階段ランナー (文芸書)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198653354

作品紹介・あらすじ

挑んだ階段総数   
3500段超え       
ゴールは京都駅大階段!


一段上がるたびに、
違う景色が見えてくる!

青春真っただ中にいる人
そして青春を懐かしむ人にも
まだ先に進めると思わせてくれる。
(あおい書店富士店 鈴木裕里)
 

若きふたりの姿には、
まぶしいほどの希望とともに
未来は切り開けると
信じさせてくれる力がある。
(本の森セルバ ブランチ岡山店 横田かおり)

家族のトラブルで水泳部を退部した奥貫広夢。
卓球全日本選手権で突然、
体の異変に見舞われた三上瑠衣。
高校二年生の二人は
それぞれに悩みを抱えていた。
前向きになるきっかけを作ってくれたのは
階段との出会いだ。
「決意の階段」「勝負の階段」
「あきらめない階段」――。
社会科教師、高桑がブログで紹介する記事を
読むうちに、二人は階段に魅了されていく。
ある日、高桑から
「京都駅大階段駈け上り大会」
の存在を教えられる。
171段をチームでダッシュする
タイムアタック戦だ!

感想・レビュー・書評

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  • めずらしい競技に挑む、ちょっと変わった青春恋愛小説。ほのかな恋心の描写がとても爽やかでした。

    京都の話かと思ったら横浜から始まっていました。
    私も行ったことのある横浜、鎌倉、京都、東京の観光スポットが出てきて、懐かしく思い出しながら楽しみました。

    読後は、どこにでもある階段を上るときの気分が変わりそうです。

    主人公はけっこう重い事情を抱えているのですが、穏やかな性格のためか、読んでいて暗くはなりません。

    高校生3人の距離感もよくて。友人の山本くんも好きです。

    人の優しさに気付けるのは優しい子だから、と思ったけれど、周囲に気を遣われすぎて否応なしに身についたものかもしれないと思うとやるせない。
    一方で、どこまでも自分中心でいて、それが力になる人もいる。
    自分の良さに気付いてくれる人との出会いは大事ですね。

    京都駅の大階段といえば。うちの子どもたちは一目見るなり駆け上がってはしゃいでいました。グリコし放題です。
    巨大なイルミネーションも素敵でした。

  • 高校生が階段に出会い京都駅大階段駈け上り大会に出る話。高校生トリオが徐々に仲良くなるの可愛いしずっと3人の絡みが見てたくなる。そして階段大会ほんまにあるんね!京都駅の大階段よく行ってたのに全然知らんかった、大会見てみたい。爽やかな読了感ですごいよかった。

  • 悩みながら、大人たちに振り回されつつも、
    前向きに頑張る高校生二人の姿に胸打たれる。

    京都の実家で塾の後継者になった元教師から、
    京都駅の「大階段駆け上がり」のチームになることに。
    (実際にあるイベント)
    ネットで画像を見ると、すごい迫力で、イルミネーションも綺麗!

  • 「あなたにぜひ読んでほしい」と言われて貸していただいた作品。
    元水泳部で草食系男子高生・奥貫広夢と卓球の女子高生エースプレーヤー・三上瑠衣の、「階段」を取り巻く物語。

    テーマが「階段」っていうのが新鮮な目線で面白かったです。セリフが若者らしくフランクでさっぱりと読める。
    階段を駆け上がるというのが、すごく象徴性があるなぁと思った。しがらみを振り切って上昇する。息は切れるし、キツイけど、確かに高みには登っている。登り切った先に綺麗な景色が見えるかもしれないし、自分を待ってくれている人がいるかもしれない。

    また、広夢と母親の関係性からも個人的に思うことがたくさんあった。母親に全部付き合う必要はないし、離れてもつながることはできる。子には子の人生がある。

  • 広夢も瑠衣も自分だけでは抱えきれないような問題があったりして、それぞれ思い悩んでるんだけど、それでも一番最初に出てくる印象は爽やかさ。
    高校生だからかスポーツしているからか力強さに溢れていて、この子達なら大丈夫と思える。下る事もあるけど未来に駆け上がる力強さが眩しい。

  • 二人の高校生、広夢と瑠衣が交互に綴る形で展開する物語。広夢は母親の問題に巻き込まれ、かたや瑠衣は卓球の選手生命が危うくなり、互いに苦境に立たされているという共通点がある。本作の舞台である横浜、鎌倉などの風景描写が細かく、彼らのおかれた状況もリアルである。自分も神奈川出身で卓球経験があることから、ほとんどその場にいる気分だった。

    途中までは正直読むのが辛かった。広夢のおかれた状況は、おそらく当人でないと理解できないたぐいのものだ。周囲の人々が優しいからこそ、かえって悟られないようにしている姿が胸に迫ってくる。瑠衣と紅里先輩との関係はよく理解できた。レベルは全然違うが自分にもそういう存在がいて、後になって気づいたことがいくつかあった。瑠衣が卓球以外にも夢中になれることに出会ったのは幸運だったと思う。

    ラストはあれれ~と思ったが気持ちよかったな。

  • さわやかな高校生の恋愛未満の話かと思いきや…なかなか重たい話が挟まれていた。
    現実で母親があんなことになったらもっと深刻な状況になりそうだけれど。
    最後は爽やかな2人のやり取りで終わりよかった。
    家族に迷惑かけるようなことはしないように気をつけよう。

  • 階段を駆け上がるレースがあるのは知らなかった。
    考えただけで足がつりそうだ。
    高校教師を退職した塾の講師と教え子達がチームを組んで階段レースにトライする。
    高校生の広夢くんの状況は厳しい。そんなことを他人に悟られないように生きているように感じる。
    瑠衣さんも壁にぶち当たって壊れそう。
    ふたりとも自分の状況については詳しく語らない。
    強いなあ、若いのに、と思う。
    そんなモヤモヤを階段レースに出ることで打ち破り、新しいステージへ進もうとしているのかもしれない。
    レースの結果は語られていない。
    結果ではなく、レースに参加した事がふたりにとって大事だったんだ。
    爽やかな青春ストーリーだったかな。

  • よかったよぉ~ きっと二人ならこれからも挑んでいけるよ。 おじさんも応援するよ!
    こういう高校生活ってあるのかな? 羨ましい・・・。
    あるきっかけで「階段」に魅せられた仲間。 
    「JR京都駅ビル大階段駈け上がり大会」を目指す。 
    甘酸っぱい恋愛あり。家庭内のヘビーなトラブル。目指していた夢へのプレッシャーと挫折。 
    それを超克する姿。素晴らしいです。もう一度いいます、羨ましいです。
    元気をもらいました。 三上さんのツンデレも可愛い(笑)

  • なんとなく手にした一冊でしたが気持ちよく読めました。京都に、階段を駆け上がるというマニアックな大会があることは知りませんでした。その大会をひょんなことから目指す事になる2人の高校生が描かれる作品です。
    スポ根ものとはちょっと違う空気感がわたしにはなんとも心地よかったです。

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著者プロフィール

神奈川県出身。2005年『秋の大三角』で新潮エンターテインメント新人賞を受賞。『劇団6年2組』で第29回うつのみやこども賞受賞。作品に、『チームふたり』からはじまる「チーム」シリーズなど多数。

「2014年 『新装版 チームシリーズ 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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