- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784199009679
作品紹介・あらすじ
「ありがとう」も上手く言えない俺のお手本は、
もう一人の俺!?
待望のキャラ文庫初登場!!
専門知識はあるけれど、
口下手で愛想笑いも作れない――
SEから営業に異動し、部内で浮いている彰人。
今日も些細な口論から、
密かに憧れる同僚・大狼を怒らせてしまった…。
落ち込むある日、偶然訪れた神社の階段で、
足を踏み外して転落!!
目覚めた彰人を待っていたのは、
気さくに声をかける同僚や、
熱っぽい視線を向けてくる大狼――
昨日までとは一転、彰人にとって居心地のいい世界で!?
感想・レビュー・書評
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仕事にも人間関係にも悩む不器用な彰人が迷い込んだ今までと少しだけ違う世界。同じ人なのに少しずつ違う。そんな不思議さに引き込まれた。どっちの世界にいるのが彰人にとって幸せなのか分からないくらいどちらの世界にもいいところがあって、どうなるのか気になってしかたがなかった。不器用で優しさの分かりにくい大狼と、甘々な大狼。どちらも彰人への気持ちが伝わってきて楽しかった。不器用で意地っ張りな彰人はこれからも壁にぶつかることがありそうだけど、大狼と一緒なら大丈夫かな。と思えて、嬉しくなった。
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SFテイストのおはなし。続きどうなる?!と、普通にドキドキしながら一気に読んでしまいました。
神社のシーンすごくよかった…。 -
ちゃんと好きになる理由がわかるとこが良かったな。
リーマンもの
技術から営業に異動になった彰人。違う畑で周りに迷惑をかけたくないばかりに頑なになり、あまり営業のメンツとはうまくいっていなかった。
特に大狼とは初期に尻拭いをさせてしまってから、ギクシャクしていた。
ある日彰人は並行世界へトリップ。そこでは彰人は大狼とも営業部の面々ともうまくやっており、素直にお礼や感謝を伝えられる人間だったらしい。大狼もやたらと彰人を甘やかし、仕事も上手くいっていたが、彰人はそんな環境に疑問を持ち始める。居心地はいいが、それは自らが手にした環境ではないし、大狼に甘やかされるのも何か違う。対等な立場でいたいと思ったとき、彰人は自分が大狼のどこがどうして好きなのかに気づいて、現実世界へ戻りたいと願い…
お話的にはもうひとつグッとくるものが足りなかったけど、丁寧に心情が伝わってくるように書かれていて良かったと思う
現実の大狼と並行世界の大狼。どうして現実の大狼を選ぶのか、自分はどうしたいのか。そんな所が良かった -
久々に海野センセの作品読みました。的確で精緻な描写スタイルにますます磨きがかかっていて、読み応えがありました。
システム開発会社の営業部を舞台にしたリーマンもの。
それだけではなく、パラレルワールドに主人公が飛ばされるというファンタジックな展開もあり、え、どうなるの⁉とドキドキさせられまくり。
とにかくお仕事ものだけあって、SEから営業に異動して営業部内で浮きまくっている彰人の様子がものすごくリアルに描かれていて、これがなかなか読んでいて辛かったです。
一生懸命仕事しようとあれこれ一人で抱え込んで、周囲に煙たがられ、ひそかに憧れる同僚の大狼にも意識しすぎで酷い態度でぎくしゃくしてしまっていて、もう最悪状態。
頑張れば頑張るほど空回り…という彰人は、大狼からの親身になった忠告すら耳に入らないのです。
そんな彰人がうっかりパラレルワールドに転がり落ちて、そこでは現実世界では自分を冷たくあしらってきた大狼がなぜか全力で甘やかしてくるように…
突然理想そのものの自分になっていて、周囲も一転して好意的。そっちの方が断然居心地がいいし、ストレスゼロに決まってる。
それでも、元の世界を選択した彰人は本当に真面目な性格なんだな~と思いました。そして、反省して自身の悪いところは治そうと、とてもポジティブに努力していてすごいです。自分を客観的に観察することができたからなんでしょうね。
大狼の、そのぶっきらぼうでキツい態度の裏に優しさや心遣いがあったことに気づくことができたのも、彰人の人間的成長があったからこそですよね。
私的にはどっちの世界の大狼もステキだと思いました。というか、愛情表現の仕方に違いはあるけれども根本的には同一人物だと断言できる感じなんですよ…
このあたりの描き方が、本当に上手いですよね。
エロもしっかりあったけど、どちらかというとそこに行きつくまでの過程に大変萌えたりしました。
そして、高久尚子センセのイラストがとても良かったです! -
平行世界に転移してしまった受が、望みの自分に成り代わり、意識していた攻とは少し違う攻´(攻ダッシュ)との関係性に思い悩むお話。
ちょっと難しいかな。攻と攻´の違いがあまりないし、攻に心寄せるエピソードが、最初から最後まで仕事しかないのが堅苦しいというか、専門的な仕事でもあるので感情移入し辛いというか。
受がずっと仕事の悩みを抱えていて、タイトルから想像するよりずっとローテンションで、萌えという感じではなかったです。
でも仕事の描写は丁寧で、さすが海野さんて感じなので、リアルな仕事ものに、平行世界設定が気にならなければいいんじゃないかと思います。 -
すごくよかった‼️海野先生の作品はほぼ間違いない!って思ってる私だけど、一際良かったです。技術部から営業に、不本意に異動するはめになった主人公は、真面目で頑固ゆえ周囲から浮いてしまっている。ある日、とょっとしたハプニングで並行世界にトリップしてしまい、そこでの自分は周りに受け入れられ、憧れていた同僚に好意を寄せられている。居心地がいい……でも、違和感。何でだろうと考えていると自分への優しさの違いに気づく。ひとの意見を尊重し、でも育てるために厳しくすること。同等の存在だと認めてくれること。甘やかすのでなく突き放すのでなくフォローし続けること。自分の弱さ頑なさに気付かされ、一皮向ける様は、サナギが蝶になるようです