歯科医の憂鬱 (キャラ文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784199003608

感想・レビュー・書評

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  • ●あらすじ●</br></br>
    マスクの下の怜悧な美貌に、キツい口調。大の歯医者嫌いの新城穂高(しんじょうほだか)は、担当医師の三和(みわ)が怖かった。でも、白衣を脱いだ三和は、穂高の知らない別人に! 笑顔を絶やさず、何をされても怒らないなんて、二重人格ってやつ!? 医院の内と外で激変する性格の、どっちが本当の顔なのか。次第に三和から目が離せなくなる穂高だけど!? アダルト・スイートLOVE</br></br>
    ●感想●</br></br>
    ☆歯科医の憂鬱</br></br>
    歯科医×ヤンキー上がりの鈑金工という異色の組み合わせ。しかも歯科医の三和が二重人格で普段はヘタレ気味・・・ヘタレ受って初かも。穂高はどことなく<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/redirect?path=ASIN/4576032003&link_code=as2&camp=247&tag=makishome09-22&creative=1211">許可証をください!</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=makishome09-22&l=as2&o=9&a=4576032003" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />の前原を彷彿させました。最近スーツ姿のお仕事の方のお話ばかりだったのですが、こういった職人気質の作業服(ツナギなら、なおGOOD!)の似合う男も実は大好き。
    <blockquote>
    なぜこの男が穂高の予約時間を知っているのか---考えられる答えはひとつしかない。</br>
    まさか。</br>
    いやでも。だって、それしか。</br>
    穂高は瞬きも忘れて一礼するユキオを凝視する。小走りに去ろうとした背中に向かって、思いきって呼びかける。</br>
    「---あの。三和先生」</br>
    「はい?」</br>
    すぐに振り向いて、にっこり笑う。</br>
    やっぱりか。</br>
    そうなのか。</br>
    白衣を着せて、眼鏡をかけさせて、マスクを足して、手袋装着、武器、じゃなくて治療道具を持たせて・・・・・・なんてことだろう、確かに身体のシルエットは一致する。
    それにしたって、まるで別人ではないか。</br>
    運転すると性格が変わるという話はよく聞くが、三和は白衣を着ると性格が変わるタイプなのか?もしかして、誰かが悪戯して、中身だけ入れ替えたりしていないか?あるいはあれか、突然違う人間になってしまうとかいう、人格乖離?ビリー・ミリガン?
    </blockquote>
    仕事中の三和はホントにイイ男なんだけど、私生活は別人。穏やかでニコニコ愛想笑いで何をされても怒らない。車をぶつけられても、泥水かけられても、ランチの皿に携帯落とされても怒らない。私もここまで寛大ではないけれど似たような所があるんですよねぇ、いいですよ〜って偽善者になっちゃうんですよね、波風立てたくなくて。怒るのは疲れる---すごくわかります。極力、怒らずにすむ方法を考えますもん。自分が我慢すれば丸く収まるなら、まぁいいかと。怒るときには冷たくなるから余計に怖いらしいです。</br>
    穂高は短期で喧嘩っ早くて口が悪いけど、真っ直ぐで裏表のない人。三和は仕事中の厳しい自分が患者さんに嫌われてるんじゃないかと思っているが、穂高は仕事中の三和の方が好きだと言い、普段のイヤと言えないイイ人の三和の性格を変えるべきだと諭す。もっと怒るところはちゃんと怒れ!と。愛想笑いは愛人だった母が後妻として入った家で自分を抑えながら過ごしてきた三和の処世術で、身体に染みついたものというのが哀しいなぁ。穂高と一緒にいることで、三和の感情も表に出やすくなるといいのにな---と思いましたね。</br>
    </br>
    ☆歯科医の秘密</br></br>
    「歯科医の憂鬱」で一応、恋人同士になった二人のその後のお話です。
    <blockquote>
    意地悪だ。年下のくせに、ベットでは意地悪な恋人。</br>
    恋人---この男が、自分の恋人。</br>
    ああ、やっぱり信じられない。</br>
    僕は小さく身悶えながら、もう一度「穂高」と呼んだ。</br>
    穂高は背が高い。体格もいい。顔立ちだってなかなかの男前だ。顧客からは信頼され、後輩からは慕われ、いささか喧嘩っ早いところはあるが、根はとても優しくて・・・・・・誠実だ。</br>
    こんなにいい男が、僕のことを好きだという。こうして抱いてくれる。</br>
    毎晩、寝る前に思う。</br>
    明日も穂高が僕のことを好きでいてくれますようにと。朝起きてまず思う。今日も穂高は僕のことを好きでいてくれるだろうかと。</br>
    「あんたのここ、泣いてるみてぇ。・・・・・・可愛い」</br>
    嘘だ。可愛くなんかない。だけど嘘でも嬉しい。僕は年上だし、特別小柄でもないし、筋肉だってそれなりについている。もともとヘテロセクシャルの穂高が見て、可愛いと思うような身体でないはずなのは、客観的に考えればわかる。</br>
    幸福と不安は表裏一体だ。自分にはすぎるほどの幸せを手に入れた途端、それをなくす瞬間はいつ来るのだろうかと恐ろしくなる。
    </blockquote>
    穂高は・・・・・・直らないでしょうねぇ、短気って直らないですよ絶対。彼はまだ若いし、年下だしね。そのあたり、三和も寛容にしてるみたいなんだけど逆にそれが面白くないみたいな所もあって。三和の寛容さって後ろめたさとかネガティブな感情が渦巻いてて卑屈になってるし。</br>
    お互いの誕生日が近いので二人でささやかなパーティーを・・・というところですれ違いが生じる。穂高が欲しがっていた高価な時計をプレゼントした三和。父親の亡き後の町工の鈑金屋を背負う穂高のプライドがそれを素直に受け取れない。どちらの気持ちもわかるんで複雑ですね、どっちが悪いって問題じゃないし。
    でも、その後の三和の凹み具合が何ともヘタレで可愛いなぁ〜。年上なのに、アッチの経験だって自分の方が多いはずなのに翻弄されてるのが、なんだか不甲斐なく思っちゃってるし可笑しい。</br>
    穂高も色々葛藤してるようで、子供っぽい自分もわかっているんだけど昔の男の出現もあって三和に対して自信がないみたい。三和の態度も誤解を招いてたんだけど。穂高も仕事でも、三和に対しても虚勢を張ってるところがあるのかなと。お互い甘えられたらいい感じになれるんじゃないかな〜と思うんだけど・・・・・・。

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著者プロフィール

東京都出身。2000年、「魚住くん」シリーズ第1作となる『夏の塩』でデビュー。以降、多彩なテイストの魅力的なボーイズラブ作品を世に送り出している。代表作としては「交渉人」「漫画家」「Nez〔ネ〕」各シリーズなど多数。榎田ユウリ名義でも「宮廷神官物語」「カブキブ!」「妖き庵夜話」「死神」各シリーズなどを発表し、読者から熱い支持を得ている。

「2022年 『threesome』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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