月光 (徳間文庫 ほ 7-1)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198929497

感想・レビュー・書評

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  • 武士道シリーズに近いかと思ったが、ダークな方だった。
    事故で死んだ姉の真相を探ろうとする妹の結花。姉を慕うあまり、親の反対を押し切って姉の通った高校に入学し、部活まで同じにする行動に呆れてしまう。真相に近づけば近づくほど不都合な事情が出て来る。教師との不倫やそれをネタに同級生達に繰り返し強姦される。その中で、姉はなぜか平静を装おう。この状況も不可思議。
    解決も死が絡んだり、最後は良い方向へ持ってこようとしたのか中途半端な終わり方。なかなか読むのが進みにくい本だった。

  • 凄惨な事件の免疫が問われる。かと思いきや、事件の酷さとは場違いな描写。全体的に悪人に寄り添った雰囲気が違和感を醸すものの、完璧さを求めぬ漫画のようなエンタメ小説としては、エログロな要素ありでそれなりの刺激物だ。

    しかし、この小説を読んでいて、アベック殺人事件(検索注意)とか、コンクリ事件とかを思い出して、結局、被害者心理を確認すべく検索してしまったので、そっちで気持ち悪くなった。そう言えば、著者の誉田哲也は『ケモノの城』で北九州連続殺人事件も書いていたのだ。人間の狂気を描くのは、お家芸か。しかし、本作は前述の通り、犯罪者側を正当化するようなあり得ないバランスを取ったために、小説の構成としては頂けない。ただ、私は別に小説に道徳も論理性も求めないので、狂気や人間の矛盾における小説として評価したい。面白かった。

  • とても読みやすかった!優等生と先生の秘密の恋⭐︎いや不倫。それを見つけた男の子達による脅し、性加害。優等生が加害者の男の子を改心させるために(恐らく)巻き込み自殺。。優等生の妹はなぜ姉が死んだのか真相を探る。実際にもありそうと思ってしまった。。ドラマや小説の読みすぎか笑。納得できないのはいくら先生が大事だからといってなぜ男の子達の言うことを聞かなきゃいけないのか。。先生や親や周りの人に相談してよって読みながら思ってしまった。1人で戦うのが強さでは決してないと思う。自分が子育てしている親だからこそ思うのか。。追い詰められる前にすぐ相談して‼︎って読みながら何度も思った。

  • 凍てつくほど冷たく
    それでいて静かに流れている
    小波(さざなみ)のような美しい旋律…

    月光の曲は短調だが
    決して悲しみを意味しているわけではない…

    そこには闇の深さと 対をなす月の明るさ
    その澄んだ輝きを感じるような余韻を残す_



    月光の旋律と同じように
    物語も静かに始まり
    心をかき乱され…
    最後は波紋のように余韻が広がり
    やがて消えていくような物語だった_



    誰からも愛された 優しくて美しい姉…
    同級生のバイクによる不運な事故に遭遇し
    姉は亡くなってしまう

    不可解な姉の死の真相を探るため
    妹は姉と同じ高校に入り
    やがて覗いてならなかった姉の秘密を知ることとなる_



    月光の曲を聴きながら 物語に浸ってみた…

    哀しい結末を迎える物語だが
    最後は静かに和音を落とすような終わり方で
    赦しの光を感じられる言葉がとても印象的だった

  • R18完全無視して中学の時に読んだ。当時あまりにも衝撃的すぎて読了後の余韻からしばらく抜け出せなかったこと、その余韻を引きずったままベートーヴェンの月光を聴いたこと、全部覚えてるよ〜〜

    18歳を超えた今なんだかまた読みたくなって買った。ストーリーを既に知ってるからっていうのもあると思うけど、初めて読んだ時のあの衝撃はなかった。ただやっぱり胸糞が悪すぎる。私自身はこの作品の鑑賞側であって何もしていないのに読了後背徳感に苛まれるんだよね。涼子の白さを汚していく菅井と香山、涼子と白昼夢のような不倫関係に陥る羽山先生。月の柔らかくて青白い光とベートーヴェンの月光があまりにもぴったりすぎる重くて暗くて切ないストーリーに感情の行き場がない… 強さが徐々に徐々に壊されていった涼子自身が選んだ結末と羽田先生との最後の会話シーン、全てが苦しくて苦しくて、ね、。菅井が涼子を連れ出したあとのセブンアップを1口飲むシーンが好き。ひとには勧めたいと思わないけど、またいつか読んでしまう気がする。

    "白くて、綺麗だった私を、これからもずっと、忘れないでください。絶対に忘れないで……それで、ときどきでいいんで、思い出してください。白くて、綺麗だった私と、抱き合ったことを……ときどきでいいから、思い出してください"

    2019/12/06 読了

  • 星を4にしてしまったけれど、何ともやりきれない本だった。野々村涼子、強いのか、繊細なのか・・
    少年2人はそれなりの結末になったけれど、
    羽田先生はこれからどういうけじめをつけるんだろう?
    人として・・・。

  • 出てくる男が総じてクズ。読んでて胸くそ悪くなる話。ラストも、それがどうした的な終わり方。

  • かなり刺激的で、かなりテンポがいい。
    作者の設計にどんどんハマっていくかんじ。

    なんかすっきりしないラスト。
    きっと、読み終わると、どういうことだ、何が隠されていたんだろうって
    猛烈に頭が動くからだ。

    人は、受け入れ難い出来事に関して、真相が知りたくなる。
    知らなくていいことと言われるかも知れないが、
    どうしても確かめなくては前に進めない。

    誰にも言ってはいけない生前の姉の秘密を共有することで、
    妹は姉ともっと深いところでつながって、前を向いて生きていける。

  • 【終章 赦す光】のために描かれたそれまで。とにかく人間の奥深さ罪深さに涙が止まらなかった。

  • 2011/12 11/4-11/8

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著者プロフィール

誉田哲也
1969年東京都生まれ。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞、03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞。主なシリーズとして、『ジウⅠ・Ⅱ・Ⅲ』に始まり『国境事変』『ハング』『歌舞伎町セブン』『歌舞伎町ダムド』『ノワール 硝子の太陽』と続く〈ジウ〉サーガ、『ストロベリーナイト』から『ルージュ 硝子の太陽』まで続く〈姫川玲子〉シリーズ、『武士道シックスティーン』などの〈武士道〉シリーズ、『ドルチェ』など〈魚住久江〉シリーズ等があり、映像化作品も多い。

「2023年 『ジウX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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