きみを死なせないための物語(3): ボニータ・コミックス (ボニータコミックス)
- 秋田書店 (2018年3月16日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (186ページ)
- / ISBN・EAN: 9784253264037
感想・レビュー・書評
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表面的にはハードSF。しかし実態は、古典的な宮廷物語。しかも、とてもよく出来た恋愛譚。「このマンガがすごい女の子編」7位ということで、まだまだ終わりが見えないこの3巻までまとめて作品を読んだ。とっても私の好みでした。
「第二巻裏表紙解説より」
人類が地球に住めなくなった未来。長命な新人類「ネオテニィ」の一員であるアラタ、ターラ、シーザー、ルイの四人組は、かつて「緑人(ダフネー)症」という奇病をめぐり、ある「喪失」を経験した。16年後、大人へと成長した彼らの現在とは‥?そして、きみの「物語」の幕がついに開くー!
彼らは長い間地球の周りを回る人口衛星で暮らしている。あらすじを書くと長々しくなるので、詳しくはネットで調べてください。そして、私がコレを「宮廷物語」だというのは、人口を一定に保つ等の理屈をつけて、彼らの行動は、密室空間で厳しく監視、並びに友人恋人結婚までもが規定されている社会だということ。その中で、ネオニティなどの階級差があること。物語の核心は、それでも、喪われた地球の姿や、喪われた「愛」とか「恋」とかの感情の表し方なのである。これらが、宮廷の中で歌垣などの決まり事で周囲に見守れながら、ドロドロの愛憎劇を繰り返していた宮廷貴族の物語と被る、その中でいく十をも意味を込めた歌集並びに普遍的な心理小説・恋愛物語を作った日本の伝統にも被る気がしたからである。
物語を牽引する「謎」は三つ。
1.抜群の記憶力を持つアラタのみに地球脱出前の図書館級の「禁書」が頭の中に入っているという仕掛けがいつ活きてくるのか。
2.未だ生きているという最初の長寿人類(まるでポーの一族のキング・ポーみたい)の「そういちろう」はどのタイミングで出現するのか。
3.視覚と臭覚が混ざる「共感覚」を持つアラタが緑人症の中に観る地球の幻影は、何を意味するのか。
「謎」を解いていく過程で、物語の奥に隠されている「愛の謎」が解かれていくのを願うばかりです。
2018年4月読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
住めなくなった地球を捨てて、宇宙ステーションで暮らす人類と、その中で生まれた新人類“ネオニティ”の青年達の日々を描いた作品第3巻。今回はダフネーの少女二人の命運を中心に。管理社会ってやはり息苦しい。
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表紙の二人にはうまくいって欲しい。続きが早く読みたい
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明かされてない情報量が膨大すぎて
もっと巻数がいってから何度も読み直したい。
シーザーがルイに抱いてきたのが性愛に思えなくて、
シーザーは祇園さんの事件があって屍になっていたルイをリストインから遠ざけるために、最高のキッズパートナーとしてセカンドパートナー契約を結んだだけではないのだろうか。それが親の為にもなるからと偽って。
歪んだ守る為だけの契約ってルイには見抜かれていて、庇護対象になることが屈辱で、ずっとルイはその関係を受け入れられなかったのでは。
「きみ」を死なせないための物語とは
祇園さんでもジジでもなく、ダフネーという人権が認められない人種を指しているように今は思えるけど
コクーンの人類全員のことなのかなぁとも。
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愛はさだめ、さだめは死⋯。
こんなにずぅぅんとした気持ちで本を読み終えたのは久しぶりかもしれません。いろんな生き方がある、では片付きませんな。我々のこの世界も間違っているかもしれない。けれど間違いはそんなに悪いことなのかと考えたりする。
ラリック教授のアレは本意だったのかな、と少し思う。すごく愛おしそうにしていたのにな〜