一橋桐子(76)の犯罪日記 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198947699

作品紹介・あらすじ

ベストセラー「三千円の使いかた」で
話題の著者が贈る「終活応援」小説!

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【著者からのコメント】
テレビや雑誌で、
凄惨な事件や驚愕の出来事などを
見るのが苦手です。
しばらく、そのことばかり考えて
何も手につかなくなったり、
眠れなくなったりします。
そんな時は事件の当事者の、
いったいどこに分岐点があったのか、
どこでどうすれば事件に
巻き込まれなかったのか
答えが出るまで考えてしまいます。
残念ながら、
答えが見つからないことも
しばしばです。
桐子さんは小さな幸せから
放り出されました。
彼女が事件に巻き込まれないように
一緒に
考えてはくださいませんでしょうか。
共に、はらはらしてくださったら幸いです。

【担当からのコメント】
私も桐子さんと同じ、
「人に迷惑をかけないで
生きていきたい」と思っていました。
でもこの本を読んで、
「迷惑をかけて生きていても
いいのかもしれない」
と考えが変わりました。
人に迷惑をかけてこそ、生きている証なのだと!
人とのつながりが疎遠になっている
今この時代
だからこそ、読んでもらいたい作品です!

=====
人に迷惑かけない老後を
送るためには、
どう生きればいい?

老親の面倒を見てきてた桐子は、
気づけばたったひとり、
76歳になっていた。

両親をおくり、
わずかな年金と清掃のパートで
細々と暮らしているが、貯金はない。
同居していた親友のトモは病気で
先に逝ってしまった。
唯一の家族であり親友だったのに……。
このままだと
孤独死して人に迷惑をかけてしまう。

絶望を抱えながら過ごしていたある日、
テレビで驚きの映像が目に入る。
収容された高齢受刑者が、
刑務所で介護されている姿を。

これだ! 光明を見出した桐子は、
「長く刑務所に入っていられる犯罪」
を模索し始める。

第一章 万引
第二章 偽札
第三章 闇金
第四章 詐欺
第五章 誘拐
最終章 殺人
解説  永江朗

感想・レビュー・書評

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  • すんごく自分の老後が心配になる お話
    (;´д`)

    あとは結局 普段からのちいさな繋がり等も凄い大事ですよね?
    という展開でしたね

    にしても世の中 生きづらすぎる
    異常気象の上に、電気代は高くなり
    物価も高くなっていく
    年寄りには厳しすぎます

    争ってる場合ではないですよね…

    自分の職場に3人ほど独身の男がいる
    50が1人…45くらいが1人
    そして31くらいが1人
    この3人は老後どうするんだろう…といつも思っている

    3人ともポッチャリ系で
    50や45の2人は家を買い、母親と2人でくらしていて…いい大人だが
    ゲームかプラモ作る事しかしてない

    31の奴は1番心配…
    会社は40~50がメインで30代は彼だけ…
    昔俺に【お前だけ若いんだから他の仕事探すか、今の職種だったら独立するくらいの覚悟持った方が良い…俺らと同じ職人作業してても…お前がオジサンの時は他の社員は爺だぞ?!】と伝えてあるが…
    ずっとそのまま勤務…
    そして貯金もなく
    食べたいの食べて太り、ゲームでも課金しまくり現在数百万使い、暇潰しはスロット…そして女も買う…

    そして見た目は おブス…で性格は現代っ子…
    基本自分は成功者と勘違いしていて
    節約してる既婚者など見てると「何か大変ですね!?」と上から目線な子

    俺は彼を【見た目を捨てたナルシスト】と通り名をつけている

    既婚者の努力してたり苦労したりしてる姿見ても
    「惨め、失敗してる…でも俺は成功者…」と勘違いしている

    個人的に
    ※【よっぽどの理由で結婚出来なかったり…
    色んな理由で子供に恵まれなかったりするのは除いて】

    ~結婚しないで、勝ち誇ってるのはゲームで言えば、
    設定をveryeasyにして
    都合の悪い時は課金している
    のと同じだと思う…
    そして気づいたらオジサンになり「なにか大人っぽい事しなきゃ」と思い
    とりあえず家を買う…

    まぁ…食費、光熱費等、自分しか費用かからないから簡単で当たり前だし…なんならその状態でその31の おブスは貯金がない…

    終わってるなぁ…自分の老後も不安だが…見ててゾワゾワする

    ※だから結局話が変わるけど…俺が何を言いたいかって言うと…
    【実際にトトロいたら、獣臭すごそうだよね?!】って事!!

  • 「三千円の使い方」もそうだったが、お金が絡む話しは現実すぎて読むのが辛くなる。
    76才、結婚歴無しの桐子さんが親友と同居したのに先立たれ、一気に将来の生活不安から刑務所に入る事を考えてしまう。万引きで店の人に捕まったり、偽札でバイトに諭されたり、色々な犯罪が出てくる。クスッと笑える場面もあるが、全体的には切実な状態。住むところに困ったり、なけなしの金を盗まれたり、悲劇的な状況。ただ、そういったピンチに現れる人達が善人なので救われる。
    最後も、そういう人たちの援助で何とかなったので安心した。
    帯の説明で見ると、TVドラマで放送されたようですが、桐子さんが松坂慶子とは。イメージ的には食事にも困窮してガリガリの体型・・?

  • 短期入院中の読書、その3。
    何かでこの本のことを見て面白そうと買ってきたら、嫁さんがこのお話のドラマを観ていた。
    松坂慶子がこんな歳の役になるなんてなぁ、「愛の水中花」の頃(1979年)には想像できなかったよね。

    一緒に暮らしていた親友がなくなり、天涯孤独の身になった一橋桐子(76歳)。
    仕事も住むところも不安定な上に頼れる人もなく、テレビで見た高齢受刑者の姿に光明を見出だし、長く刑務所に入っていられる犯罪を模索し始める、といったお話。
    ユーモアも交えながら進む話だけれども、私の歳でこんな話を読むと、面白い前に、なんか身につまされて切ないな。
    ま、捨てる神あれば拾う神あり、ということで、真面目に生きていれば、自助(個人)や共助(年金・保険)に不安があっても、互助(近隣)や公助(行政)に頼れるというように思っておこう。

    『あとは大人に任せて。あなたはこれまでのように、一橋さんと仲良くしてくれれば十分よ』という門野の言葉には雪菜と同じように泣けた。

  • 単身の高齢者が主人公の小説は、随分前に読んだ柚木麻子さんの『マジカルグランマ』以来かもしれない。お金にまつわる小説を多く執筆してきた原田ひ香さんならではの高齢者の現実味に溢れたお財布事情とともに話は進んでいく。結局は皆、本人の心の持ちようでいくらでも状況は好転できるのだと感じた。主人公の桐子は側から見れば、可哀想とか大変だなという境遇にあるのかもしれないが、先への不安は感じながらも意外と淡々と周りの人と付き合う能力に長けていると思った。また真面目に目の前の仕事をこなしている姿にもとても好感を持った。年齢や職業、立場を問わず、平等に接することのできる桐子にはそれなりの状況が結果としてついてきている気がした。大切なことを改めて教えられた小説。

  • 老後の不安を解消するために刑務所に入ることを選んだ、76歳、一人暮らし、パート勤務の桐子さんの日常の話。

    所々、笑いも散りばめられていて、とても読みやすかったです。
    でも、老後の問題でいずれは自分も通る道。他人事ではないな、と思いました。
    では、どうすれば不安は解消されるのか?
    正直なところ分かりません。
    今、出来ることを精一杯やって、将来、明るい方へ進めると良いな~と思いました。
    コミカルで楽しく読めたけれど、色々と考えさせられました。

  • ページが進む毎に、自分の将来も重ね合わせて想像し不安になった。語り口はソフトだし、登場人物もいい人が多いのに、どんなホラーな本より現実的に起こりそうで、本当に怖かった。
    これから高齢者の社会はどうなっていくのだろう。

    それでもやっぱりお金より人との繋がりなのね...といつもの結論...。

  • 親も夫も子供もいない桐子さん(76)。
    夫をなくした女友達トモと一軒家で楽しく暮らしていたが、トモが亡くなってひとりぼっちに。
    老後のあれやこれやを心配し、犯罪を犯して刑務所に入ろうと画策する。

    突拍子もない考えの桐子さんだけど、読めば読むほど自分の老後が不安になり、桐子さんの行動が分かるような気がしてしまうおそろしさ!

    年を重ねると勤め先もなくなり、貯金は減るばかり。
    頼れる家族や友人がいなくなり、家を借りるための保証人を頼める人がいない。物価はどんどん上がるばかり。
    どこに住んで、何を食べて生きていく?
    長生きって怖いな。

    とはいえこの本はコミカルで救いがあり、想像以上に面白かった。

  • 孤独な高齢女性が、他人に迷惑をかけない終末を迎えたいと願うあまり、、、
    受刑者になれば住まいや食事に困らない、介護もして貰えると言う事で、刑務所に長く居られる犯罪を模索する。コミカルながら老後を考えさせられしんみりした。

  • 原田ひ香さんの本は「三千円の使い方」しか読んだことがなかったので、ドラマ化もされていたなーと興味を持ち、本作を読破。
    面白かったが、説教臭く感じてしまったのは私だけかな。テーマがそうさせているのか、何となく物語全体が暗い印象だった。

  •  一橋桐子は唯一無二の親友を亡くし、自分の人生の幕引きについて考えていた。収入は清掃のパート代しかない、頼れる親族もいない。そんな状態で倒れたり、介護が必要になったりしたら?桐子が行き着いたのは、「犯罪を犯して刑務所に入る」ことだった。そんな桐子の一風変わった終活の物語。

     NHKでドラマ化されていたのをみて、手に取ってみました。「犯罪日記」という物々しい言葉に少し身構えてしまいましたが、クスッと笑えて、時々ホロッとさせられる内容に、終始、楽しく読む事ができました。特に、基本的に良い人な桐子さんが、どうにか犯罪者になろうと奮闘する姿は、微笑ましく感じました。
     一方で、「そんなにスムーズに進むかな」と感じる展開もありました。ただ、桐子さんの人柄を考えると、作中の「人の死は人生の答え合わせ」という言葉を体現しているのかもしれません。作中では、いくつかの「答え合わせ」が描かれていますが、それらを見ていると、穏やかな最期を迎えるためにも、日々の行いに気をつけよう、という気持ちになりました。

     この作品の主人公は、76歳のお婆さんです。しかし、今まさに主人公と同年代の人より、若い人たちに読んでもらって、自分の将来を考えるキッカケにしてほしいと思います。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2005年『リトルプリンセス2号』で、第34回「NHK創作ラジオドラマ大賞」を受賞。07年『はじまらないティータイム』で、第31回「すばる文学賞」受賞。他の著書に、『母親ウエスタン』『復讐屋成海慶介の事件簿』『ラジオ・ガガガ』『幸福レシピ』『一橋桐子(76)の犯罪日記』『ランチ酒』「三人屋」シリーズ等がある。

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