おちゃっぴい: 江戸前浮世気質 (徳間文庫 う 12-1)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198918804

感想・レビュー・書評

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  • 「おちゃっぴい」とは女の子のお喋りで活発な様子を指す言葉である。暇な状態を意味する「お茶を挽く」から転じたものだと言われる。らしい。

    〈町入能〉
    甚助店に住む大工の初五郎と浪人・花井久四郎との交流。

    〈おちゃっぴい〉
    札差の駿河屋の一人娘・お吉は、手代の総助との縁談を、嫌だと言って、家を飛び出した。

    〈れていても〉
    薬種問屋「丁字屋」の跡取り息子、菊次郎は、家業の借金の為に、意に沿わぬ醜女との縁談に、閉口していた。菊次郎には、密かに思いを寄せる女がいた。

    〈概ね、よい女房〉
    甚助店の浪人、花井久四郎は、仕官が叶って、裏店を出て行った。その後に来た店子は、浪人者の夫婦で、どうやら、わけありの様子。

    〈驚きの、また喜びの〉
    岡っ引きの伊勢蔵、45歳。少し短期で血の気は多いが、町内の人々からは、頼りにされていた。
    16歳になる、末娘の小夏にめっぽう甘い。
    そんな小夏の縁談は、大反対で、金輪際聞く耳を持たなかった。

    〈あんちゃん〉
    薬研堀の薬種問屋「丁字屋」の跡取り息子の菊次郎が、世帯を持った。
    いつも行く、人参湯の2階で、林家庵助と言う、咄家と知り合った。庵助は、何かと菊次郎の周りをうろちょろするようになった。

    大工の初五郎。薬種問屋の菊次郎。岡っ引きの伊勢蔵。
    憎めないキャラクターで、もっと続きを読んでみたい。

  • 江戸の粋が詰まった本だった。

    当時の人々の生活や思想が存分に溢れており、その中で涙あり、笑いありと思う存分に楽しませてもらった。
    個人的には驚きの、また喜びのが面白かった。全般的に恋愛、生活が主であったが、特にいつの時代も父親の気持ちは一緒なんだなぁと感じる短編だった。

  • 2022年4月16日
    宇江佐さん初期の作品。
    初期といえども、流石の筆致。人情味溢れて、職業の主旨も武家と町人の書き分けも見事で、そのやりとりが目の前で起きているように感じられる。

    十手持ちの伊勢蔵が小夏を嫁がせる話。
    龍の男っぷり、この話は後からも思い出し、余韻に浸ってしまった。
    良い婿だ!

  • 全ての作品が、非常に爽やかな時代小説です。
    悪意のない、明るい、そして軽い。従って大きな感動に結びつくような作品ではないのですが、かといって手を抜いてる感じは無くて、人物などもしっかり書き込まれています。
    今まで読んだ宇江佐さんの作品の内で、最も良い物だった様に思います。

  • 「町入能」甚助店の大工、初五郎は江戸城の富士見櫓に憧れを持つ。そんな時町入能で城内に入れる機会があり、想像程の別世界ではない事が分かる。

    「おちゃっぴい」札差の娘が縁談を嫌がり拗ねている所に偶然、北斎と娘、弟子と遭遇し気持ちが軽くなる

    「れていても」赤字の薬種問屋の息子が持参金持ちの不細工な娘としぶしぶ結婚する。

    他3編 宇江佐らしいたんたんとした日常を描写。仄かに人情が漂う。

  • さすがに旗本が(わき腹でも)裏長屋に住む話は、そりゃないだろうと思ったけど、人はよく書けている。生活感はあまりない。時代物について池波先生を越える作家は出ないだろうが、彼女は架空の人々に存在感を持たせるのはとってもうまい。わりと好きだ。

  • 短編。

  • お吉と惣助の話をもう少し読みたかった。あと菊次郎とおかねも。

  • 裏店長屋の住人や商家の人々を描いた江戸情緒溢れる短編集。江戸城の能上覧を見物に行く長屋の人々や縁談を勧められて逃げ回る娘など、ちょっと愉快に楽しく読めた。この頃の宇江佐作品は素直にすんなり読める感じかな(笑)

  • おきゃんと同義語であっている?

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著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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