(p108)
・今回の大震災に対して日銀が大胆な量的緩和に踏み切れたのは、最初の量的緩和が終了してからバランスシートを絞ってきたから(p114)
・日本国債市場規模は、約9兆ドルで、米国債市場と時価総額規模で同等、日本国債購入者は、日米国債合計で9兆ドル保有している(p117)
・2011年1-9月で、日本円は世界通貨(90)の中で、金の値上がり率が最少、つまり円は金に次いで価値保全力の高い通貨であった、その次が日本国債10年物である(p120)
・日本は、モノやサービスは徐々に増えているのに名目ベースではマイナスであった、購買力平価でさらに直近の米ドルベースで計算すると、日本国民一人あたりのGDPは、1980年以来一貫して上昇(p139)
・震災後には、消費財の分野では業績が伸び悩んでいるが、中間財・資本財・工作機械、建設機械については伸び続けている(p143)
・欧米諸国がバーレーン、イエメンに手を出さなかった理由は、1)石油が出ない、2)サウジ軍が政府側に立って介入していて、サウジに敵対できない(p158)
・エネルギー消費に占める石油のシェアは過去10年で急激に低下している、中国インドが石炭を使っているから(p174)
・アメリカの都市市民は、年間1人あたり、東京都民の4~8倍の輸送用エネルギーを使用している、欧州住民は2倍程度、この差は鉄道普及度による(p178)
・最近の中国の高度成長は、日本の1950-70年初とは正反対で、国民の生活水準を向上させるためにはほとんど役立っていない(p190)
・中国の上場企業の自己資本利益率は、2006-10年の5年間でマイナス5.6%、日本は8.6%である(p191)
・中国が貯蓄させた原資を使っているのは、1)更新する必要のない設備を廃棄して更新、2)ごくつぶし企業を抱え続けること(p196)
・中国が電力供給を縮小したにも拘らず工業生産が伸びたのは、多くの工場が石炭炊きのボイラーを主動力としたため(p204)
・万年割高と思ってきた日本の株式市場がいつの間にか世界で最も割安な市場となった(p218)
・アメリカの失業問題が日本よりもはるかに深刻な最大の理由は、アメリカ経済が増大する労働人口のために職場を確保できないこと(p246)
・2010年11月に連邦政府の役人の給与を凍結したが、それまでに多くのポスト(10倍以上の増員)を作った、連邦政府で15万ドル以上は高給取りになる(p269)
・100ドルでどれほど金が買えるかという視点で見ると、最近の金価格に大きな変化はない(p276)
2012年2月19日作成 -
増田 悦佐 (著)
真実を伝えないメディアに惑わされるな。世の中の動きを裏側から知れば、投資戦略が見えてくる。これから日本と世界はこう動く…。世界経済を予測するために重要な10のキーワードを紹介する。