女で一つで自分を育ててくれた母親が再婚し、再婚相手とともに渡英することになった椎名。
せっかく頑張って受かった高校を今更転校したくないと、母方の祖母が持っているアパートに管理人の仕事を手伝う事を条件に一人暮らしをすることになった。
ところが、引っ越し当日に電車の中で痴漢と間違えて声をかけた男がまさかの隣人で、おまけに椎名の通う高校の担任教師だった――
まさかの事態に椎名は戸惑うけれど、担任教師・若生は学校では生徒も信頼も厚く、冗談も通じる人気者の先生なのに、毎晩椎名の部屋に入り浸っては、椎名に手料理を強要してくる。
初対面の印象が最悪だっただけに、最初は迷惑に感じていた椎名だったけれど、次第に若生が来るのを楽しみにしている自分を見つける。
そんな時、大学生くらいの女の人が泣きながら若生の家に入って行くのを目撃してしまった椎名。
おまけに彼女は「どうしても子どもを産みたい」と言っていて—―
という話でした。
まだ高校生で恋愛慣れしてない椎名が、若生の言動に振り回されて……というのがメインの話。
結局、椎名が聞いたセリフは椎名の勘違いで丸くおさまるんですが、若生も若生で、先生という立場上「生徒のプライバシーは話さない」という信念を持っているから、ますますこじてた感もあり……。
まあ、結局のところ大人の若生の勝ちだったんだろうな……って思うんですが。
初めての恋――しかも同性相手という状況に振り回される、まだ若い椎名のおろおろっぷりを楽しむのがメインの小説なので、若生がどれだけずるいか、とかそういうことは黙っておく事にします。
若さ溢れる恋の話が読みたい人にはオススメします。