くますけと一緒に (徳間デュアル文庫 あ 1-3)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784199050770

作品紹介・あらすじ

ひとりぼっちの少女・成美の味方は、ぬいぐるみの"くますけ"だけ。くますけは成美とおしゃべりができる特別なぬいぐるみだ。でもこのことは誰にも内緒。事故で両親を亡くした成美は、ママの友達・裕子おばさんの家に引き取られることになった。裕子おばさんは、くますけにも優しくしてくれる。だけど、ある日、夢にパパとママが出てきて、自分たちを殺したのはくますけだって言うの。どうして!?本当にくますけが殺したの?新井素子が贈る、ファンタジー・ホラー。

感想・レビュー・書評

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  • 1990年から1991年に、大陸書房の雑誌『ネオ ファンタジー』に連載された新井素子作品。

    本の内容説明に、ファンタジー・ホラー、と書いてあったので、ホラーを期待しましたけど、そんなにホラー感は無かったです。

    ぬいぐるみと話せる少女・成美ちゃんと、成美ちゃんが学校にまで持ち歩くぬいぐるみ・くますけ。
    不思議少女成美ちゃんを気持ち悪がりいじめたクラスメートの少女は交通事故、成美にくますけを手離させようとする両親は、事故死、と、冒頭はまあまあホラーですが、成美ちゃんが母親の友人である子供のいない裕子さん夫妻の家に引き取られてからは、ほぼ全くホラーではなくなります。
    成美ちゃんだけではなく、くますけも家族として迎え入れようとする裕子さん、最初は不思議少女成美ちゃんに抵抗感を感じていたけれど徐々に家族として迎え入れようとする裕子さんのご主人晃一さん。
    ファンタジー雑誌に連載されたとは思えない家族愛の物語が展開されていきます。まあ、ぬいぐるみがしゃべるから、かろうじてファンタジーですかね。
    あと、裕子さんと晃一さんが、いい人すぎるのも、まあファンタジーといえばファンタジーですね。
    こういう最初から最後までぬるま湯に浸かった気分になる作品も珍しいですね。正直、自分は大嫌いな雰囲気です。まあ、このぬるま湯感は、トラウマ級ホラーといえるかもしれないですけど。

  • 久々に読んだ、新井素子さんのお話

    ファンタジーホラー

  • こどもの心のなかには、常に友だちがいる。

  • 新井さんの本って何年ぶりだろ?久々に読んで、懐かしかった。

    主人公の成美は両親が大嫌い。いつも成美のことで喧嘩ばかりしてるから。。そしてなんでも話せる心の友達がぬいぐるみのくますけ。

    どこに行くにも何をするのも一緒。そのことで周りから変な目で見られてしまう。。両親が亡くなったのは自分のせいだと攻める成美。

    くますけがもしかしたら両親を殺したのでは。。と疑いつつもそれは自分を思ってのこととまた自分を攻める成美。

    こんな小さい子が心を痛めてくますけに心のよりどころを探す姿はこちらが見てて辛い。養母になってくれた裕子さんが良かった。

    成美への諭し方や、言葉がひとつひとつ優しくて。。やがて成美はくますけを卒業できるのでしょうか。。。

    ちょっと乙一さんの「Blue」に似てたな。

  • ついに宗教や文学の域まで到達した愛(ぬいぐるみへの)


     ぬいぐるみに作者が寄せる愛と絶大なる信頼、もしくは信仰が、本業である小説で正面切って綴られたのが『くますけと一緒に』です。雑誌連載時から注目していました。この作品はひときわ異彩を放っていたので。ある意味では、実話を再現したエッセイ集よりも、粘っこい説得力にみちみちていました。

     主人公の成美は、いつでもどこでも両親のお葬式の日でさえ、ぬいぐるみのくますけを手放せない子どもです。くますけは成美と会話する能力を有する知的ぬいぐるみで、普段は動けないふりをしているらしい★

     成美は、普通の少女がぬいぐるみにそうするように、くますけを可愛がりながらも、同時に保護者のように頼りにしています。成美を救うため、最終回(雑誌では)でぬいぐるみは奇跡!を起こし、可愛さと怖さが入り混じった驚愕のラストへ――!!

     興味深く読んだポイントは少なくないけれど、一つだけ。成美の目が認めた世界では、くますけは成美の幸せのために直接動きました。それは著者の心にも見えた光景に違いないと、私は信じています。
     ただ、成美とくますけの対話を偶然に耳にしたおじさんは、「くますけの声は成美のものだった」と証言! おじさんには、成美自身がくますけになりきって自分に語りかけている、いわば一人二役劇として映ったのでした。

     こういう客観的な視点を挿入した書き方は、あれだけぬいぐるみ贔屓な人物の手によるものとしては、驚くほどフェアです。新井素子は、ただ可愛くてたまらないから、好きで仕方ないからといって、説明能力を欠くことがなかったのです。

     もちろん、本作で事の真偽を問う意味なんてありません。人によって、見えている世界は違うのだから。「ぬいぐるみが話すだの動くだの、そんなのは嘘だ」あるいは「本当にすごいぬいぐるみは存在する!」などと一元的な説明で片付けない点は、大げさを承知で書くと「文学だな」とさえ思います。




    ★併せて読みたし!
    『ぬいは今日も元気です―わにわに物語〈2〉』
    https://booklog.jp/users/kotanirico/archives/1/406263371X

  • ひとりぼっちの少女・成美の味方は、ぬいぐるみの“くますけ”だけ。くますけは成美とおしゃべりができる特別なぬいぐるみだ。でもこのことは誰にも内緒。事故で両親を亡くした成美は、ママの友達・裕子おばさんの家に引き取られることになった。裕子おばさんは、くますけにも優しくしてくれる。だけど、ある日、夢にパパとママが出てきて、自分たちを殺したのはくますけだって言うの。どうして!?本当にくますけが殺したの?新井素子が贈る、ファンタジー・ホラー。


    久しぶりの新井素子作品。ぬいぐるみがしゃべって友達を呪い殺したかもしれないなんて、あらすじだけを見るとおどろおどろしいけど、最後はちゃんとハッピーエンドになってよかったです。子どものころは、きっと誰でもこういう心のよりどころが、大なり小なりあると思います。

  • 中学生の頃の愛読書。
    あとがきが版によって違う謎の本

  • ぬいマニア面目躍如。
    あの頃はいっぱいお話ししてくれたウチのくま達も…今は静かに眠っていますけれどね。

  • 主人公は小学生になってもぬいぐるみの『くますけ』と離れられない少女。
    両親が事故で死に、母の友人の裕子さんに引き取られた。
    しかし死んだはずの両親が現れ、『くますけは悪のぬいぐるみだ、私達はくますけに殺された』と言う……

    家族の絆と、最後にひとかけらの恐ろしさを残す物語。

  • 誰しも、心の中に「くますけ」はいると思う。私だっている。もう22歳なのに、眠れない夜はぬいぐるみ(パグ)に小さな声で話しかける。一緒に眠る。羽住都さんの挿し絵がとても愛らしい。

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著者プロフィール

1977年「わたしの中の・・・・・・」が奇想天外新人賞佳作に入賞し、デビュー。以後『いつか猫になる日まで』『結婚物語』『ひとめあなたに・・・』『おしまいの日』などを発表。1999年に発表した『チグリスとユーフラテス』が第20回日本SF大賞を受賞。

「2022年 『絶対猫から動かない 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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