百億の昼と千億の夜 (秋田文庫 2-1)

  • 秋田書店 (1997年4月1日発売)
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (451ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784253170024

感想・レビュー・書評

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  • 記録によれば2006年に読んでいるが、それは初読ではなく、もっと小さい頃に読んだ記憶がある。
    少年期に読んだときは圧倒されっぱなしだったが、大人になって読み返したら判った、
    と書きたいところだが、判るはずもなく、またもや圧倒。
    とはいえ整理できたのは、
    オリオナエ(プラトン)、阿修羅王、シッタータ、ユダ
    VS
    惑星開発委員会「シ」(ポセイドン、弥勒、ミカエル、イエス、梵天)
    という構図。
    とにかく動く、動く、喋る、喋る。
    まあ壮大すぎて感想を書こうにも何が何やらだが、
    あらかじめ生命に破滅がプリセットされたことに対し、弥勒が徹底的に異議申し立てをする、怒りの表情が美しい。

  • 萩尾望都さんを読むようになったのは、父の影響です。
    なんだか急に読みたくなってしまい、手元になかったので図書館で借りました。

    萩尾望都版「百億の昼と千億の夜」は光瀬龍さんの小説が原作ですが、実は小説の方は読んだことがありません。
    マンガも、子どものときに読んだときはストーリーがチンプンカンプンだったものの、阿修羅がかっこよくて、そのビジュアルが見たくて開いていました。
    オトナになってあらためて読んでみると、こんなに深い世界観だったとは…と、驚きです。

    今、自分が立っているところは、本当に「現実」なのだろうか?
    この途方もない宇宙の、さらに外側、そのさらに外側…と、何億年たってもなお、たどり着けない世界が、あるのかもしれない…。

    そう考えると、生きる意味とはなんなのか、世界が存在している意味とはなんなのか、よくわからなくなります。
    いや、意味などなくとも存在している。
    それが世界であり、人なのかもしれません。
    そう思っていたらふと、「哲学のえほん」(植村光雄)の、サルトル氏の「実存は本質に先立つ」という言葉を思い出しました。

    寝る前に読んでしまい、寝るタイミングを逃してしまいましたが、その後の眠りの中でその途方もない世界にひたることができたのはよかったかもしれません。

    萩尾望都「スター・レッド」、竹宮恵子さ「地球へ…」、手塚治虫「火の鳥」、CLAMP「聖伝」が、さらに読みたくなる夜でした。

  • 最初ちょっと読んで、ずっと積読状態だったけど、やっと読み終えた。
    聖人や仏教の仏様達を知らないと読みにくいのでは。イエス・キリストが子悪党みたいな感じで意外な扱いされてる。
    次々に新たなラスボスみたいな仏様が出てきて、
    結局言わんとする所は何だったのだろう?
    あくなき闘争が仕組まれた世界観かな?
    解脱した後もこんな世界だったら、がっかりするかも。

  • 原作を読み始めたけれどイメージが掴めなくて、補完の意味で漫画を読破。

    原作では60歳の老人であるユダを若者の姿で描いたり、イエスについても出生の部分を補記してある所はあるけれど、原作とは別物のSF漫画として読んだ時、とても面白かった。
    銀河を一つの時間の流れと捉え、その外にも世界があり、更に外、更に外、と無限に広がる空間の中で、宇宙の小ささや生命の存在意味を考えさせられる話だった。
    よくゲームなどで冒険してる世界が実は誰かが作った仮想空間でした、という発想はこういった話に由来するのかも。

  • 光瀬龍の原作とはひと味違った萩尾望都の「百億の昼と千億の夜」がここにはある。
    難しい原作をよく消化して漫画化したものだ。尊敬に値する。

  • 2008年3月3日読了。

    30何年ぶりとかに読み返してみたけど、やはり難解で壮大な物語。だがちっとも古びていない。
    プラトンがオリオナエでアトランティスは沈み、オリハルコンが残る。悉達多がシッタータで(これは少し判り難い)阿修羅王と共に弥勒の元で、何を知ったのか。長い年月まさに百億千億。彼らが得たものは。

    神も仏もあったもんじゃないってのはまさにこの話のための言葉か?

  • 最高の無常感が味わえます。原作は光瀬龍ですが、萩尾望都作品としか言えないコミカライズの最高傑作の一つです。

  • 先に小説を読んでいたんですが、ようやく漫画を読めました。
    壮大な物語を漫画化した萩尾さんの力量に頭をたれますって。
    忠実に漫画化したというよりも、萩尾さんテイストをちゃんと効かせてる。
    ユダも結構重要な役割り与えたれてたし・・・
    ただ、キリスト教信者がこれを読んだら、イエスの描写に
    文句を言いそうな気がしますけど(^◇^;)
    でも小説で感じた切なさ、無常さ、虚無感までもが余韻として残って大満足です。

  • もう何度読んだかわからないが、ほんとにこの話の世界観はすごい。何度読んでも飽きないし、そのたびに世界について考えさせられる。
    この話を漫画で表現するというのも凄いなあ、萩尾望都って。実は原作は読んでいないんだけれど。裏切り者とされるユダが実は・・・という話は、今ではいくらでもあるんだろうけど、この話はもう40年も前に既に語られてたんだよね。ひらすら「へ~」と感心するのみ。時間軸も凄い。百億とか千億年とか・・・スケールでかいわ。しかも「んなアホな」という気がしないんだよね。凄いなあ。

  • 10代の頃、タイトルと光瀬龍、萩尾望都の名前にひかれて読んだもののよくわからず、漫画ではじめて途中挫折。
    今回3度目の再読。
    地球になぜ生命が生まれたのか。
    森羅万象なぜ起こり、人は世界は、どうなってゆくのか。
    神とは?宗教とは?創造主とは?
    これは宿命?
    壮大なスケールとその世界観には、読んでいて圧倒されてしまう。

    正直、まだ理解できたとは言いがたし。また読み返してみたい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「読んでいて圧倒されてしまう。」
      原作が凄いんだと思うけど、それを絵に出来る萩尾望都は、もっと凄い。
      萩尾望都のマンガで繰り返し読んだのは「...
      「読んでいて圧倒されてしまう。」
      原作が凄いんだと思うけど、それを絵に出来る萩尾望都は、もっと凄い。
      萩尾望都のマンガで繰り返し読んだのは「銀の三角」。これは絶対映像化出来ない(サイレントなら別です)。
      でも、あの世界で奏でられる音楽は聴いてみたい。。。
      2012/06/02
    • pponさん
      nyancomaruさん
      まずタイトルがすごくて、「なになに?」って感じで手にしたのを覚えています。
      原作はとても自信がなくて読んでません...
      nyancomaruさん
      まずタイトルがすごくて、「なになに?」って感じで手にしたのを覚えています。
      原作はとても自信がなくて読んでませんが、イエスの描き方など、望都さんの方でできるだけ砕けた感じを意識されたのかなという気がしました。
      メモメモ、「銀の三角」っと!(笑)
      2012/06/02
  • 何度も読み直しているのに登録していなった。昨日再読。小学2年の時に読んで衝撃を受けずーっと忘れられない本だった。特に阿修羅が。でも大人になって読み直したらこんなの理解して読んでなかったのだろうな…と思った。

  • 10年は昔に買ったものなのにいまだに読み返すたび、あーそういうことかと発見がある。
    この面白くもややこしい内容を漫画化した望都先生はさすがです。

  • キリスト教や仏教、著名な宗教は終末的救済を説いているが、なぜ目の前にいるものを苦しみから救おうとはしないのか。終末とはなにか。未来にある救済とは何か。
    疑問を持った阿修羅の闘いは、時空を超え、宇宙へ。

  • 光瀬龍原作の同タイトルを漫画化

    終末論を説く宗教。なぜわざわざ世界の終わりを説くのだろうか?
    なぜ人類は滅亡の道を歩くのか・・・
    神について、というより宇宙を超越した存在について創世から宇宙の終わりまでを舞台に、イエス、ブッダ、プラトン、阿修羅王を絡ませて描く。

    この宇宙はさらに拡がる宇宙の一部でしかなくて、実はそこも超越者の実験場でしかないのかもしれない。
    ここまでの想像力で書き上げた光瀬 龍と、それをここまでまとめ上げた萩尾 望都さんに改めて敬意を。

  • 中学ぐらいの時に読んだ。
    正直、物語は難しかったし、よくわからなかった。
    でもすごく惹きつけられたのを覚えてる。

  • 大昔から気になってた小説なので、漫画だけど、だいたいどんな話かわかってよかった。60年近く前の小説なので、、この時には革新的な設定、ストーリーだったんだろうなと思う。

  • マスターピース

  • 最近、弥勒の出てくる夢を見を見たので久々に読みました。

    原作は高校生のころに挫折したっきりなので、自分にとって「百億の昼と千億の夜」は萩尾望都の漫画です。

    怒りを露わにし真理に抗う阿修羅のひたむきさ、それと対照的な弥勒の静かな不気味さ。ミクロから螺旋を描きながら極限まで拡大した世界がラストの一コマに収斂されるストーリーの巧みさと冷徹さ。特にラスト数ページの絶望感というか、仏教でいうところの「空」の苦しさの描写は最高です。

  • はるか数十年前「週刊チャンピオン」連載時には意味不明でしたが、今回文庫本で通読したら仏教の宇宙の始まりから終わりまで時間単位1劫(約43億2000年)劫を繰り返す壮大な世界観がSF作品として燦然と輝く理由が分かったかも、億劫がらずにならずもっと早く読めば良かったと萩尾望都さんが描く阿修羅王がとても可愛い

  • 難解です。マンガですら難解なので、原作はもっと難解なのでしょう。この内容で、ドカベンやがきデカで有名だった「少年ジャンプ」に1977年34号から1978年2号と最後まで連載されていたのですから驚きです。マンガ編集者の慧眼を讃えるしかありません。
    それにしても、我々が理解する救世主と悪という立場がガラリと入れ替わる着想は秀逸です。「人間は自ら滅亡に向かっている」というテーマも、経済を回すための過剰生産、それに伴って引きおこる環境汚染、自国を繁栄させるという大義名分で土地や資源や民族までも収奪する身勝手な論理と際限のない軍備拡張、一度に使えば人類の滅亡を可能にする核兵器の数など、地球外生物がみたら「なぜ?」と思うような、共生とは真逆の矛盾に満ちた存在が我々地球人の姿です。山本真巳の解説もいい。

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著者プロフィール

小説家。SF作品を多数発表し、中でも『百億の昼と千億の夜』『喪われた都市の記録』などの長編は、東洋的無常観を基調にした壮大なスケールの宇宙叙事詩として高い評価を得た。1999年逝去。

「2022年 『百億の昼と千億の夜 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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