憑きびと: 「読楽」ホラー小説アンソロジー (徳間文庫 と 16-17)

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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198940706

作品紹介・あらすじ

長野のおじいちゃんがひとりの少年を連れて上京してきた。そこからはじまった不思議(「お正月奇談」朱川湊人)。窓から迷い込んできたのは、生首だった。私と兄と飛び回る生首。あったかな交友が始まるが……(「夜の来訪者」田辺青蛙)。――読んではいけない。でも読まずにはいられない。日常が歪む戦慄をあなたへ。稀代の7人の作家が紡ぎ出すホラー小説アンソロジー。怖いのが好きな人も、苦手な人もちょっとだけ。

感想・レビュー・書評

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  • あんまり期待していたのとは違ったかな。
    唯一、正月奇談がすごく良かった。怖いというよりも懐かしさを感じるような雰囲気がとても良い

  • 沼田まほかる「ひらひらくるくる」、不倫相手の妻に会う話。妻の無邪気な邪悪さが印象的。でも発達障害系でこういう人、いるよね。
    真藤順丈「クライクライ」、生まれながらにしてすべてが怖い少年の話。人の心の奥の恐怖の種をえぐりだしてみせる悪趣味さが実に著者らしい。
    平山夢明「D-0」、虐待されている少年がある組織に拾われる話。なんか、最後までイイ話なんでびっくり。
    田辺青蛙「夜の来訪者」、毎夜ひきこもりの兄妹の元に現れる首の話。ろくろ首の現代版。このアンソロジーで最もオーソドックスなホラーで、最も生理的嫌悪感をそそる。

  • 2018年、16冊目は、主に隙間読書用にしていたモノ。ホラー(❓)アンソロジー。七作家中、四人が単独作複数既読で、期待度高め。

    今回は一言コメントを添えて。

    川崎草志「いっしょだから」いわゆる「見える人」の話。霊的なモノではなく、予兆が。オチはモヤッと系。

    朱川湊人「お正月奇談」昔話的要素をバブル前の昭和へお引越しさせた一話。昭和の良き時代の空気感。ソレを取り払うと、ベタな伝奇もの系。

    真藤順丈「クライクライ」ある一家と、奇妙な関わり方をする、全てを怖れる少年の物語。冒頭からぶっ飛ばしてくれるは。 恐怖の伝染、そして、ラストは恐怖の本質へ至る。

    田辺青蛙「夜の来訪者」引きこもりの兄と、その世話をする妹の元へ、異形がやって来る。この七作の中では、比較的オーソドックスなホラー。個人的には、好きな感じ。それだけに、クライマックスにもう少し分量欲しかった。

    沼田まほかる「ひらひらくるくる」不倫カップルの女性と、その男の本妻とのイビツなやりとり。官能ホラーかと思いきや……。何だか言い様のない不穏な空気感。これは「まほかる節」ホラーなのか❓

    平山夢明「D-0」虐待を受ける少年の、数奇な成長譚。ノッケから平山流全開。社会の最下層、暴力、ハードボイルド・タッチ……etc。『ダイナー』好きには、オススメ。

    両角長彦「にんげんじゃないもん」母の依頼で三歳の女の子を預かった、交通事故で妻子を失い、失業中の男。そこから怒涛の展開。何だか中編の前半といった印象。主人公だけが、事故で生き残るって、この人も……じゃないの?

    正直、ホラーを期待すると少しはぐらかされます。広義に「怖れ」「不快感」を扱っていると捉えると、ややスッキリ。そう考えると、けっこう良質なアンソロジーと言える。

    自分の好みは、平山夢明がダントツ。朱川、真藤、田辺、両角が横一線で続く感じ。

  • 映画の原作、沼田まほかる氏の「ユリゴコロ」が気になったのだが、今の精神状態では読めなさそうなので、短編を借りてきた。
    「ホラー」という感じはどれも感じなかったが、気になった作家がいた。

  • ホラーアンソロジー。なのだけれど、「これってホラー?」と思ってしまう作品もあるかなあ。もちろんそれはそれで楽しめます。何に恐怖を覚えるかは人それぞれですしね。
    お気に入りは田辺青蛙「夜の来訪者」。愛すべき異形との生活を描いたほっこり系ホラー……だと思って読んでいたら。ま、まさかそんな展開になってしまうとは。
    沼田まほかる「ひらひらくるくる」はあまりホラーっぽくない印象ですが。それはそれで魅力的な作品でした。何とも奇妙な読み心地です。

  • ホラーが読みたくて本屋で表紙買いした本。
    沼田まほかる、平山夢明以外は初見。
    幽霊ものというよりは、人間の怖さ、不思議、妖怪などのまさに「憑かれる」短編集。
    特に真藤順丈「クライクライ」が好みだった。
    冒頭のインパクト、主人公の語り口。
    「恐怖」とは何か、そして恐怖が伝染すること、恐怖の克服という事への一つの答えだなあと。この作者の別作品を読んでみたい。
    沼田まほかる「ひらひらくるくる」の少しだけ、ズレた人達の感覚。この気持ち悪い感じは流石。
    平山夢明「D-0」ファンなんで贔屓目。こんなドロドロしているのに、カラッと明るいのはいつも不思議。シチュエーションが「ダイナー」だなと、少し。

  • 夢さん狙いで。ある名前が出てきたところで、アレ!?まさか?あらためてタイトルを見ると「D−0(ゼロ)」。そう。あの「ダイナー」の前日譚だったとは!テンション上がりまくったッス!嬉しい!他の作家さんは全員初読。真藤順丈の異質さ。えっ?主人公、妹だったの?な田辺青蛙。確かに長編で読みたくなる両角長彦が、新鮮でした。

  • 独楽2014年2,5,8月号と問題小説2011年5,6月号から7篇のホラー短編アンソロジー。朱川湊人さんの「お正月奇談」と両角長彦さんの「にんげんじゃないもん」がファンタジー的でとても面白かったです。残り5篇もなかなかのアイデアで、楽しめました。

  • 文芸誌『読楽』に掲載された作品からのセレクトアンソロジーの第3弾。今回はホラー小説アンソロジー。川崎草志、朱川湊人、真藤順丈、田辺青蛙、沼田まほかる、平山夢明、両角長彦の7名の作家によるホラー小説を収録。ホラーっぽくない作品が大半で、強いて言うなら不思議なテイストの小説のアンソロジーだろうか。

    川崎草志『いっしょだから』。デビュー作の『長い腕』と同じようなテイストの作品。もやもやするラスト…決定的な怖さは感じない。

    朱川湊人『お正月奇談』。ファンタジックな、温かみのある作品は相変わらずであり、安心して読める不思議なホラー。

    真藤順丈『クライクライ』。独特な雰囲気を持つホラー。まるで、世の中の全ての不安を凝縮したような嫌なテイストの作品。

    田辺青蛙『夜の来訪者』。初読み作家。ここまでの4作の中では一番ホラーらしい作品なのだが、キレが無く、作家の個性も感じられない。

    沼田まほかる『ひらひらくるくる』。会社の上司との不倫が上司の妻の既知となるが…来るべきものが来ないという逆のシチュエーションの怖さ。

    平山夢明『D-0』。得体の知れないアウトローと知り合った主人公の少年の物語。ピカレスクとも、サスペンスとも付かぬ『ダイナー』にも似たような奇妙な作品。

    両角長彦『にんげんじゃないもん』。どこか教訓めいたものも感じるSFチックな作品。

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