短篇ベストコレクション 現代の小説2013 (徳間文庫)

  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198937058

作品紹介・あらすじ

いまを代表する十五名の作家が集結!2012年に文芸誌に掲載された全短篇から、名作中の名作を一冊に集めた傑作アンソロジーの登場です。愛あり笑いあり涙あり。驚きに満ちた先鋭的な作品から、人生の滋味溢れた円熟作まで、世代やジャンルを問わず、あなたを感動の世界に誘います。新たな作家や作品との出会いが、きっとあるはず。豊かで奥深い小説の森の散策をお楽しみください。

感想・レビュー・書評

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  • いろんなジャンルの短篇が詰まっていて、作家を知りたいな、とか、何読みたいかわかんないけど良い作品が読みたいな、と言う気分の時にはちょうど良い。また、ほかの年のも読もう、と思いました。

    特に、以下三つは面白かった。
    あんまり、SF映画っぽいものは読まないし、あえて手に取らないのだが、なるほど、こう言うタイミングで手に取れるものなんだな、ありがたい機会をいただいた。

    勝目梓 家族会議
    明るい家族。なんで素敵な家族!てなる。

    草上仁 予告殺人
    こういうSFっぽいやつあんま読んだことなくて、わー!なんかSFもの読んでる!みたいな気持ちで、楽しかった。

    三崎亜記 妻の一割
    語り口調がかなり良くて!ドキドキした。
    世にも奇妙な物語!

    そして、高村薫 の四人組、大いに学習する、は、なんか、新しかった!高村薫こんなんかくんや!という。いや、あんまり読んだことなかった(怖いミステリー、社会派サスペンスのイメージがあって、読むのに気合が入る気がして)から、発見でした。

    原田マハ 幸福駅 二月一日は、ありがち、だけど、うまいなー、って感じで、最後、なぜ!なぜ!か、涙出た。恥ずかしい。

    2016.12.25

  • 2012年に文芸誌に発表された短編の中からベストコレクションとして選抜された短編集。
    青春小説からSF、恋愛小説とジャンルは広く、既読の作品もいくつかあったが、こんな作風や作家がいるんだと純粋に目新しいものもあった。
    自分の知らない作家との出会いが楽しい一冊だ。

  • 日本文藝家協会『短篇ベストコレクション 現代の小説2013』徳間文庫。

    2012年に文芸誌に掲載された全短編から名作中の名作をセレクトしたアンソロジー。15名の作家による人生の機微を感じる15編の傑作短編を収録。

    読んでみると女性作家の短編が光っていたように思う。井上荒野、恩田陸、角田光代、原田マハ、村山由佳、森浩美の短編が特に良かった。

    井上荒野『時の過ぎゆくままに』。肝臓がんを患う妻を持つ尚人と、やはりがんを患う夫を持つ花穂の二人が偶然、病院で出会い、男女の関係になる。お互い近い将来、伴侶を失うことを覚悟しながら、時の流れに身を任せる姿に、哀しくも、言い知れぬ凄味を感じる。

    恩田陸『私と踊って』。短編という制約の中で描かれる見事な心象風景。壁の花だった私を外へと導いてくれた彼女。彼女が私を導いたのではなく、彼女は待っていたのだ。私以上に彼女が感じていた孤独感。それを振り払うかのように彼女は…

    角田光代『いつかの一歩』。昔、付き合っていた彼女が切り盛りする居酒屋に度々訪れるようになった宮本徹平。男性故の未練なのか。男性に比べ、女性の方が恋の数だけ成長するように思う。タイミングが合わなければ、次の一歩が踏み出せない男女の仲。

    勝目梓『家族会議』。父母と息子、娘の普通の家族の団欒に突如吹いた嵐をユーモラスに描く。嵐は吹けど、家族の関係は揺らぐものではない。正月に帰省したサラリーマンの息子は自分はゲイであることをカミングアウトする。性的マイノリティーなどと流行りの言葉を使って説明してもエビ網漁師の父親も、母親も到底納得出来る訳はない。さらには娘も嵐をもたらし…古い人間なのか自分もゲイという存在は理解出来ないし、受け入れられない。

    草野仁『予告殺人』。このアンソロジーの中では異質のSF短編。面白いとは思わない。どうしてこの短編がセレクトされたのかどんなに考えても解らない。

    小池真理子『岬へ』。ホラー仕立ての短編。岬の近くに佇む寂れたペンションを訪れた主人公の女性。女性はかつて結果的に男性を弄び、男性は岬で自殺した。抉られるかのように明かされていく女性の過去…そうだったのか。

    関口尚『晴天のきらきら星』。高校の吹奏楽部を舞台にした爽やかな青春小説。

    高村薫『四人組、大いに学習する』。高村薫の作品とは思えないユーモラスな短編。山間僻地の村で繰り広げられる郵便局長、元村長、元助役、キクエ小母さんの四人によるドタバタ劇。

    筒井康隆『横領』。久し振りに読む筒井康隆。筒井康隆にハマったのは30年以上前のこと。短い作品ながら斬れ味の鋭さは素晴らしい。高級レストランで部下と関連会社の秘書に見放され、窮地に陥っていく男。

    原田マハ『幸福駅 二月一日』。原田マハらしいというか彼女にしか書けないだろう胸に染みる物語。北海道の幸福駅を舞台にした母親と娘の哀しく、切ない物語。傑作だけに多くは語るまい。

    平山夢明『チョ松と散歩』。懐かしさを感じる奇妙な物語。小池真理子の『岬へ』とかぶった感はあるが、面白い作品である。

    三崎亜紀『妻の一割』。有り得ない物語なのだが寓話めいたものを感じる。一割を失った妻と暮らすことになった夫は…

    宮内悠介『百匹目の火神』。火を扱う猿。面白いテーマをよくぞ上手く膨らませたものだと関心する。人間対猿の攻防…それは人間たちの仲間内の攻防なのかも知れない。

    村山由佳『イエスタデイズ』。仕事も恋も上手くいかない寂しい女性がヘレン・メリルの『イエスタデイズ』をきっかけに掴む恋のチャンス。全く厭な感じのしない恋愛小説。

    森浩美『最後のお便り』。いいね。最後にジンと心に響く物語。涙腺が緩む…

  • 人気作家の短編集、結構楽しめた。
    私のお気に入りは、「晴天のきらきら星」「幸福駅二月一日」「チョ松と散歩」「妻の一割」辺り・・・
    こうした短編集を契機に、「この作家の著書を読んでみようかな?」と思う。読書の幅を広げる一助としていい企画と思った。

  • 高村薫と勝目梓が面白かった。
    自分が普段読まない作家を知れてよかった。

  • 2014/12/15 読了

  • 913.68

  • 最新短編集なんだが、イマイチ乗らない

     「時の過ぎゆくままに(井上荒野)」はガン患者を伴侶に持つもの同士のお話だが、ただ流れるだけである。

     きれいな文章の「私と踊って(恩田陸)」も平坦感しか残らない。感性が錆びてきたかなぁ。

     「いつかの一歩(角田光代)」はダメ男が昔の彼女に会う。乗らない。

     ゲイを告白する家族の物語「家族会議(勝目梓)」はほぼパス。

     SFチックな「予告殺人(草上仁)」はライト感覚。おもしろくは、ない。

     ホラーの「岬へ(小池真理子)」は臨場感あふれる描写に驚くも、ストーリーはわかりにくい。

     青春の恋物語「晴天のきらきら星(関口尚)」は予想通り好きでは無い。

     だれてきたので「四人組、大いに学習する(高村薫)」はパス。

     展開も意味もよくわかんない「横領(筒井康隆)」もおもしろくは、ない。

     短編集の読破を断念しようかと思って「幸福駅二月一日(原田マハ)」はパス。

     しかしながら、「チョ松と散歩(平山夢明)」はかなり楽しめた。予想を覆すオチもなかなかいい感じ。

     オープニングから引き込まれる「妻の一割(三崎亜記)」。なかなかにおもしろい。てんぽの速さが最高だ。

     猿を描く「百匹目の火神(宮内悠介)」はいい感じなんだが、少しばかり平坦。惜しいな。

     幼なじみとの再開「イエスタデイズ(村山由佳)」はいいテンポの話だけど私にはあわないかな。

     オーラス「最後のお便り(森浩美)」はとても良かった。お涙ちょうだいものだが、琴線に触れるラストが、とてもとても良かった。

  • いろんなテイストのお話が詰まってる本。

    『妻の1割』とか、てきぱきお話が進むの好きかも。

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著者プロフィール

日本文藝家協会(にほんぶんげいかきょうかい)
昭和21年(1946)、作家、劇作家、評論家、随筆家、翻訳家、詩人、歌人、俳人等、文芸を職業とするものの職能団体として誕生。大正15年(1926)に劇作家協会と小説家協会とが合併、設立された文藝家協会を前身とする。戦後、「社団法人 日本文藝家協会」として生まれ変わり、文芸家の権利を守るだけではなく、日本の文芸文化全般の隆盛を願って活動を続けている。


「2023年 『文学2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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