ぬいぐるみおとまりかい (えほんのぼうけん (63))

著者 :
  • 岩崎書店
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784265081332

作品紹介・あらすじ

いま、公共図書館で行われる人気イベントのひとつに、「ぬいぐるみのお泊り会」というのがあります。
このイベントは、子どもたちが自分の大好きなぬいぐるみを図書館に持ち寄り、一緒におはなしを聞いたりしてすごします。ぬいぐるみを寝かしつけたら、子どもたちは家へ。
一方、ぬいぐるみ達が泊まる夜の図書館では、ぬいぐるみが絵本を探したり、図書館のお手伝いをしたり、司書さんから読み聞かせをしてもらったり…。
翌日、ぬいぐるみを迎えに来た子どもたちは、夜の図書館でのぬいぐるみ達の様子を写真で見せてもらい、ぬいぐるみが選んだ本を借りて帰ります。

そんな夢あふれる楽しいイベントを、絵本作家の風木さんが絵本に仕上げました。子どもたちを生き生きと描く岡田千晶さんの絵が、可愛らしいぬいぐるみたちの様子も描きます。

感想・レビュー・書評

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  • 今日の図書館は、ぬいぐるみを手にした子供がたくさん訪れて、いったい、何が始まるのかと思ったら、「ぬいぐるみおとまり会」らしく、まずは、ぬいぐるみと絵本のおはなし会で、その時の、大好きな友達と一緒にいるような嬉しさが、それぞれのぬいぐるみの抱き方で感じ取れるのが印象的で、膝に載せている子や、後ろから腕を回している子、様々です。

    そして、おはなし会が終わったら、ぬいぐるみにお布団をかけてあげて・・って、そうか。『ぬいぐるみのおとまり会』ってことなのね。てっきり、子供たちも一緒に泊まれるのかと思ってました。

    でも、これは大好きなら大好きな程、辛いかもしれないね。たかが一日だけとはいえ、子供の一日は長く感じられると思うし、この場面も、泣きだしてしまう子や、寂しそうな表情で手を振っている子など、こうした場面の、岡田千晶さんの描く子供の絵は、表情も仕草もそれぞれに、真っ直ぐな繊細さを感じさせられて、子供たちのぬいぐるみへの『好き』の思いが、痛いほど伝わってくる。

    そして、夜の図書館は、眠っているぬいぐるみ達のスイートルームになるのかと思いきや・・・あらあら、結構やんちゃに好き放題で、すごいことになってきたぞ(^^;)

    しかし、読んでいる内に、これは子供たちとぬいぐるみの共通点を感じられる場面に思われてきて、子供たちが、なぜあんなに無二の親友のように、ぬいぐるみに愛着を持っているのか、それが分かるような気がしました。

    それは、ぬいぐるみも子供たちのような純粋な心を持っているからであり、だから、子供たちと同じような事を楽しく感じられたり出来るのだなと思うと、ここの場面も肯けるものがあり、図書館の人達に見つかったときのリアクションなんか、本当にそっくり。

    また、その後の彼らの振る舞いを見て、ぬいぐるみへの接し方が、そのまま子供たちへの接し方にもなりそうで、それは、ご両親にとっても、ひとつの指針になるのではと思ったのが印象的で、ここにも、ぬいぐるみと子供たちの共通点があるようです。

    そして、その後のぬいぐるみ達の寝顔には、子供たちの特権である、思いっきり遊ぶことをやり遂げた満足感でいっぱいなのが、よく分かり、最後の最後まで、子供たちとそっくりのぬいぐるみ達は、まるで子供たちの代わりに、おもいっきり遊び尽くしてあげたよといった素敵なメッセージを、写真という形で残してあげたように感じ取れました。

    それから、うさぎさんの寝顔の側にある絵本は・・私の大好きな、あの涙腺崩壊絵本!!

    そう、もう一つ共通点がありました。
    絵本が大好きなところです。
    昼のおはなし会同様に、夜バージョンにおいても、ぬいぐるみ達のわくわく感が、とても伝わってくるようで、それは思わず前に出ちゃうよねと、そんな細かい高揚感も、岡田さんの絵は瑞々しく伝えてくれて、本書にあった言葉を思い出しました。

    『えほんの なかって まほうみたい』


    「ぬいぐるみおとまり会」って、実際に図書館でやっているイベントだと知らず、びっくりしたのですが、ネットの画像検索で見てみると、夜の図書館で、本を手に取るぬいぐるみの様子等を写真に撮り、翌朝お迎えに来る子供たちにプレゼントしたりと、とても夢のある素敵な企画で、これは子供たちは嬉しいだろうなと感じましたし、それは、ぬいぐるみと絵本が一緒になることの相乗効果が加わることで、絵本の素晴らしさも教えてくれますし、このイベントを知らない方にとっては、この絵本が、まさに素敵な魔法のように感じられるのではと思い、小さいお子さんがいらっしゃる方は、機会がありましたら、一度体験してみるのもいいのではないでしょうか。


    《受賞の喜びについて》
    Twitterをやっていない為、この場をお借りして、受賞の喜びを申したいと思います(素敵な栞とステッカー、そして、手書きのハンドルネームまで、ありがとうございます^_^)。
    本来は、その方がブクログをより広める意味合いもあると思うので、私自身心苦しいのですが、すみません。

    この度は、ブクログ BEST USER AWARD 2022に認定いただき、ありがとうございます。
    というか、びっくりしました。
    「えっ、なんで私が?」と思ったのですが、『ブクログを使ってたくさん読書を楽しみました』を見て、なるほどと実感いたしました。

    私としては、ブクログをやる前は、限られた情報でしか作品を知ることができなかったので、正直、今のような本棚になるなんて、私自身、おそらく想像できなかったと思いますし、これだけ多様なものの見方や価値観を知ることが出来るとは、思いもよりませんでした。

    特に、去年は絵本や児童書の素晴らしさに気付いた年でもありまして、それは、子供たちだけのものではなく、大人にとっても、大切なことを教えてくれるものなんだと思うと同時に、子供たちの、あのどこまでも真っ直ぐで健気な純粋さの、かけがえのないキラメキを再び思い出すことが出来たことには、どれだけ救われたか分からず、私にもあんな頃があったのだと思うと、目頭に熱いものを感じてしまいます。

    しかし、それを知ることができたのは、私自身の探求心のみにあらず、多くのフォローしている方々や、フォロワーさんの支えもあった事、そして、温かい繋がりを感じさせる、多くのコメントもあったからこそ、今の私の本棚があるのだと強く実感しており、感謝してもしきれないくらいです。
    いつも、ありがとうございます。

    そして、ブクログという、緩くも素晴らしく居心地の良い、素敵な場所をもうけて下さった、スタッフの方々全員にも、多大な御礼を申したいと思います。
    ありがとうございます。

    おそらく、今年もあまり流行に左右されなさそうな、独自の本棚になりそうですが、いつも通り、好きなものと興味のあるものを、これからも追いかけていきたいと思います。

    この度は、本当にありがとうございました(^^)

    • たださん
      コニーさん、こんばんは(^^)

      そうなんです。私の場合、思うように読めないというより、もっと読める時間が欲しいのかなとも思ったのですが、コ...
      コニーさん、こんばんは(^^)

      そうなんです。私の場合、思うように読めないというより、もっと読める時間が欲しいのかなとも思ったのですが、コニーさんのお話を読んで、時間はあるけれども、同じ事ばかりするのもどうなんだろうと思いまして、私なら、もしかすると、たまにぼうっとしたくなったり、外に出たくなったり、家の中なら中で、たまに違うことをして、「ようし、また読むか」みたいになりそうな気もしてきまして、オンオフの切り替えが欲しいというか、特に小説は仮に時間があっても、何時間も続けて読むのは辛いかもしれません。まあ、読みたくてたまらない程の、待望の作品とかなら別ですがね。あと、大好きな作家さんは別腹です(笑)

      だから、コニーさんの短歌の入門書についても、そんな感じを抱きまして、『面白いので、どんどん、読んでしまいます』といった、やりたいことをやっている事で、コニーさんの本能は、ある意味、満たされているのかもしれませんし、案外、受け取る側にとっては、割と計画性と意思があるように感じ取っていると思ってまして(私もそうです)、ああ、コニーさんは今月も、短歌も映画も音楽も漫画もノンフィクションも変わらず引っくるめて、多彩なジャンルを読んでるんだなとか。

      でも、この先も同じかは分からないと思います。私の本棚も、いきなり児童書と絵本中心になったように、今のコニーさんの本棚と、一年後のコニーさんのそれが同じなんて、誰にも分からないのですから。そこに人間の奥深さがあると思えば、ちょっとワクワクしてきませんか?
      もしかしたら、何も考えず、本能の赴くままに読んでいっていたら、いつの間にか、こうなってましたみたいなこともあるのかもしれませんし、翻訳書や歴史については、コニーさんの脳内で、もう少し後かななんて、無意識に指令を発しているのかもしれません。

      私は、コニーさん程の明確なプランは立てませんが、それでもこういう順番で読もうかなと、ざっくりと決めた矢先に、大抵、図書館でより魅力的なものを見つけて予定が変わったりと、そんなことばかりですが、最近は、それでも結果として、読みたいものばかり読めているから、もし最後のゴールのようなものがあるとすれば、順番が違うだけで近付いているのかなとは思うので、別にいいかなと半分割り切ってます。人の命は限られてますから、後悔さえしなければいいのかなって。
      2023/02/27
    • 5552さん
      たださん、何度もすみません。

      オンオフの切り替え!
      なるほど、私の生活に足りなかったのはそれですね。
      そういえば、以前読んだ本にも...
      たださん、何度もすみません。

      オンオフの切り替え!
      なるほど、私の生活に足りなかったのはそれですね。
      そういえば、以前読んだ本にも大人でも1日の時間割を作れ、というようなことが書いてありました。
      仕事をしてらっしゃる皆さんも、きっと1日のメリハリがついてらっしゃるのですね。
      とりあえず、暖かくなってきましたし、1日のうち10分でも散歩に出ようかと思います。
      アドバイスありがとうございます!

      無意識の脳の指令ですか…。
      読みたい気持ちがあるのに読めないと、自分のダメさの証に思えてしまうのですが、まあ、無理して読まなくてもいいような気がしてきました。
      本能に従って本を選んでゆくのも悪くないですよね。
      相談みたいになってすみません。
      丁寧にお返事をしてくださったことに感謝します。
      2023/02/28
    • たださん
      コニーさん、いえいえ、大丈夫ですよ。

      寧ろ、毎回、私が長文だから、それが何だか申し訳なくて(気が付くと長くなってるんですよ)。

      そういえ...
      コニーさん、いえいえ、大丈夫ですよ。

      寧ろ、毎回、私が長文だから、それが何だか申し訳なくて(気が付くと長くなってるんですよ)。

      そういえば、今日は暖かったですね。何でも明日は、もっと暖かくなるそうで、春ももうすぐですね。

      ちなみに、私はメリハリをもっと付けたいと思ってまして、ちょっと仕事で疲れて油断すると、すぐ同じパターンに陥るので、そこにもうちょっと、ゆとりを持てればなあと。私も偉そうな事、言えないのですよ。

      ですから、アドバイスと言われると、何だか申し訳ない気持ちにもなるのですが、コニーさんの前向きな気持ちを文面から感じられたので、書いて良かったなと思いました。
      2023/02/28
  • 図書館で、ぬいぐるみ同伴のお話会。その後は、ぬいぐるみ限定のお泊り会! こんな素敵な企画をしてくれた図書館の職員の皆さんが一番素敵かも。

  • 我が家にもたくさんいるぬいぐるみたち。

    ぬいぐるみが図書館にお泊まりしたら、
    こんなことしてるのかな?
    クスッと笑える一冊。 
    ぬいぐるみ大好きさんにオススメです♪

  • いま、公共図書館で行われる人気イベントのひとつに、「ぬいぐるみのお泊り会」というのがあります。
    このイベントは、子どもたちが自分の大好きなぬいぐるみを図書館に持ち寄り、一緒におはなしを聞いたりしてすごします。ぬいぐるみを寝かしつけたら、子どもたちは家へ。
    一方、ぬいぐるみ達が泊まる夜の図書館では、ぬいぐるみが絵本を探したり、図書館のお手伝いをしたり、司書さんから読み聞かせをしてもらったり…。
    翌日、ぬいぐるみを迎えに来た子どもたちは、夜の図書館でのぬいぐるみ達の様子を写真で見せてもらい、ぬいぐるみが選んだ本を借りて帰ります。

    そんな夢あふれる楽しいイベントを、絵本作家の風木さんが絵本に仕上げました。子どもたちを生き生きと描く岡田千晶さんの絵が、可愛らしいぬいぐるみたちの様子も描きます。


    ーーーー
    図書館の「ぬいぐるみのお泊り会」イベントに娘が参加し、白くまのぬいぐるみが夜どうしているのか心配したりワクワクしたりしてとてもよかった。
    ぬいぐるみたちが絵本を借りたり、友達(のぬいぐるみ)といっしょに遊んでいる姿をアルバムにしてわたしてくれたのを今も大切に持っている。
    あの頃、娘が「こんなことしているかな」と想像していたことが、絵本になっていて、なんだか懐かしかった。

  • ぬいぐるみを図書館におとまりさせるお話。絵のふわっとした感じと話の内容が合っていて、小学校一年位までによんであげたい本だと思った。

  • 子どもたちの表情が豊かに表現されていて微笑ましい。夜の図書館でのぬいぐるみたちも最高♪

  • 岡田千晶さんの絵目当てで。本当にかわいい(*^_^*)
    ぬいぐるみだけが図書館でお泊まりするっていう発想もいいですね。
    とにかく可愛くて、癒される絵本。

  • 近年、図書館で開催されているぬいぐるみのお泊まり会が絵本に・・・。

    夜の図書館をぬいぐるみたちが探検します。

    あらら、司書さんに見つかっちゃったぞ・・・!?

  • 「ぬいぐるみおとまりかい」をやる時は必読かな。

  • 図書館にお泊まりしたぬいぐるみたちが図書館を楽しむ様子が可愛いです。

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著者プロフィール

作家・翻訳家・「ホテル暴風雨」オーナー。主な著書に絵本『とりがいるよ』『たまごがあるよ』『いっしょにするよ』(KADOKAWA)、『とんでいく』(福音館書店)、『うしのもーさん』(教育画劇)、『にっこり にこにこ』(講談社)、『せかいでいちばんおおきなネコ』(絵本塾出版)などがある。主な訳書に『こくばんくまさん つきへいく』(ほるぷ出版)、『かべのむこうになにがある?』(BL出版)などがある。

「2018年 『『とりがいるよ』ギフトセット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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