- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198655983
作品紹介・あらすじ
古い坑道で働く謎の男たち、
魔法の白馬、
アザラシと泳いだ少年、
農場を守る「小さい人たち」……。
精霊や魔法の力が残るイギリスの西の果ての村をめぐる、心ひかれる珠玉の短編集。
ある夜、嵐で海岸に取りのこされた女の子は、今は使われていないはずの昔の坑道で、謎のふたり組の男たちに出会い……?
(「巨人のネックレス」)
妖精のおじいさんを助けたきょうだいは、お礼に魔法の白馬をあずかり、じぶんたちの農場を助けてもらい……?
(「西の果ての白馬」)
お父さんから農場を受けついだ若者は、昔から農場を
守りつづけてきた「小さい人たち」との秘密の約束を
やぶって……?
(「ネコにミルク」)
数々の賞を受賞したイギリスの児童文学作家、モーパーゴが贈ります。
順番にお話を読みすすめ、
最後まで読みおえたときに、心がじんわりと心があたたかくなる一冊。
感想・レビュー・書評
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イギリスの児童文学の巨匠マイケル・モーパーゴの短編集です。(「アーニャはきっとくる」好きです。)
童話集のようですが、ピリッと辛口の、人間の性や愚かさを鋭く描いた作品ばかりです。
訳者さんの力量もあるのでしょう、とにかく読ませます。自分だったらどうするだろう、この子はどうなっちゃうのかな‼️気になって最後まで読ますにいられません。子どもでも、大人でもページをめくる手が止まらなくなる作品だと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イギリスの妖精譚が好きな人にはハマると思う。
イギリスの海岸の小さな村を舞台にした短編集。
おもしろかった。 -
ノッカー、幽霊、魔法…イギリスらしい短編集をモーパーゴが書いていたとは!戦争や紛争をテーマにした作品が多いというイメージだったので、「この本におさめられた五つの話をすべて、順番どおりに読んでほしい。」という縛りも妙に気になり、手に取ってみた。
イギリス西の果てのゼナーを舞台にした短編、ヒリヒリや切なさや温かさが実に程よい。やっぱりモーパーゴだなと思えるのは、ファンタジーっぽく不思議な現象でも「納得…」と思わせるリアルな筆致。そして、ハッとなる最終話、からの訳者あとがき(これもじっくり読んで欲しい)。ここまで読み終えて、改めて「はじめに」を読み直し、「!!」となること必至。表紙と裏表紙もこれまたじっくり見直して、「何て周到な…」と心から思う。モーパーゴ作品はどれもハズレなしだけど、中でもこの作品はちょっと異色な感じで、すごく味わい深い一冊となりました。 -
イギリス、コーンウォール地方を舞台にした短編集。
休暇で海辺にやってきた少女チェリーは、ピンク色の貝殼を集めて長いネックレスを作っていた。長い長いネックレスをつくるため、夢中で貝がらを探していたチェリーは……(『巨人のネックレス』)
さすがのモーパーゴの語り。モーパーゴといえば戦争をテーマにした作品の印象が強かったので、こういう作品は珍しく感じた。とても面白い。
『巨人のネックレス』では、最後の最後にそういうことかとゾッとさせられた。優しいノッカーの出てくる2つのお話が好き。以前に読んだロシアの物語でも、自然の神様に日常的に捧げ物をするというエピソードが出てきていたが、厳しい自然の中で生きる人々はよりこういう存在を信じて大切にするんだろうな。
それぞれの作中に出てくる共通の場所に、おっ、と思わされる。そして、最後の短編で今までの短編がつながる、こういう仕掛けは大好物。終わり方も、あただかくて良かった。 -
幽霊や小さい人「ノッカー」、アザラシと泳いだ少年、動物の病気を治す「魔女」……。イギリスにある実在の村ゼナーを舞台にした、「不思議」の力を存分に楽しめる連作短編集。
足が不自由な少年が海で自由を得る「アザラシと泳いだ少年」がとりわけ好きだった。一人で海まで行くことができた喜びや、水の中で泳ぐ感覚、アザラシと紡いでいく絆、海へと誘ったサムとの不思議な対面…。すごく読み応えがあった。 -
イギリスのコーンウォール半島にあるゼナー村を舞台にした短編集。
文章から海辺、丘、農場のあるゼナーの情景がありありと浮かんだ。
妖精や魔法が出てくる不思議なお話。順番に読んでいくと最後のお話で繋がる仕掛け。どれも少し暗い話だけど最後のお話で穏やかな気持ちになった。 -
モーパーゴは多作で、(少なくとも翻訳された作品に関しては)ハズレはほとんどない。
今回も上手いなと感心した。
はじめに作家から順番通り読むよう指示があるため、何か壮大なトリックが隠されているのかと思うが、そこまでのことはなく、別に書かなくても良かったのでは…という気もするが(書かなくても大抵の人は順番通り読むだろうし)。
最初の「巨人のネックレス」がちょっと怖いので、こんな感じの物語が続くのかと思ったが、あたたかい物語も、ユーモラスな物語もあり、バランスが取れている。
小人の話はいかにもイギリスらしい。海の白い波が白馬の妖精、というのはナルニアにも出てきた気がする。
「ネコにミルク」が良かった。
すごく感動とかいう感じではないけれど、十分楽しめる短編集だった。イギリスの古い児童文学を読んだ人には懐かしい感じもするだろう。 -
4.5ねんから。語りは落ち着いているのにも関わらず、人物が生き生きと描かれていて、短編では勿体無くて、できれば一冊でしっかりと読みたかった。
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不思議と魔法がつまった短編集。最初から読み進める理由が納得の展開。高学年〜中学生におすすめしたい。