マイナス金利「税」で凍りつく日本経済

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  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198641405

作品紹介・あらすじ

年初から世界の金融市場はフリーフォールに陥った。上海株の暴落は原油安に波及し、さらにドイツ銀行のCoCo債不安へと世界連鎖暴落が起きた。イエレンFRB議長による利上げがドルの乱気流となって世界を不安定化させたからだ。黒田日銀はマイナス金利まで導入して国債だけは守る体制に入った。米欧日が緩和マネーでごまかしてきた世界の化けの皮が?れて、これから異次元の恐慌に突入してゆく。現金すら信用できない世界で金が輝きを取り戻す。

感想・レビュー・書評

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  • 世の中、中国破綻について書かれた本が溢れています。確かに中国政府から出される各種統計には虚飾されている部分もあり、それが崩壊直前のソ連の状況に似ている点もありますが、果たして中国経済は危ないのでしょうか。

    私が個人的に得る中国に関する情報は、実際に中国に行かれた方や、中国人から得るものが多いのですが、そこから得られる中国の姿はとても活気が溢れています。但し、それらは直轄市(上海、天津、北京等)に限られるものですが。

    かつて見られた中国礼讃本が影を潜めている中、昔からお世話になっている、この本の著者の副島氏のみが、中国の力強さをこの本でも述べています。中国が久しぶりに覇権を取り戻す日が近づいているのでしょうか、大きな時代の流れにいる私ですが、今後も米中の動きには目を離すことができませんね。

    以下は気になったポイントです。

    ・日銀は当座預金を3種類に分けた、基礎残高(210兆円)は今まで通り0.1%、マクロ加算残高(40兆円)はゼロ、これから新たに積み増しする「政策金利残高」(10兆円は、2月16日から、マイナス0.1%を適用する(p22)

    ・GPIFは2014年10月に運用基準を変更、国債等の国内債券を60%から35%に下げ、株式投資(外国含む)を、24%から50%に引き上げた(p30)

    ・多くの国の政府系の資金までが、安全避難先として日本国債を買いに来ている、スイス中央銀行がスイスフランの「買い支え」を放棄(2015年1月)してから、スイスフランが急騰、そして、スイス国債の役割を日本国債が引き受けている(p40)

    ・アメリカや欧州に預けると、保管料(5%など=マイナス金利)を取られるので、日本国債が選ばれている(p42)

    ・アメリカが国家破産宣言を出すと、1ドルは20円に暴落するだろう、日本政府が買わされている累積1000兆円(10兆ドル)は、返還されないでチャラになるだろう(p46)

    ・欧州では、腐った仕組債(デリバティブ)を、銀行同士で山ほど持ち合いしている。ギリシア危機の再燃が起こりそうである。アメリカや日本よりも先に欧州の金融崩れが起きそうである(p52)

    ・2016年1月18-20日にかけて、イタリア3位の銀行(シエナ銀行)で、取り付け騒ぎが起きていた。日本では全く報道されていない(p56)

    ・プットオプションの売りとは、売る権利を売ること、投資家は、プットオプションの買い手がそれ(例:日経平均を売る権利)を行使した場合は、予め決めた権利行使価格で買う(買い戻す)義務を負っている(p76)

    ・いますぐ、金(ゴールド)を買うべき、4000円割れは無い、あと2年で金の個人売買に統制が始まる。100グラムののべ板、1オンスコインでも良い(p83)

    ・人民元の切り下げ(人民元安)は、中国の金需要を押し上げるとした、元安基調となれば、元建ての金は値上がりが期待できる(p90)

    ・産金会社の世界トップ10において、1位は、バリック・ゴールド(カナダ)で194トン、10位までにカナダの会社が4社ランクイン、日本は合計(三菱マテリアル、住友金属鉱山)で10トン(p93)

    ・戦後のブレトンウッズ体制は、巨額の政府負債負担を減らす意図があって設計されたと考えざるを得ない(p136)

    ・日銀の国債引き受けは、2016年4月で353兆円、年末には436兆円になっているだろう。2年後に600兆円になったら爆発するだろう(p144)

    ・中国の実体経済(実物経済)は全く衰えていない、中国のGDP成長率は6.5%の目標となったが、日本の真実のGDP成長率は、マイナス8%くらいだろう(p148)

    ・最大のリスクは、FRBの利下げ。これはドル高基調の大転換となり、日欧が通貨高圧力にさらされる(p153)

    ・政策金利残高の10兆円は、銀行が手持ちの国債を売却して日銀の当座預金に振り込むと、マイナス金利をとられるので手持ちの国債を売却しなくなるはず。(p184)

    ・マイナス金利導入により、スローガンは円安・株高にするためであった。しかし逆の、円高・株安となった。10年モノまでマイナス金利となった、世界中から日本国債を買いに来たから円高となった。(p197)

    ・インド洋、モーリシャスの離島、ロドリゲス島の海岸で、2年以上前に消息を絶った、マレーシア航空370便の残骸とみられる破片が新たに、4月3日までに見つかった(p223)

    ・中国が世界のお金を動かす権限を握りつつある、金は中国とロンドンの現物市場が決めることになりつつある。(p240)

    ・2016年10月から、SDR通貨構成に、人民元(10.92%)が加わる、これは円(8.33)、英ポンド(8.09)よりも大きく、第3位となる(p249)

    ・現在のドル中心の国際決済システムであるSWIFTに対抗して、中国は新たに人民元による国際間決済システム:CIPSを始動させた。この決済手段を使って外国送金すれば、アメリカと日本の通貨当局はそれを監視下に置くことができなくなる、これは重大な意味を持つ(p252)

    ・アメリカで「草の根」とは、リベラル派や貧しい人のことではない、アメリカの地元に住む、白人の保守的な農場主、中小企業経営者、商店主、自営業者のこと。(p266)

    ・ヒラリーは大統領になったら、民間軍事会社を使って、食を求める失業者・移民たちに鉄砲を持たせて、傭兵部隊を派遣するだろう(p278)

    2016年5月29日作成

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著者プロフィール

副島隆彦(そえじま たかひこ)
評論家。副島国家戦略研究所(SNSI)主宰。1953年、福岡県生まれ。早稲田大学法学部卒業。外資系銀行員、予備校講師、常葉学園大学教授等を歴任。主著『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』(講談社+α文庫)、『決定版 属国 日本論』(PHP研究所)ほか著書多数。

「2023年 『大恐慌と戦争に備えて 個人資産の半分を外国に逃がす準備を!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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